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1/20開催【先進セミナー】復活する旅行業界の展望とポテンシャル ~トラベルテックが狙うビジネスチャンスとは~ イベントレポート

皆さんこんにちは!ドコモ・ベンチャーズです。
今回は、2021年1月20日(木)に行われたイベント

【先進セミナー】復活する旅行業界の展望とポテンシャル
~トラベルテックが狙うビジネスチャンスとは~

についてレポートしていきたいと思います!

本イベントでは、株式会社令和トラベル代表取締役の篠塚 孝哉様に登壇いただきました。

篠塚様は、令和時代を代表するデジタル旅行代理店を創ることを目標に掲げられておりますが、このコロナ禍で旅行業界が厳しいとされている中で起業された経緯や現状の旅行業界などについて、今回は質問を事前にご用意し、主にQ&A形式でお話をしていただきました。

・旅行業界の現況はどうなっているのか?
・旅行業界の課題やポテンシャルとは?
・事業を始める際に気をつけるべきポイントは何か?

こういったことが気になる方に向けた内容となっていますので、ぜひ読んでみてください!

<株式会社令和トラベル 代表取締役 篠塚 孝哉様>

300令和トラベル篠塚

<プロフィール>
1984年生まれの37歳。趣味はWine、Sauna、Travel、Soccer、ART。
2007年にリクルート入社。旅行カンパニー「じゃらん」で企画営業として首都圏大手チェーンホテルや各地のリゾートホテル、旅館などを担当。
2011年株式会社Loco Partnersを創業、2013年に宿泊予約サービス「Relux」を開始。17年春にはKDDIグループにM&Aにて経営参画、最年少子会社社長(当時)として経営執行を担う。流通額200億円、社員200名、会員数200万人。2020年3月退任。
2021年に令和トラベル創業。
同年6月には、シードラウンドで22.5億円の大型資金調達を実施、東洋経済が選ぶ『すごいベンチャー100』のうち厳選7社にも選出された。

■「あたらしい旅行をデザインする。」令和トラベル

令和トラベル社は、2021年4月に創業されました。
ミッションは「あたらしい旅行をデザインする。」ことで、
令和時代を代表する、デジタルに特化した”デジタルトラベルエージェンシー”を創ることを目標に掲げています。
Loco Partners社を起業した際は、舞台は国内の高級宿OTA(=オンライントラベルエージェシー)市場で、6年で流通額200億円を達成されました。
そして今回2回目の起業となる令和トラベル社では、篠塚様のやりたいこと(Will)と自分の強み(Can)が交錯する部分を考えた際に、最も大きい部分である海外旅行市場を舞台とし、5年で流通額1000億円を目指しているそうです。

市場規模について、OTAとツアー(ホテル、航空券、アクティビティがセットになっているもの)がそれぞれ双方約2.2兆円、計4.4兆円ある中で、令和トラベル社はまずツアー領域を扱っていくそうです。

また現在、コロナの影響で一時的に減ってはいますが、日本からの出国人数は基本的に右肩上がりなので、コロナで”ゼロリセット”されてはいるが大きなマーケットである海外旅行事業に挑戦しています。

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また2021年6月に、シードラウンドで22.5億円の大型資金調達を達成しました。
PMF前に必要最低限の資金調達を行い、PMF後に大型資金調達を行うのがスタートアップの定石であるところ、今回シードラウンドでこれだけ大型の資金調達をしたのは、プロダクト開発に集中するためだったそうです。

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■ローンチ予定のサービス「NEWT」

令和トラベル社では、新しい旅行体験として、海外旅行予約アプリ「NEWT(ニュート)」をローンチ予定です。

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「NEWT」には、”新しい”の「NEW」と、旅行に纏わるTravel, Ticket, Taiken, Tabi, Team, Techなどが「T」から始まる言葉が多く、それらの価値をサービスで提供したいという想いが込められています。
このNEWTでは、以下の4つの特徴を重要視しています。

かんたん
:大手ECサイトで物を購入する行為と同等の簡単さを追求。
おトク
:デジタル化で中間コストを削減してお得さを追求。
えらべる
:一人旅からファミリーまで旅行の目的をそれぞれ選択可能。
あんしん
:豊富な保険プランなど安心・安全な旅を提供。

アプリそのものは、煩雑になりがちな海外旅行の予約が直感的に出来るようなモダンなUI/UXで、ストレスフリーなデザイン設計になっています。

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事業構成については、5年間で1000億円を達成するため、海外旅行ツアーから事業を開始し、ホテルや飛行機の予約、国内のホテル・航空券等の販売そして海外展開(日本人が海外へ行く場合ではなく、海外の方が海外へ行く(例. アメリカ人が中国に旅行する)場合に使うサービス)へと拡大していく予定だそうです。

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「旅は、人生を豊かにしてくれて、しかも世界を平和にするパワーがある」と篠塚様は信じています。
実際に行った国や人たちが大好きで、政治や経済などの面において問題が発生してもその気持ちは変わらないそうです。
現在はまだ自由に旅行が出来ない状態ですが、今まで通りに旅行ができる世界に向けて、準備を加速させていきたいと強く思っていらっしゃいます。

<令和トラベルの各SNSなど>

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それでは、ここからメインとなっていたQ&Aセッションの内容をご紹介していきます。

■Q&Aセッション

Q1. なぜこのタイミングでの「旅行会社」なのか?
旅行業界に決めた理由とは?

A. 仕事を選ぶときの軸として、やりたいこと(Will)と自分の強み(Can)の2つを重視していますが、自分にとってそれらを兼ね備えているのが旅行業界でした。
メルカリの山田進太郎さんが、創業前にあらゆる業界やサービスを見て結果的にメルカリを創業された経緯を参考にし、自身も創業前にエネルギーや宇宙、SaaSなど、全産業を調べましたが、自分のWillとCan両方を叶えられるのが旅行業界だったのです。
さらに、旅行業界はコロナで市場が破壊したので、参入障壁が下がり千載一遇のチャンスだと判明し、海外旅行への参入をチャンスと捉えました。
コロナ禍のため海外旅行に行かない人が増え、旅行代理店は経営が厳しく再編されている状況です。アクティビティを提供する会社や旅行業法管轄など、稼働していないところも増えました。
これらの稼働率が下がったタイミングは、新参者でも参入しやすく、力を余らせている市場関係者と連携しやすいと考えました。
さらに、現状はまだまだ海外旅行が停止しているので、準備期間には最適だと考えました。
海外旅行が自由化されてからこの60年間で、今が一番のチャンスだと思い、参入を決めました。

Q2. 旅行業界の課題とポテンシャルとは?

A. 課題については、「オートメーション」に尽きると思っています。
旅行業界は、裏側でシステムがたくさん動いています。
例えば、お客さんが旅行を予約したら、まず飛行機の予約システムが動き、人数や日程、予算から最適な選択肢を出さなければなりません。
そして航空券や宿泊の予約、アクティビティなど旅行には様々な手配が必要であり、複雑で乱立したシステムの多くが人の手で行われています。
さらに、欠航やキャンセルがあると変更に対応しなければならないので、お客様をずっとフォローし続けなければなりません。
旅行業界は薄利ですが、膨大な数の社員を抱えている会社が多いため、コストが積み上がっています。なので、現状人が行っている作業をシステム化すると、利益率が高くなると考えています。
OTAは営業利益率が高いので、我々はこのOTAのような営業をしていきたいと考えています。
一番インパクトがあると考えているDX領域は、飛行機の手配やホテルの仕入れです。既に世界中にある様々なシステムを連携して開発したら省力化できますが、それらのシステムをどのように共通化するのかといった課題があります。

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Q3. 令和トラベルの新アプリ「NEWT」が提供する旅行体験とターゲットは?

A. 大手ECサイトで何かを購入する程度の容易さが、我々の提供したい価値だということは先程も説明しました。
「NEWTで予約すると何が変わるのか」とよく聞かれますが、体験自体のオリジナリティについては、あまり変わりません。
”お得さ、速さ、簡単さ”など、到達するまでの予約体験が肝だと思っています。
旅行の目的は時と場合によって様々なので、おすすめ機能や顧客一人一人に合わせたパーソナライゼーション機能は特に考えておらず、検索した人が、その時にどんな検索軸で旅行を探しているのかにマッチする結果を早く提供することが重要だと考えています。
またツアーを使う人は海外に慣れていない人であることが多いので、最大のターゲットは海外旅行に不慣れな方や、ITに得意ではない方です。

Q4. 事業のリスクはどこにあるか?
競合はあるか?
また海外で参考にしている企業はあるか?

事業の最大リスクは、もちろん現状はコロナウイルスです。
コロナ禍ではシナリオがコントロールできず、アフターコロナでも我々のサービスを選んでもらえるか、というリスクもあります。
旅行システムは使われる回数が少ないため(1人当たり年に数回)、その中で「旅行に行きたい」と思ったときに選ばれるようにする必要があります。
競合は、レガシーな旅行代理店やツアーを提供されている会社ですが、一方でこれらの会社は令和トラベルとも提携している仲間でもあるので、海外旅行の業界自体を盛り上げたいと思っています。
海外の企業では、デジタル系の会社を参考に見ています。

Q5. 国内旅行で先進している・注目している事業はあるか?

楽天トラベルやじゃらんネットは先進していると思っており、一休はレストラン予約でも伸びているので勢いに注目しています。
一方、旅行業界は海外のほうが進んでいると考えています。
例えばカナダのスタートアップHopperは、飛行機予約サイトで航空券の値段を固定して仮予約することができます。
飛行機は日によって価格が変動するので、航空運賃を予測して価格を固定するサービスを提供しているのです。
広い意味ではUberやAirbnbも参考にしています。

Q6. 団体旅行は視野に入れているか?

視野に入れていますが、一番戻りが遅い分野なので優先度が低いです。

Q7. ターゲットへのアプローチの仕方や、マーケティングについて

A. 旅行は年に1-2回のペースであることが一般的です。
海外旅行は頻度が低いので、1-2年に1回のタッチポイントをつくるために、例えば、SNS登録者数などの無形資産に焦点を当てて工夫しています。
プロダクトがない中で認知を広げるためには、販促として、最初は海外旅行のプレゼント企画を行いました。
また、ティザーサイトは情報過多で分かりにくいため、「今後のお知らせはLINEのみで発信するのでLINE登録をして下さい」と打ち出したことでLINE登録者数が増えました。
現在は、プロセスエコノミーとして、サロンのように内部の情報をLINEで定期的に発信しています。

Q8. 海外旅行の需要喚起については?

個人による海外旅行の需要喚起は難しいですが、政府関係者と一緒に、GoToのグアム版やYouTuberのプロモーションムービーなどに取り組んでいます。

Q9. 海外旅行からスタートし、国内旅行に広げていくメリットは?

「旅行」のマーケットが広がるからです。
国内旅行は、日本人による国内旅行もそうですが、インバウンドとしての訪日旅行におけるマーケットも存在します。
国内旅行も海外旅行も両方使えるサービスを目指しています。

まとめ

今回は、復活する旅行業界とトラベルテックのポイントについてお話しいただきました。
再編される市場のポテンシャルから、具体的なサービスイメージまで、わかりやすくお話いただけました!

まだまだコロナ過で先の見えない旅行業界ですが、今後の盛り上がりからは目が離せませんね!

今後もドコモ・ベンチャーズでは毎週1回以上のペースで定期的にイベントを実施し、その内容を本noteでレポートしていきます!
引き続きイベントレポートを配信していきますので、乞うご期待ください!!

次回は、同じく旅行業界の【スタートアップピッチ】トラベルテック最前線~SNS、ビッグデータ、AIが実現する最新の旅行スタイル~ についてのイベントレポートをお届けします!

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