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5/19【ドコモベンチャーズピッチ】進化を続けるペット系スタートアップ~テクノロジーが変えるペットの未来~

皆さんこんにちは!ドコモ・ベンチャーズです。
今回は、2022年5月19日(水)に行ったイベント、

【ドコモベンチャーズピッチ】進化を続けるペット系スタートアップ~テクノロジーが変えるペットの未来~

についてレポートしていきたいと思います!

本イベントでは、ペット関連の新しい事業に取り組まれている注目のスタートアップ4社をお招きしピッチをしていただきました。

  • ペット関連のスタートアップに興味のある方

  • ペット関連のビジネスに興味のある方

  • ペット関連の投資先を探している投資家の方

  • 大企業とスタートアップの共創を模索している方

にぜひお読みいただきたい内容となっております!

以下、ピッチの内容をご紹介します!

■1社目:株式会社S’more(スモア)

1社目は、S’more  韓 慶燕様にご登壇いただきました!

<株式会社S’more 代表取締役社長CEO 韓 慶燕様>

株式会社S’more 韓 慶燕様

・S'more社の事業紹介

S‘more社は犬の個体情報を「鼻」で管理できるアプリ「NoseID(ノーズ・アイディ」を運営しているスタートアップ企業です。犬が大好きな韓社長が、ペットや飼い主が幸せに生活できるサービスを作りたい、そのためには、ペットに関わる事業者もハッピーであることが重要だとの思いから、創業されました。

アプリ登録をした飼い主はもちろん、業種や業界の垣根を超えた企業が鼻紋認証に紐づくデータを自由に使って、飼い主、犬、企業の三者がハッピーになる仕組みを提供しています。

では、詳しくみていきましょう。

鼻紋認証とは
NoseIDは、日本初の鼻紋認証を活用したペットのリアルデータプラットフォームです。犬の鼻にはそれぞれの犬によって異なるシワがあり、それを鼻紋と呼びます。鼻紋認証とはこの鼻紋で個体識別する技術です。

中国・韓国・アメリカでは鼻紋認証を活用し、迷子犬の特定や・ペット保険・行政への個体登録などに活用されています。

S‘more社が提供するNoseIDでは鼻紋活用の第一弾として迷子犬を捜索できる機能を搭載しました。

迷子犬を発見するプロセス

1.飼い主がアプリ内に、犬の情報を登録
2.飼い犬の鼻紋を撮影した動画をアップ
4.登録者が迷子犬を見つけたら、外見の情報を入力し、鼻をスキャン
5.アプリ内で鼻紋が登録されていれば特定

今後は迷子犬の登録だけでなく、迷子犬の情報を周辺ユーザーやショップに知らせる通知機能や飼い主と直接連絡できる機能をアップデートしていく予定とのことです。

事前登録ユーザー4500頭
インターネット検索等でNoseIDを偶然知った飼い主が、4500頭もの鼻紋を自発的に事前登録してくれたそうです。さらに、SNSで拡散してくれたり、クラウドファンディングによる目標金額も達成するなど、このサービスへの大きな期待が見て取れます。福岡市と共同で実証実験も行うそうです。

今後の鼻紋活用
今後は、犬に関する各種サービスの会員証や診察券、保険証などの情報を「鼻」を通じて一括管理することで、登録した施設で鼻をスキャンするだけでサービスを活用できるようになるとのことです。さらに、利用した施設の情報や犬の個体データが蓄積され、飼い主にとって犬の情報の一括管理にも役立ちます。

鼻紋による情報の一元管理を目指して

飼い主とペットの暮らしにおける不便さを解消できる仕組みを作りたい

ペットが人々の生活において、重要な存在になっているにも関わらず、まだまだペットの受け入れ態勢が整っていない日本に対し、「日本はペットと暮らしにくい」と感じている韓社長。

災害時の避難先不足や、ペット可の賃貸物件不足、ペットと泊まれる宿の少なさなど、飼い主は様々な不安を抱えています。現状では、飼い主の困っている声は、それを解決してくれる行政やペット関連事業者に届きにくいのですが、Nose IDが両者の架け橋となり、ペット関連事業者と一緒に、飼い主やペットにとって必要なサービスを増やし、もっとペットと暮らしやすくなる社会を作りたい、と韓社長は熱く語ってくださいました。

ペットへの愛があふれる韓社長の今後のご活躍に期待が高まります!

■2社目:株式会社バイオフィリア

2社目は、バイオフィリア 岩橋 洸太様にご登壇いただきました!

<株式会社バイオフィリア 創業者/代表取締役CEO 岩橋 洸太様>

株式会社バイオフィリア 岩橋 洸太様

・バイオフィリア社の事業紹介

バイオフィリア社が手掛けているのが、手作りドックフード「ココグルメ」です。ドックフードの市場は、ドライフードとウェットフードが主流ですが、バイオフィリア社は新しい選択肢としてサブスクリプションモデルの
手作りドックフードを展開しています。

岩橋社長は、子供の頃から犬が大好きでしたが、飼っていた犬が2頭とも病死してしまい、「何かしてあげられたんじゃないか。自分が何か悪い事をしてしまったのではないか。」と思ったそうです。そして、ペットロスに陥った原体験から、ペットが元気に長生きできる手助けをしたいと起業に至りました。

ココグルメのサービス実績

2019年にココグルメをローンチし、2021年末までの2年間で、累計売り上げ650万食、会員数5万人に到達しました。サービスの成長率は434%を記録しており、サブスクリプション契約の継続率も95%と高い水準です。

手作りドックフード-ココグルメ-の特長
ココグルメの特長について、岩橋社長は

1. 人と同じ食材・国産
2. 食品技術の製造工場
3. 完全栄養食のレシピ

の3点が揃った手作りフードのパイオニアと表現しています。

ドッグフードの分類

既存のドライフードやウェットフードには、人が食べられるほど安全性が保証されていない素材が使われることがあります。しかし、ココグルメは鶏のむね肉やレバーなど、人が口にする「食品」のみを使用飼い主が安心してペットに与えることができるドックフードを生産しています。

アンケート結果から、獣医師は病気になった犬に「こういうものを食べさせてほしい」と飼い主に提案し、飼い主がそれらを犬に与えようとしても食べてくれなくて困る、というケースが多くあることを知ったそうです。ココグルメは、品質はもちろん、見た目や香りにもこだわり、病気の犬でも食べてもらえるような商品を目指しているそうです。

今後の展望
2022年4月には猫専用の手作りペットフード、Miao Gourmet(ミャオグルメ)もリリースしました。今後はさらなるサービスラインナップの多角化を予定しているとのことです。

岩橋社長の市場の試算と今後の展望

より大きな市場を目指したいと語る岩橋社長は、国内ペットフード市場にとどまらず、海外ペットフード市場や、数百兆円規模とされる世界の食肉市場、培養肉市場への参入も視野に入れているとのことでした。動物を殺傷しなくても人間もペットも美味しい肉が食べられる未来を実現したいそうです。素敵な夢ですね。

■3社目:株式会社PetVoice

3社目は、PetVoice  深田 篤様にご登壇いただきました!

<株式会社PetVoice CEO 深田 篤様>

株式会社PetVoice 深田 篤様

・PetVoice社の事業紹介

PetVoice社は「ペットの幸せ」をいちばん大切に考え続けることをミッションに、犬猫専用の首輪型ウェアラブルデバイスを開発・販売しています。

首輪にPetVoice COREと呼ばれる、小型化・軽量化されたデバイスを装着することで、アプリを通してペットの健康状態を把握することができ、ペットに異変があると、かかりつけの獣医師に連絡することができます。さらに獣医師はアプリに蓄積されたデータを元にした診察が可能です。

PetVoice利用の一例

ペット業界に身を置いたことがない深田様がこのような事業をはじめようと思ったきっかけは、ご自身の原体験にあります。深田様は、大の猫好きで、2匹の保護猫を飼っていらっしゃいますが、どちらもエイズ陽性で、病気にかかった場合の死亡リスクが高いそうです。この子たちに少しでも元気にいてもらいたい、万一何かあったらすぐに獣医師に相談したい、との強い思いからPetVoiceの開発に至ったそうです。

これまでにないサービスは反響を呼び、2021年8月、9月の2か月間で約300名の先行ユーザーを獲得しました。

動物病院を販売チャネルに
これまでにも、様々な企業により首輪型のウェアラブルデバイスやスマートプロダクトの事業は開発されてきたものの、普及しているとは言えない状況とPetVoice社は考えています。このことから、販売方法に工夫が必要だと考えた末に、動物病院を販売チャネルとするに至ったそうです。ユーザーは首輪本体の購入と月1,500円を支払うサブスクリプションモデルにすることで、気軽に病院での取り扱いを試してもらえるように工夫されています。

PetVoiceの販売方法

これにより、D2Cで販売した際、購入までのCVR(コンバージョンレート)が0.5%(Makuakeのウェブサイトに200名訪れ、1名購入)であったのに対し、動物病院での実証実験においては購入までのCVRは40%となり、結果的にその差は80倍だったそうです。

ユーザーにとっても、獣医師からの勧めの方が説得力があり、PetVoiceの利用シーンを深く想像することができたことがこの結果に繋がったと深田様は分析してくれました。

オリジナル技術で特許を取得
PetVoiceのコアとなる技術は、直腸温推定の技術行動判定の技術です。

PetVoiceのコア技術

直腸温推定の技術では首周りから直腸温を推定する技術を開発。ペットの温度測定ができるウェアラブルデバイスは日本初※、直腸温を推定するアルゴリズムは世界初※の技術だそうです。(※PetVoice社の独自調査による)

行動判定の技術では、スマートフォンと同等のモーションセンサーを搭載しており、AIを活用し高精度に行動を判定することができます。小型化を実現しているため、ペットへの負担を軽減しています。

この直腸温推定技術と行動判定技術は特許を取得しています。(2022年5月現在)

今後の展望
深田社長は、今後の展望についてもお話してくれました。

深田社長の考えるターゲット市場

PetVoice社が考える「PetVoice利用必須」の犬猫は推計で200万頭以上。これは、PetVoice社の販売チャネルが動物病院ということもあり、PetVoiceの利用によってデータを可視化することに明確なメリットがある疾患持ちの犬猫の数だそうです。

深田社長は、国内でアプリに蓄積される個々のデータをサービスの軸としながら、動物病院のDXや、ペット保険、ペットフード領域へと事業を拡大した後、市場構造が似ているアジア圏への進出も視野に入れられています。

確かな技術力と明確なコンセプトで、ペットや飼い主の明るい未来が期待できますね!

■4社目:株式会社ラングレス

4社目は、ラングレス  山入端 佳那様にご登壇いただきました!

<株式会社ラングレス 代表取締役CEO 山入端 佳那様>

株式会社ラングレス  山入端 佳那様

ラングレス社は、「世界のあり方をあらゆる生きものと共に決めていく未来」を実現するため、INUPATHY(イヌパシー)~世界初・心音から心拍情報を取得し、心身のコンディションを読み解くサービス~を提供している会社です。

・ラングレス社の事業紹介

「ペットは家族の一員であるにも関わらず、話ができない」。このことがペットにおける課題を生む要因の一つではないかと山入端社長は言います。

ペットは不調を隠すという生物学的な特徴があります。そのため、飼い主はペットの不調に気づくことが困難です。ペットのうち5頭に1頭は心疾患のリスクにさらされており、幼少期・シニア期のペットには突然死の可能性もあるそうです。

そこで、ラングレス社は、心音から心拍情報を解析し、ペットのコンディションを可視化するサービスを提供しています。

ラングレス社の2大事業
ラングレス社は2つの事業を展開しています。

  1. 5つの心の状態を可視化するウェアラブルデバイス

  2. 大学や企業の研究開発で利用可能な心拍管理システム

1つ目は、心拍データから5つの心身状態を可視化するウェアラブルデバイスです。心拍データから読み取った感情に合わせて、LEDの色が変化しその時々のペットの感情を知らせてくれます。

リラックス、興奮、ハッピー、集中・興味、ストレスの5つの感情に合わせた色のLEDが発光する仕組みになっています。

ハーネスの形状をしており、ペットに装着するだけで利用できる点が他のサービスにはない特徴です。

5つの心身の状態がわかるウェアラブルデバイスINUPATHY

2つ目は、アカデミアや法人のプロダクト開発の現場で利用できる心拍管理システムの提供です。

バイタルデータの取得が難しい動物の研究現場でINUPATHY独自の解析技術を活用することで、これまでテストできなかった領域まで踏み込めるようになっています。海外の大学と盲導犬やコロナ探知犬の育成効率化に関する共同研究、国内では企業とペット向けサプリメントに対する生体反応評価・解析なども行っているそうです。

自律神経解析のアルゴリズムと首輪型デバイスの開発

これまで、このようなサービスが生まれなかった原因として、山入端社長は動物用のバイタルセンサーで日常使いできるものが無かったことを挙げています。そこでラングレス社は毛の上から心拍がとれるセンサーとリアルタイムの自律神経解析技術を開発しました。

同社が開発した、心拍の音、1音1音から解析する技術は特許を取得しているとのことです。

これまで、ハーネス型のINUPAHYを開発・製造してきたラングレス社は、ネクストチャレンジとして、首輪型のウェアラブルデバイスの開発・製造を行っています。CAMPFIREでクラウドファンディングに挑戦し、見事500万円の調達に成功されました!

首輪型ウェアラブルデバイスでは、愛犬の状態だけでなく、行動ログも取得可能となります。これにより、飼い主はペットの感情の裏にある行動まで把握でき、個性を可視化できます。

大事なペットの行動を可視化する機能

いつもと異なる心拍を計測した際に、ドッグトレーナーや獣医師に相談できる仕組みや、留守番時の見守り機能なども備えているそうです。これらにより、ペットのストレスを減らし、ペットと飼い主が幸せな瞬間をより多く創出できるようにしたいと山入端社長は話します。

今後の展望
「日常使いできるバイタルデータの取得が重要」だと語気を強める山入端社長。

今後は自社でデータを活用することにとどまらず、様々な業種・業界の企業・団体様とも積極的に連携してAnimal Welfare(動物の福祉)を実現したいそうです。

■まとめ

今回は、ペット関連の代表的な4社のお話をお聞きしました。

世界中で注目されるペット産業。その背景にはペットと人々の関係性の変化がありました。ペット業界のテクノロジー進歩は、私たちにペットとのより多くの幸せな体験を提供します。

ペット業界のテクノロジーが普及した世界は非常に楽しみですね!

今後もドコモ・ベンチャーズでは毎週1回以上のペースで定期的にイベントを実施し、その内容を本noteでレポートしていきます!

引き続きイベントレポートを配信していきますので、乞うご期待ください!!

>>今後のドコモ・ベンチャーズのイベントはこちら


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