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提案、というお話

ぼくは現在、情報システム部という場所に所属していまして、その中で日々、仕事する中で感じていることを少し。

提案という言葉は対外的な存在、いってしまえば自分以外の人に対し「こっちの方がいいっすよね!」ってことを提示することです。

もうちょっとだけ言えば「これ選んだら、あんなこといいな...ってやつできちゃうんですよ!」っていうことをすることだし、なんていうかワクワクする方に誘うっていうより「あなたにとってはこっちの方がお得だ」ということを伝えること。

「結婚しよう」もその一つだし、「付き合いましょう」もそう。「あのお店に行ってみよう」もそうだし、「今日はチェックのシャツにしてみたら?」というのもそう。

例えば、営業部のやる対外提案は自社製品を買ってもらうためにするものですが、自社製品が他社製品よりも優れている点を強調して推しまくったりするわけですね。

いや、もちろんその製品とかサービスが本当に素晴らしいもので、その製品に勝るものはないと思えるぐらいというか、そもそものステージが違うレベルなのであれば推し甲斐がありますよね。

ちょっと前までの紙媒体を主とした既存メディアを利用した広告とインターネット広告といった具合に、そもそものステージが違うレベルであれば「価値」の違いは明白なんです。

けど、そうではないことって結構あるじゃないですか。

新聞を読む、という行為に対して「○○新聞の方が...」とか「△△新聞はここが...」とかというのは、細かいディテールの違いでしかないので、大きな差にはなりえません。

新聞ということでいえば、情報の即時性はネットに劣る上に、その保存性においても溜飲を飲まなければならない、なんて状況をネットが作っているということは、ネットと新聞とではすでにステージが異なりますよね、と。

広告ということをとってみても、新聞や雑誌、ラジオといった旧マスメディアの広告は効果測定がしづらいという点が圧倒的なまでに致命的なポイントです。

広告の出稿期間は「期間はいつからいつまでで何回、どのぐらいの規模で...」といった具合に出稿規定についてはこと細かく決まっているのですが、その後の「新規でみた人が何人で、その中の何人がリピーターになり、購買まで至ったのは何人でした」といったことがいえません。

「だいたい、このぐらいの影響があったんじゃないですかね〜」

「アンケートの結果、こんな結果でした」

ぐらいなもの。だけど、アンケートって嘘つけるじゃないですか。食事のアンケートを取られた際に、昨日の夜は何を食べましたか?って聞かれて、本当は焼肉をおなかいっぱい食べたはずなのに、野菜をたくさん食べました、みたいな答え方ができちゃうんですよね。

その反面、デジタルで残る行動データって嘘つけない。Webブラウザの履歴をみてみてください。確実にあなたがみてきたサイトの一覧が出てきます。

FacebookやGoogleの広告がやたらと自分のみてきたサイトとか履歴に近いものがあると感じたら、それは間違いなくそのデータを反映させた広告出稿の対象ユーザーとして見なされているからです。

そんな意味で考えてみるとFacebookの広告における精度がバカみたいに高い理由がわかりますよね。だからと言って、すべての広告をネットにした方がいいとかそんな話をしたいのではありません。

あくまでも提案のツールとして考えた際に、低いステージと高いステージでいえば、どちらのステージにある製品・サービスを売りたくなりますか、ということを言いたいんです。


ぼくが所属する企業グループ内でのIT系インフラの整備をする情報システム部としては、これまでのユーザーが使っている製品・サービスと、こちらが手札として用意している製品・サービスとではステージが違うことが重要です。

「これまでと同じことをやりたいのに効率的になった」。

「むしろやりたいことをやらなくて良くなった」。

「こんなに楽にできるようになるなんて思ってもみなかった。」

なんて感想が引き出せるように提案できないといけないということになります。というか、そうでないと不安と不満が高まり、文句を言いたくなる土壌を作ってしまいますから。

逆を返せば、それを抑制できるぐらいでないと提案の意味がないともいえます。

つまり、「ワクワクする方向に引っ張られてみたけど、実際にやってみたら確かにそんな感じだった〜!」という状態を相手に抱いてもらえれば、その提案自体は成功したといえます。

対内的な提案でもそんなことを考えてやらないとダメで、それができないと上でも書きましたが、後ほど自分たちの首を絞めることになってしまいかねません。

社内ソリューションや業務改善提案なんてものは、製品やサービスありきではなく、あくまでも中で働く人たちがどんな本質的な欲求(インサイト)を持っているのかを把握できないと成り立ちません

なぜなら、それが解決されないと不満は解決されないまま時だけが過ぎてしまうからです。

それは対外的な提案でも同じで、結局は自分ではない誰かのために提案をする、ということは、その人が本質的に抱いている欲求を満たせることが重要かつ必要なことなんだということです。


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