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「長島町に必要な映画とは」〜島生活6ヶ月経過〜

OgusuYujiです!

クーラーのある暮らしは最高です。(詳しくは前回の記事で)
おかげさまで、日々快適に過ごすことができています。本当にありがとうございました!

僕自身、長島町に移住して半年が経ちました。
同居人の土井隆が海援隊の「思えば遠くへ来たもんだ」という歌を歌っていたのですが、その曲名通り1年前には想定していなかった環境で想定していなかった仕事をしています。

僕の立場は長島大陸*映画「夕陽のあと」の長島側に立つプロデューサーという立ち位置です。(*長島町は豊かな土地によって食料、電力の自給率は100%を超え、島々から連なる広大な様子から大陸とも呼ばれています)

具体的に何をしているのか(していくのか)というと、
①映画制作費の資金繰り(今回の映画制作費や配給宣伝費は町の補助金に加え、企業・個人の協賛金によって制作されます)
②映画のPR(TV、ラジオ、新聞などのパブリシティに掲載していただく手配など)
③脚本の確認(台本の内容が 町/町民/県民/長島町を知らない人/スポンサー といった様々な方からどう見えるかという確認など)
④ディレクション(映画制作過程で映画と長島町との調整をおこなう橋渡し役)
⑤撮影現場のアシスタント(AD的な動きで現場の調整など)
⑥配給交渉(出来上がった映画を上映してもらうための交渉など)
⑦宣伝(出来上がった映画を見てもらうためのきっかけやイベント作りを計画など)

他にも細々としたことは多々あれど、以上のような動きをしています(していきます)。

自分ひとりでは絶対に作品を作ることができない状況のなか、相対する方に合わせてコミュニケーションを行いつつ、正解なのかどうか分からない判断をスピーディーにおこない、且つ素晴らしい作品を作り上げていくというとても大変な仕事であると、うまく物事が進まないにつれプロデューサー職の尊さを学ぶプロデューサーともいえない立場です。

さらに僕は地域おこし協力隊という制度で、長島町役場の特別職員として映画のプロジェクトを担当しているため、長島町の地方創生を担う映画でなければなりません。

「そもそも、映画で町おこしって出来るの?」
「もっと有効活用できることがあるんじゃないの?」

このような懐疑的な意見が寄せられることもよくあります。

ただ、はっきりと断言できます。
長島町に映画『夕陽のあと』は必要です。
僕がこの半年間に接し続けてきた"長島町"と"映画"で見えてきた答えです。
なぜなら、長島町の映画は"新しい長島町のPR"となり、"町への愛着を増幅させる"ために必要不可欠だからです。

長島町は大小23の島々からなる豊かな恵みの環境で、生産地として漁業・農業・畜産業が多く営まれています。代表する特産品は養殖ブリ、赤土馬鈴薯(じゃがいも)、芋焼酎(さつま島美人)、島みかんなどです。島に架かる黒之瀬戸大橋を渡ると、美しく舗装された道路の脇にはたくさんの花が植えられており、整備された観光スポットからは美しい景色が望めます。

長島町について対外的に掻い摘んで説明されるときは、以上のような説明になっていることが多いです。

正直、このような説明は一体誰のための説明なのだろう?と感じます。

長島町を知らない人にとって、この情報で長島町に興味を持てるのか。
長島町を知っている人にとって、また行きたいと感じることができるのか。
長島町に暮らす人にとって、長島町を説明するためにこの内容で足りるのか。

いずれの立場にも立ったことがある身としては、知らなかった時には牧歌的な印象しか受けなかったし、長島町の特産品も勿論好きだけど、その作り手の方達が見えるからこそ長島町を好きになっていっている。だから、僕はこのPRだけでは長島町の魅力を説明するには不十分だと思っています。
そして、自分は半年間関わり続けてきたからこそ、違った側面が見えてきました。

まず長島町は、島と聞いて長閑さを想像するようなステレオタイプな印象を抱く島ではないと思います。
なぜなら、60歳、70歳を超えても第一線で活躍するバイタリティに溢れた方が多いし、いくつもの仕事や役割を掛け持って働いてる人も大勢います。
仕事の付き合いだけでなく、集落の付き合いも多く、年齢の垣根を超えて隣近所と深い付き合いをしているし、町の催しに一生懸命取り組む。
そうゆう先代に引っ張られてきているからこそ、次世代の方も若々しく精力的にオーナーシップを持って地元に関わっている。

さらに、長島町は全国有数の高い出生率*を誇ります。(*全国1742市区町村の中で17位 H24年調べ)
子どもが複数人いるご家庭をいくつも見てきました。
背景には、町の子育てに対する助成制度が取り組まれていること、そして先述した集落などの形成されたコミュニティによって、子ども達を支え合う土壌が出来ていることが密接に関わっているはずです。
年に1度の大きな夏祭りでは、多くの集落で大人達が子ども達に踊りを熱心に教えています。それは、その場に自分の子どもがいるからという前提ではありません。

子どもは地域で育てていくこと」そのような価値観が脈々と受け継がれてきている長島町だからこそ、映画は「子育て」をテーマにしています。
長島で育った子どもが健やかに、立派に育っていく物語です。
映画を観終わったときには、ブリやじゃがいものイメージだけではなく、子育ての島として「産む・暮らす・育てる」イメージを持ってもらえるのではないかと思います。

そして、長島町の子育て文化があるからこそ、昨今の社会問題にもなっている育児について、きっと胸を打つメッセージを届けられ、今までのPRとは異なった、子育てに理解ある町としてのPRができていくことでしょう。

同時に、今まで大切にされてきた子育てという無形の文化が、映画によって姿かたちのある物になる。それすなわち、長島町に暮らす方にとって、今一度長島町の魅力を再認識してもらえるきっかけになるものだと信じています。
長島で生まれ育ってよかった」そう感じてもらえる映画を目指しています。

だからこそ「夕陽のあと」は長島町でないと作り上げることができない映画です。
短期的な映画の興行収入だけがフューチャーされますが、長く長島町を語る作品としてこの映画はきっと答えを導いていく作品だと願って取り組んでいます。


以上、長島町の地方創生として映画を選んだ答えを僕なりに解釈してみました。
半年かかって、ようやく長島町の映画の必需性について言語化することができたので、これからはガシガシと制作を進めていきます。
完成を是非楽しみにしてください!

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