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HHCHグミテロについて思うこと


2023年11月4~5日に開催された武蔵野原っぱ祭というイベントで精神作用のあるカンナビノイドを含有した食品(HHCHグミ)を不特定多数に説明なく配布した人物がおり、摂取した6名が体調不良を訴えるという事案が発生しました。
本件はSNSで大きく話題になっており、既に厚生労働省監視指導麻薬対策課にも情報は入っていると考えられます。HHCH規制は既定路線ですが、今回の一件でより寿命を縮めた印象です。

まず確認しておきたいのは、精神作用のあるカンナビノイド製品を本人の同意なく投与することは、殴る、蹴ると類似の暴力であり、これを不特定多数に対して行うことはある種のテロ行為です。絶対にやめましょう。

特に食品は効果の立ち上がりが遅く、持続時間が長いため過剰摂取に陥りやすく、持続時間も長くなります。呼吸停止などの直接的な死亡事故は成分の性質上起き得ませんが、妄想や不安が長時間続くことによる精神的苦痛は著しい場合があります。

ですので、それらの販売は本来としてはなんらかのルールで管理されるべきものです。(大麻が合法な地域でも一定のルールの下で管理されているように。)

現行状況下でも、販売事業者には事故予防のために最善を尽くす努力義務があります。私は今年の春、中目黒の花見にTHCHクッキーの出展があったことを知った際にも、そのような場で安易に精神活性のあるエディブルを販売すべきではないという苦言を呈しています。

売る側がどれだけ注意しても、何者かが悪意を持ってばら撒こうと思えば対策は不可能という声もありますが、商品開発の段階で工夫できることもあると個人的には考えます。
例えば一例として、フルニトラゼパムという睡眠薬は青色に着色されています。これはレイプドラッグとして飲み物に混入された際に変色によって気がつくように意図的に導入されたデザインです。
今回の事故のハームリダクションとして、一番簡単な商品設計上の工夫は1ポーション当たりの有効成分含有量を低下させることです。ばら撒かれた当該製品については、SNS上で“1/4にカットして食べている“という意見を見かけました。一般通念として、グミの1ポーションは1個です。人によってはカットが必要となる時点で、有効成分の含有量が多すぎる商品設計だったのではないかと思います。

テロ事件に使用された“凶器“が規制されるべきかについては議論の余地があります。銃の場合は規制が検討される一方で、刃物や自動車による事件の場合には規制という話にはなりません。
カンナビノイドは、包丁と銃のどちらに近い性質を持つのか?というのが我々が考えるべきことです。両者を分つのは、健全な使い方においてどれくらいの恩恵があるかでしょう。

このようば事故によって規制が議論される際に事業者が主張するべきは、自分達の販売している製品が公共の福祉に利するものであるということの立証ではないかと思います。

それは一朝一夕にできることではありませんが、一社でも多くの事業者がサステナブルかつ建設的な姿勢で事業を展開してくれることを個人的には願っています。

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