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4/26開催【ドコモベンチャーズピッチ】ロボットが変える未来~労働力不足や健康課題を解決するロボティクスの今~

皆さんこんにちは!ドコモ・ベンチャーズです。

今回は、2022年4月26日(火)に行ったイベント、

【ドコモベンチャーズピッチ】ロボットが変える未来〜労働力不足や健康課題を解決するロボティクスノ今〜

についてレポートしていきたいと思います!

本イベントでは、ロボティクスに関連する事業を展開し、新しい事業に取り組まれている注目のスタートアップ様4社をお招きしピッチをしていただきました。

  •  ロボに興味のある方

  •  ロボの課題解決事例に興味がある方

  •  ロボ関連のビジネスアイデアや事業連携を模索している方

  •  ロボ関連の投資先を探している方

にぜひお読みいただきたい内容となっております!

以下、ピッチの内容をご紹介します!

◾️ 1社目:ugo株式会社

1社目は、ugo 松井様にご登壇いただきました!

<ugo株式会社 代表取締役CEO 松井 健 様>

ugo株式会社 松井 健 様

・ugoの事業内容

ugo社は、「あらゆる業種の人手不足をヒト×ロボの協働モデルで解決し、サステイナブルなオペレーションを実現する」というミッションを掲げ、遠隔操作・自動操作が可能な「アバターロボット」などのロボティクス技術を提供する会社です。

ugo社は単なるロボットメーカーではなく、ロボットを活用して業務をDXする仕組みをサービスとして提供しています。ハードウェア・スタートアップとしては珍しく、設計〜生産〜材料の在庫管理〜量産〜組み立て〜出荷検査まで一気通貫した「ファブライト」式の事業形態をとっています。

ugo社の考えるこれからの”ものづくり”

ugo社は、これまでのものづくりから脱却し、
・使い切る「減価償却型」ではなく、価値を蓄積していく「増価蓄積型」
・ハードウェアを販売して終わりではなく、アップデートやアップサイクル
する「アップデートし続けるロボットサービス」を社会実装するために頑張っていらっしゃいます。

では事業内容について詳しく見ていきましょう!

提供するプロダクトと各ソリューションへの展開
ugo社では

  • ugo (ユーゴー)(ハードウェアとしてのロボット)

  • ugo Platform (ロボットを活用するソフトウェア・プラットフォーム)

の2つのプロダクトを開発しています。
ハードウェアであるugoを使用することで、ユーザーは以下3つのステップを通じて業務をDX化できます。

ugoを活用した業務DXの3ステップ
  1. Robo-tization (人の業務をロボ化)
    道具としてのアバターロボットを活用し、属人的な業務を遠隔化・自動化

  2. Robo-talization (人とロボの融合で業務を仕組み化)
    業務を仕組みとして管理することで「現場データの収集→分析→改善」のフィードバックループを回す

  3. Robot Transformation (ナレッジから価値変革)
    蓄積されたデータをもとに現場のベストプラクティスをシステム化、事業変化にも柔軟に対応

人とロボットがネットワーク上で繋がることで、現地に行かなくても業務ができるようになります。その結果、人材を場所にとらわれずに配置できるようになります。

次に、ugoから得られたデータを最大限活用するためのプラットフォームが”ugo Platform”です。各業務を”Flow"というノーコードの仕組みにより、
誰でも簡単に自動化や手順化できます。ロボットにしてほしい業務を選んでやらせることもできます。

このようなハード×ソフトの組み合わせにより、警備や点検/工場、介護、
量販店など様々な現場業務をDX化し、課題解決につなげることができるそうです!!

実用化の事例
昨年度から活用が進んでいるのが警備の業務です。
総合ビルメンテナンス企業へサービス提供した事例では、2台のugoロボットを使用することで、
・日中 (8〜20時)の立哨(立ったまま不審者がいないか監視を行うこと)
・夜間 (21〜7時)の巡回警備(必要な4人分の業務を削減)
・警備日報の作成
まで行い、省人化に成功しています。
すでに複数のビルでの実導入が進んでおり、各メディアで紹介されました。

ugoによるビル警備の動画はこちら

https://www.youtube.com/watch?v=xHpZcREImCE

ugoの運動能力としては、1cmほどの段差を乗り越えられる上、片手でエレベーターのボタンを押す、セキュリティカードをかざすなどの動作もできるそうです。すでに5Gの活用も進んでいるそうです。

ソリューションに応じたフレームワークの提供

現在、様々なソリューションに応じたフレームワークを提供されているugo社ですが、今後は他のロボットとの連携や、在宅での指示出しなどについても可能な範囲で検討を進めていかれるそうです。
今後も進化し続けるugo社の警備・点検DXに期待です!

◾️ 2社目:東京ロボティクス株式会社

2社目は、東京ロボティクス 坂本様にご登壇いただきました!

<東京ロボティクス株式会社 代表取締役 坂本 義弘様>

東京ロボティクス株式会社 坂本 義弘様

・東京ロボティクス の事業内容

東京ロボティクス社は、2015年に早稲田大学初のロボットベンチャーとして設立されました。「人間共存ロボットの実現」というミッションのもと、
コミュニケーションや意図理解、他社理解ができる自律した人間共存ロボットを開発することを目指しています。

ハードウェア(ロボット本体)とソフトウェア(中身の知識の認識・学習)まで全てのレイヤーを一気通貫で開発していることが東京ロボティクス社の強みとなっています。

東京ロボティクス社の強み

一方、坂本様としては、ようやく全体技術の開発が完了したところであるという認識を持っておられるようです。東京ロボティクス社では、これまで、

・研究用途を主としたロボットの単体販売(2016年〜)
・技術供与や共同研究(2019年~)
・3次元カメラの販売(2021年~)

を行ってきました。その過程で培われた力制御機械学習といったコア技術が蓄積され、出願特許は40件以上にもなります。

そして2023年からはロボットをアプリケーションとして提供するRaaS (Robotics-as-a-Service)を事業として提供することを検討しているそうです。

人間共存ロボットを実現するための3つの独自技術
東京ロボティクス社の開発するロボットには大きく3つの独自技術が利活用されています!

・力制御技術
ロボット自体は表面が固く重量のあるものですが、インピーダンス制御という技術を使うことで、選んだ方向にだけ柔らかく腕を動かすことができるだけではなく、最大12kgの重量物を持ち上げることができます。まさにロボットの「手」を実現する技術です。

  インピーダンス制御を使った人型ロボット「Torobo(トロボ)」の動画 
  は右下リンクでご覧いただけます。

https://www.youtube.com/watch?v=839JGUNZTSw

このような技術を結集して「Toala(トアラ)」というロボットをパッケージとして提供している他、早稲田大学やNTTコミュニケーションズとの共同研究を通じて新たなソリューションの可能性を探っています。

NTTコミュニケーションズ様に技術供与した力覚伝達可能なロボット

・3次元カメラ
3次元カメラはロボットの「目」となる要素技術です。
東京ロボティクス社では、「小型軽量」・「高速・高精度」・「3D&カラー撮影」という3つの特徴を持つ「Torobo Eye」という3次元カメラを技術提供しています。それにより、光の反射が異なる物体や表面が不規則な物体を確実に検知することができます。

この技術とAIによる画像認識を用いて、農作物のように形がバラバラな物のピッキングが可能となります。

・自律移動
こちらはロボットの「脚」といえるでしょう。
全自動で決められたルートを移動する技術により、荷物をA地点からB地点に運搬する作業が可能となります。

これからの展望
東京ロボティクス社はこれまで一つ一つの技術を開発して様々な価値を提供してきましたが、、今後はそれらの技術を統合・応用し、さらなる現場課題の解決を実現しようとしています。


今後の展開

「人間共存ロボットの実現」は坂本様の夢だそうです。物流や工場関連のパートナーとも連携しながら、新たな世界を創り上げていかれるでしょう!

◾️ 3社目:スマイルロボティクス株式会社

3社目は、スマイルロボティクス 小倉様にご登壇いただきました!

<スマイルロボティクス株式会社 代表取締役CEO 小倉 崇 様>

スマイルロボティクス株式会社 小倉 崇 様

・スマイルロボティクスの事業内容

スマイルロボティクス社では、「ロボット技術で全世界に笑顔を」をビジョンに掲げ、ロボットが工場から施設へ、施設から家庭へと導入され、人の
近くで働くロボットを作り、世界をより良くすることを目指しています!

創業者である小倉様はこれまでトヨタやGoogle等でロボットの開発に携わられ、社会実装を加速させるために2019年にスマイルロボティクス社を創業されました。

今までの配膳作業を変えるロボット
スマイルロボティクス社では主に飲食店での配膳を支援する「ACUR-C(アキュラシー)」、「SHELF-E (シェルフィー)」という2種類のロボットを提供しています。

スマイルロボティクス社のロボット2種類

アーム付 配膳・下膳ロボット ACUR-C 
これまでの配膳ロボットではできなかった皿の載せ替え作業。
ACUR-Cは、店員が席番号を指定すると自動で移動、アームを使って皿を掴みそのまま配膳・下膳することができます。すでに複数の大手飲食店で導入されているそうです。

・分離合体式 棚搬送ロボット SHELF-E
SHELF-Eは、棚やラックの下に入り込み、棚やラックごと移動する「分離合体式」の特徴を持っています。
これにより、飲食店での料理の移動はもちろん、スーパーなどで商品の棚ごとお客様のところまで移動させ、PRするといった新たな販促ツールとして活用できるのでは、と考えているそうです。

独自ロボットを支える先端技術「Rust(ラスト)」
スマイルロボティクス社が提供するロボットは、Rustと呼ばれる比較的新しい言語でシステム構築されていることが大きな特徴です。

小倉様は日本におけるROS (Robot Operating System)の第一人者として活動されてきたご経歴があり、その経歴とRust言語を組み合わせることで、OpenRRという世界初のオープンソースロボット開発を2017年から行っています。これにより、高セキュリティ・高信頼性のロボットソフトウェアの構築が可能になるとともに、デバッグやテスト時間を大幅に削減できるそうです。

小倉様の開発したOpenRR

  OppenRRの詳細情報はは右下リンクからご確認いただけます。 

https://github.com/openrr/openrr

また、ハード・ソフトいずれもフルスクラッチで自社開発し、アーム技術について特許を持っています。

これからの展望
飲食店や小売店というフィールドにおいて、経済合理性の追求にとどまらず、ロボットだからこそできる新たな価値の創出を目指していくそうです。

あらゆる飲食店でロボットが配膳する世界がすぐそこまできていることを強く感じました!
ビジョンに共感する方の採用も強化しているそうですので、ご興味ある方は小倉様にご連絡してみてはいかがでしょうか。

◾️ 4社目:コネクテッドロボティクス株式会社

4社目は、コネクテッドロボティクス株式会社、沢登様にご登壇いただきました!

<コネクテッドロボティクス株式会社 代表取締役CEO 沢登 哲也 様>

コネクテッドロボティクス株式会社 沢登 哲也 様

・コネクテッドロボティクスの事業内容

コネクテッドロボティクス社は、「食産業をロボティクスで革新する」
ミッションに掲げ、2017年に飲食店向け調理ロボットを販売開始しました。

コネクテッドロボティクス社のミッション・ビジョン

沢登様の祖父母様が飲食店を楽しく営まれていたため、ご本人も「かっこいい店をもちたい」との思いで学生時代、がむしゃらに飲食店で修行をしたそうです。そして、多くの飲食店のスタッフはハードワーク、低賃金でがんばらざるをえないという現実に直面しました。

飲食業界の労働環境を改善したい!との思いから既に創業していたロボットコントローラーの事業から飲食業向けのロボットに事業をピボットしたそうです。

現在は、ロボットを通じて様々な食産業の課題を解決し、「食のエコシステム」構築を目指しています。
近年ロボットに関わる技術進歩は目覚ましいものがあり、それに伴って低価格化が進んでいます。飲食店スタッフの人手不足は深刻になっていることから今後も市場の拡大が見込まれます。

コネクテッドロボティクス社の強み
コネクテッドロボティクス社の強みは、ビジネスモデルにあります。ロボットアームなどのハードウェアはメーカーから汎用品を仕入れ、ロボットハンドのコントール制御について自社で設計・開発しています。

コネクテッドロボティクス社のビジネスモデル

これにより、飲食店は、初期導入費用とコネクテッドロボティクス社のRaaS(Robotics-as-a-Service)月額費用を支払うだけでよいため、利用コストも削減できるそうです。

すでにファーストフード店やそば店などで、様々な製品が実用化されていますが、今後はさらなる業務内容の拡大を目指し、開発を進めています。

実際のロボットの動きは右下リンクからご覧いただけます。

https://www.youtube.com/channel/UC53FEAH1B4mNtQlosZaWVIg

サービス導入における価値
コネクテッドロボティクス社の一連のサービスを利用することで、経済合理性や効率性の向上というビジネス的な観点だけではなく、作業者の負荷低減品質の安定といった「食のエコシステム」に関わる内容にまで価値を与えることが可能となります。

今後の展望
日本の飲食業界において、顧客獲得と市場の拡大を推進してきたコネクテッドロボティクス社ですが、今後はさらなる事業スケールの拡大を目指し、食産業のイノベーションを牽引するアメリカへの進出を段階的に進めていくそうです。

資金調達も検討されているとのことで、これから海外の飲食店でもコネクテッドロボティクス社のロボットが活躍している姿を見ることができるようになるかもしれません!

◾️ 5社目:AssistMotion株式会社

5社目は、AssistMotion 橋本様にご登壇いただきました!

<AssistMotion株式会社 代表取締役 橋本 稔 様>

AssistMotion株式会社 橋本 稔 様

・AssistMotionの事業内容

AssistMotion社は、「誰もが、自分の足で歩くことのできる社会の実現」をビジョンに掲げる信州大学発のスタートアップとして2017年に設立され、
ウェアラブル型の歩行サポートロボットを提供しています。

来る超高齢化社会では
・脳血管疾患の後遺症によって歩けない人が増加する
・社会保障給付費は、対国民所得費で約30%に増加する
との国の調査予測がでています。このような社会的な背景を踏まえ、 
「自立して生活できる高齢者を増やす必要がある」というのがAssistMotion社の考えです。

「平成29年度社会保障費用統計」からわかる社会保障給付費の増加
内閣府 「高齢者の状況」より 

高齢者の”歩く”を助けるコア技術2つ

AssistMotion社では、信州大学が権利をもつ複数の特許技術を活用したサービスを提供しています。中でも大きな特長は「非外骨格構造」と「同調制御法」です。

では順番に見てみましょう。

 1.非外骨格構造
一般的なウェアラブルロボットは、ロボットの骨格に身体の動きをあわせる「外骨格型」を採用していますが、器具の重量や装着のしやすさ、関節補助の柔軟性の観点で課題があります。そこでAssistMotion社ではモーターの力を直接人の関節に加える非外骨格型を利用し、これらの課題を解決するとともに、安価な器具提供を可能にしているそうです。

特長1「非外骨格構造」


 2.同調制御法
人の神経モデルをもとに構築された独自の制御モデル「同調制御法」をロボットのコントローラーの中に入れることで、ロボットがもっている正しい歩き方を人に伝えることができるそうです。

着る”ロボティックウェア curara(クララ)
上記の技術を通じてすでに歩行訓練や自立支援を可能とするロボットが製品化されています。そのうちの一つが、2021年12月にリリースされた”着る”ロボティックウェア curaraです。

curaraを使うと股関節と膝関節が自然にサポートされ、歩行に困難を感じている方が自然と歩くことができます。既存製品と比べて大変軽く、簡単に装着できるそうです。ユーザーにとってはとても大事なポイントですね。その他に、トレーニングのサポート機能やレポート機能といった特徴もあるそうです。

curara 6つの特徴

実際に月単位でレンタルできるそうなので、気になる方は確認してみてください!

curaraを使っている方の様子はこちらからご覧いただけます。(ピッチの動画をもらえれば差し替え)

https://youtu.be/rjeG_LyVKn4?list=TLGGRt-kRPekokgxOTA1MjAyMg

今後の展望
今後のロードマップとしては、モーターを使った既存のcuraraに加えて、
塩ビを用いた人工筋肉型の製品開発を通じてさらなる利用性の向上を目指しているそうです。また、医療や介護の現場から物流の現場まで、様々なパートナーとともに事業拡大をしています。

高齢者の方がみな元気に自分の足で歩くことのできる社会の実現が楽しみですね!

まとめ

今回は、ロボティクス関連の代表的な5社のお話をお聞きしました。

ロボティクスが世界を変える可能性は無限大であると知ってとてもワクワクしました!

今後もドコモ・ベンチャーズでは毎週1回以上のペースで定期的にイベントを実施し、その内容を本noteでレポートしていきます!

引き続きイベントレポートを配信していきますので、乞うご期待ください!!

>>今後のドコモ・ベンチャーズのイベントはこちら


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