犬のサラリーマン

あーあ、もう仕事に疲れたよ、あ、犬だ、犬はいいよなあ。
「そんなことないぞ!」
ん・・・・・い、犬が喋ったー!
「どうして、犬が喋るくらい珍しいのか?」
えっ、そうなんですか…、でも、ネクタイしてる。
「まあ、一応サラリーマンだからね」
サ、サラリーマン、ですか。
「人件費が高いから、犬を雇うようになったんです」

じゃあ、ネコなんかも雇ってるんでしょうか?
「バカか、ネコが喋れるわけないだろ!」
あ、そうなんですか、給料はドッグフードか何かですか?
「バカにするな、ちゃんと金はもらってる、安いけど」
はあ、それでそのお金は何に使うんですか?
「まあ、いろいろと、でもあんまり使わないかた貯まる一方だけど」
貯まったお金は持ち歩いているんでしょうか?

「そんな訳ないだろ、ちゃんと銀行に預けている」
えっ、犬でも口座を作れるんですか。
「あたりまえだろ、通帳と印鑑は家に置いてある」
い、家まであるんですか、それって犬小屋ですか。
「バカ言うな、30年ローンで建てたんだ」
うっ、私はいまだにアパート住まいなのに、犬に負けてる。

「まあ、そんなに落ち込まない、これも何かの縁だ、一杯行きましょうか」
ああ、そうしましょう、私は前田と申します、おたくは?
「ありふれた名前だけど、ポチと申します」
それじゃ、ポチさん、行きましょうか、今日はとことん飲むぞ!

子供「ねえ、お母さん、あのおじさん、犬に名刺渡してるよ……」
母親「ほっときなさい、酔っぱらいなんだから!」

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