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消波ブロック好きが教える「消波ブロックの見分け方」

こんにちは!
2023年10月22日に学生小委員会メンバーで青函トンネル記念館を訪問しました。
今回は新青森駅から記念館に向かう道中の消波ブロックについてご紹介します。
記念館見学の様子はこちらから↓↓↓
(近日公開予定)


①そもそも「消波ブロック」とは?

消波ブロックは、一般的には「テトラポッド」と呼ばれていますが、テトラポッドは(株)不動テトラの商標です。正式名称は「消波ブロック」または「消波根固めブロック」といいます。

消波ブロックにはテトラポッド以外にも様々な種類があり、主に立体型平型階段型直積型函塊型に分類されます。

一般社団法人日本消波根固ブロック協会に掲載されているブロックだけで、約150種類は存在し、細かい形状違いのものや過去に存在していた消波ブロックを含めれば約200種類は存在すると思われます。

*細かい形状違いとは
(株)チスイの三脚Bブロックを例にあげると、脚が生えている(通常の)三脚Bブロックと生えていない三脚B(Ⅱ型)ブロックがあります。三脚Bブロックは中央の穴が円形で、三脚B(Ⅱ型)ブロックは六角形です。


三脚Bブロック
三脚B(Ⅱ型)ブロック(右下)

消波ブロックには高潮から護岸・堤防を守る役割や、砂浜の浸食を防ぐ役割があります。海岸はもちろんのこと、河川でも用いられます。

②こんなにたくさん!個性いろいろ!

訪問前にインターネットを用いて下調べを行いました。
青函トンネル記念館近くには龍飛漁港海岸があり、様々な消波ブロックがあります。
龍飛漁港海岸は岩礁で国定公園に指定されています。

龍飛漁港先端の消波ブロックです。沖側に比較的大きめ(8トンぐらい?)の中空三角ブロックシーロックを配置し、港側に小さめの中空三角ブロックテトラポッドを配置しています。


龍飛漁港先端の消波ブロック


次に、龍飛漁港先端から南東には、民家が連なっており、合掌ブロック三基ブロックが離岸堤として存在しています。離岸堤とは海岸線と平行に作られる構造物で、波の勢いを弱める目的で用いられます。


離岸堤として用いられる消波ブロック その1


続いて、太宰治文学碑の目の前には3連ブロック六脚ブロックの離岸堤が配置されています。この3連ブロック六脚ブロックの離岸堤は2003年以降に新設されたものです。
2003年の津軽沿岸海岸保全基本計画によれば、この周辺一帯は最大2.6~9.7mの津波水位が想定されており、龍飛漁港海岸周辺の民家は想定浸水エリアに入っています。また、低気圧による波浪被害も生じたということです。


離岸堤として用いられる消波ブロック その2


③いざ現地へ!

当日はかなりの悪天候でした。悪天候の際は波が高くなっていて大変危険ですので、海岸にも消波ブロックにも近づかないようにしてください。

消波ブロックについてのニュースには、消波ブロックで発見されたご遺体について書かれたものも見受けられます。流れ着いたものかもしれないですが、消波ブロックは嚙み合わせがとても複雑で、消波ブロック同士の隙間がどの程度の深さまでつながっているのかわかりません。

江ノ島のテトラポッド

上の画像は、江ノ島で撮ったテトラポッドの画像です。テトラポッドの脚の長さが1~1.5mほどあります。隙間がどの深さまでつながっているかわからないので、落ちた場合はこの長さ以上這い上がる必要があります。
また、消波ブロック表面にはフジツボ等の生物も生息しており、落ちた場合は貝殻によって痛い思いをします。



龍飛漁港先端の中空三角ブロック(西側)、中空三角ブロックシーロック(東側)の写真です。遠目から見ても比較的大きいことがわかります。
中空三角ブロックは見かけることも多いブロックですが、ゴツゴツしていて異形感がありカッコいいです。

龍飛漁港先端の中空三角ブロック(西側)
龍飛漁港先端の中空三角ブロックとシーロック(東側)

2枚目の写真を見ると、一瞬テトラポッドなんじゃないかと思われるかもしれませんが、よくよく見ると脚の先端が曲がっているのがわかります(3枚目)。テトラポッドは4本脚で正三角錐型ですが、シーロックはそうではありません。シーロックはテトラポッドのようにコロコロしていて可愛いブロックです。

シーロック(拡大)


龍飛漁港先端から南東にある、合掌ブロックの離岸堤です。合掌ブロックは今回のような乱積みでもカッコいいですが、規則的に並んでいると海の要塞みたいでより素敵だと思います。

龍飛漁港南東の合掌ブロックの離岸堤


さらに南東に行ったところにある三基ブロックの離岸堤です。
三基ブロックは日本コーケン(株)のコーケンブロックとかなり形が似ており区別が付きづらいですが、ブロック先端の形が三基ブロックは三角形、コーケンブロックは菱形であり、そのような部分から判別します。

今回、悪天候のため撮影ができませんでしたが、三基ブロックの奥には新設された離岸堤が見えます。

龍飛漁港南東の三基ブロックの離岸堤
三基ブロック(拡大)


最後に、龍飛漁港からの帰り道に魚礁ブロックがありました。農林水産省によれば、魚がたくさん集まり、隠れ場やえさ場として利用している海中の岩のことを魚礁といい、天然のものとコンクリート製の人工のものがあるそうです。これは(株)海洋土木のFP魚礁だと思われます。


魚礁ブロック

メンバーの感想です!

ここで本企画に参加した学生小委員会メンバーの感想です。

私は、海なし県で生まれ育ったので、消波ブロックを見る機会が少なく、事前学習では用途に合わせて200種類もあることを知り驚きでした。当日は、暴風雨で遠目から見学するだけでびしょ濡れになりましたが、実際に配置されている消波ブロックを見て、用途に合わせて様々な形を組み合わせて配置されており、設置した技術者の意図、こだわりを体感できました。普段だと気に留めない海岸線の景色でしたが、注目する視点を変えると新たな発見があり、面白いと感じました。(宮﨑)

新青森の駅から竜飛崎まではとても遠く、自力で運転したことでより遠さを実感しました。消波ブロックのあったエリアは「地の果て」のような感覚で、関東平野に住んでいると感じることが難しい地球の大きさと自然の迫力を見せつけられたと思いました。消波ブロックについては「テトラポッド」が商品名であることを知っている程度の知識しかありませんでしたが、荒天下で見たことも相まってその迫力や機能を間近で学ぶことができて、とても面白かったです。また、厳しい環境下でも人々の生活を守る工事が進められていることについてとても感動しました。(川端)

雨が激しく降っていたこともあり、国道339号の険しい道のりはまるで冒険のようでした。視界が悪い中、運転していただいた川端さんには感謝しかありません。この日、僕は初めて消波ブロックを観察することを目的に消波ブロックを探しました。形や組み方がさまざまで驚きました。今回、4種類見ることができましたが、僕が好きな形は中空三角ブロックです!初めての学生小委員会での活動でしたが、学びある体験や話ができました。ありがとうございました。(山北)

龍飛漁港には行けませんでしたが、他の委員会メンバーが撮ってくれた写真を見ながら記事を書きました。龍飛漁港は消波ブロックの種類が豊富で、とても魅力的な海岸だと思います。機会があれば、青函トンネル記念館と一緒にぜひ行ってみたいです。何気なく見ている海岸にも、色々な魅力や発見があることをこの記事を読んで知っていただけたら嬉しいです。ちなみに私の推しブロックは合掌ブロックです。 (二口)

消波ブロックといえば、テトラポッド!
という以上の知識がなかったのですが、今回の現場見学では、ほんの数分の間にも1つ、2つと様々な種類の消波ブロックを見つけることが出来ました。
また当日は雨も強く、波も高かったため、消波ブロックがどのように機能するのかを直接観察する絶好の機会でした。
これらのブロックが設置された背景には、当然、波、風、時代、コストといった多くの変数や要因が絡み合っています。この竜飛の地に様々な種類の消波ブロックが存在する理由はなにか、思慮を巡らせてました。
ちなみに私の推しは「中空三角ブロック」です!(水谷)

事前学習により、三厩地区の海岸線は消波ブロックやケーソンで面的に防護されていることが分かりました。港湾構造物は様々な制約(地形や地盤条件、航路を阻害しないことなど)の下で合理的に設計されるものだと思いますが、なぜ「その場所」に「その型式」の消波ブロックを「その積み方」で置くことになったのか、知りたいと思いました。
海に行けばほぼ確実に視界に入るであろう消波ブロックですが、これまでは意識していなかったためか、これほど種類や機能が多いことは知りませんでした。消波ブロックに限らず、身の回りにある様々な「土木」に興味を持つ仲間が増えたら嬉しいなと感じました。(久崎)

竜飛崎にて

終わりに

今回の記事はいかがでしたでしょうか。
気に入った方は、コメントやスキをいただけると励みになります!
また、一緒に企画をやってみたい学生は、私たちと一緒に学生小委員会でやりましょう!!
次回の企画もお楽しみに!!

執筆 二口夏帆、久崎諒也