“涅槃の案内人”、数々のオマージュ、推しキャラの扱いが雑で怒る人々
『EUREKA/EUREKASEVEN HIーEVOLUTION』感想文を読み漁っています。ベタ褒め感想文にうんうん言いつつアンチ感想文にもうんうん言って楽しんでいます。
僕個人の総括と考察はこちらを是非読んでほしいです。
今回は作中引っかかった3つのポイントについて考察します。
・涅槃の案内人
デューイたびたび発言する「涅槃の案内人」、僕はこのワードの意味がよく分かりませんでした。というのも、「涅槃の案内人=エウレカ」を指していると認識していた為、涅槃とは程遠い所にいるエウレカが涅槃に案内できるとは到底思えず、故にデューイがエウレカを信仰する理由も分からなかったのです。
どうやら「涅槃の案内人=ニルバーシュ」を指しているようなので、また観に行く時に確認しようと思います。
めちゃ褒め記事なので安心して読めます。
それはそれとして、「涅槃の案内人=エウレカ」についてネチネチと理屈を捏ねたので記録を残しておきます。
輪廻転生と涅槃
生と死の輪廻で徳を積み(輪廻転生)、輪廻から脱出(解脱)、涅槃(ニルヴァーナ)へと到達する。らしい(小並感)
エウレカセブンはシリーズ通して仏教思想をモチーフにしている。ゾーンやネバーランドといったキーワードも本作の涅槃に近しい概念だろう。社会情勢不安への憂さ晴らしとしてのEDMを踊念仏になぞらえビームス夫妻をきっかけにレントンが悟りを開き始める構成がエウレカセブンの醍醐味の一つだろう。
ブッディストになる為にはまず、今世もまた輪廻転生の一部にすぎない事に気づかねばならない。またその理解はとても難しいことでもある。
仏師のくせに輪廻転生を理解できない例
デューイは今生への執着や自身の存在欲求が強く、何回か集団自殺を図った。彼から見て世界の破壊と創造を繰り返すエウレカはまさに輪廻転生の権化であり、エウレカによって輪廻転生を繰り返すことで、“涅槃の案内人”に導かれ涅槃に到達できると想像したのだろう。
残念ながらこの思想は多くの点で間違っている。涅槃とは自身の悟りによってのみ解脱しうること。よって人に案内されるようなものではないこと。そして何よりエウレカが「原罪」と「贖罪」を抱える矛盾に気づいていないこと。
原罪と贖罪
簡単にまとまっててめちゃくちゃ助かる
TV版におけるエウレカは殺人を認識した時に初めて自身の意思を知覚し、それまでの殺人行為の全てを原罪と捉え、贖罪として3人の子供を育てる事を決意する。あの殺人シーンがエウレカにとっての「知恵の実」とも言える。AOはイヴ兼マリアたるエウレカの息子アオが贖罪を肩代わりする話、とも言えるかもしれない。
仏様であるスカブコーラルから生まれたエウレカが、ユダヤ教・キリスト教的罪の意識に苛まれてしまうというところが本シリーズの悲劇なのである。特にハイエボ3では輪廻転生を行った事が原罪であるという矛盾を抱えさせられてしまい、キリストのような救済を持たない彼女は自身の手で贖罪を果たさなければならず、耐えきれなくなってしまう。
(だからこそサムナのシーンは激アツだと思うんだけどなぁ⋯⋯)
キリスト教思想がグリーンアース世界にない事はクリスマスが無いことからも想像される。
エウレカを磔刑に処し神格化してやらないアネモネの愛。日本人宜しく明確な信仰対象を持たずあらゆる思想を都合よく昇華し家族愛のために生きる、彼女の宗教観があるからこそ、複数の宗教的概念が混在するエウレカシリーズがわかりやすくなってくれるという構図は16年前から変わらない。
・数々のオマージュ
『ハイエボ3』にオマージュが沢山あったことについて、観た人なら色々考えるところがあったと思う。『シンエヴァ』のオマージュについては庵野監督が想いを込めるために力を借りる媒介だったんだろうと解釈した。ただ本作のオマージュはもうちょっと違う意味があったのではないかと妄想する。
本作のオマージュ、筋トレと酒はヱヴァのミサト、アイリスとの逃避行はローガン、デューイを倒すカットのアメスパ・TM2、ラストの逆シャア等等⋯⋯エウレカの行動の多くがオマージュ元がある行動だった。
これはEUREKAの力を失ったエウレカにとって、問題を解決する手段を自身で編み出す事ができず、何かを参考に問題解決するしかない状況を表しているのではないだろうか。筋肉を増やして内面の弱さを隠すキャラクターデザインと同じ目的で、外部から得た知識で武装する事で自身の力不足を隠しているのではないか。
悪口
自分が生まれる前の作品をオマージュした時はベタ褒めするのに、自分がリアルタイムで見たことある作品のオマージュを見ると「やっすいオマージュ!!!」急に起こり始めるオタク、いるよね⋯
何かの受け売りでなんとか戦ってるエウレカは、視聴者から見たら安いオマージュかもしれないが、アイリスから見ればニューヒーローに他ならない。そうやって温故知新の作品が未来に繋がっていったらいいなと思う。
・推しキャラが雑に死んで怒ってる人
ホランドの死に方が雑!ざけんな!ってご意見、お気持ちはわからなくもない。
ただ大前提として、特攻が価値ある死などという事は絶対にあってはならない。特攻を美化するような事をやっちゃあいけない。
だからこそエウレカが自身の命を全うする選択を自身の手で掴むエンディングを迎えられた。
最後に
お願いです⋯サントラ再販してください⋯
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