抗凝固管理視点でみたIABPの管理

補助循環の1つであるIABP.

いくつかある補助循環の中では,比較的侵襲性が低く,CCUなどに関わる医療スタッフの方であれば,管理する機会は少なくないと思います.

IABPに触れたことのある方は,IABP管理主要な項目の中に,ヘパリンによる抗凝固療法があることをご存知かと思います.

でも,実は,IABP管理の抗凝固療法にエビデンスがないことはご存知ですか?

それでも抗凝固療法をするのは,ガイドラインでは推奨されているからです.

今回は,この,エビデンスと推奨の狭間で,実はわかりづらくなってしまっている,IABPの抗凝固管理目線からみた,IABP管理方法の個人的まとめです.

IABPの抗凝固療法の管理チャート

IABPの抗凝固療法チャート ぷーオリジナル

➀導入時

まず,基本的にIABPの導入時の設定は1:1だと思います.

1:1アシストは,血栓リスクが少ないので,出血リスクが高い場合は,抗凝固療法なしの管理もokです.

また,抗凝固の強さは,ACTでの調整が簡便ですが,APTTでの管理の方が出血トラブルが少ないとされるので,”出血リスクが少し気になる”くらいなら,抗凝固はしつつもAPTTで管理するなどの工夫が◎.

出血リスクが気にならない場合は,JCSガイドラインの推奨は”ACT200前後”となっているので,そのようにしてもいいんですが,この値の根拠は乏しいです.かなり強めの抗凝固になるので,出血すると悲しいです.

私がみてきた施設では,せいぜいACT150-200の管理でいいとされていますし,いくつかの成書でもその程度の管理で記載されています.(≫IABP管理を勉強する時におすすめの本

➁ウィーニング時

ウィーニング時にアシスト比を下げることは,血栓リスクを高める行為です.

出血リスクが高く,抗凝固をしていなかった症例も,基本的にはウィーニング時には抗凝固すべきです.

どうしても抗凝固療法をしたくないとき,”1:2までなら抗凝固療法なしでも大丈夫”という意見も世の中的にはあるようなので,1:2にする時間を最小限にしつつ,「さっ」とウィーニングするのも,一応選択肢です.

結局のところ,血栓リスクと出血リスクの天秤ですね.


今回の話は以上です.

このチャートの細かい時間設定などは,あくまで私オリジナルの部分があるので,自分なりにアレンジして頂ければと思います.

より詳しい解説は,こちらの記事でしているので,興味がある方はご覧になってみてください.

チャートの数字設定の根拠などもだいたいわかる内容にしています.

ちなみに,ウィーニングの時間に関しても,決まった推奨はありません.
一般的には,4-5時間とされているようですが,私はもう少し短くしててしまうことが多いです💦


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