「コンビニ」

以下、作文の練習として「コンビニ」というテーマで60分800字以内の制限で書いたものです。(2019/8/7)

 1年間のアメリカ生活で恋しく感じた日本のものの1つにコンビニがある。いかに自分が頼ってきたか、どれだけ便利かを実感するとともに、コンビニはまさに日本らしい文化だと気づいた。混雑する街中をせわしなく歩き回り、途中で必要な物を購入する。日本だからこそ、これだけ発展し、必要不可欠な存在になったのだと感じる。
 コンビニは、日本社会の縮図でもある。幅広い商品・サービスの充実、24時間営業を基本に、次々と便利な要素が加わり、便利な消費者生活を支える。一方で、経営側は苦労を強いられている。フランチャイズ経営に伴う問題や24時間体制の限界が目立つようになり、低賃金にもかかわらず煩雑は業務をこなす必要がある従業員の確保に苦しむ。また、便利さの裏には、食品ロスや包装・レジ袋等の増加によるゴミの増加など、環境への負担もある。日本社会全体に現れる問題を象徴するコンビニだからこそ、その在り方を考えることは、社会の在り方を考えることにつながる。
 あらゆる問題の大きな原因は、客は商品やサービスには次々と変化を求める一方で、自らの行動を変化させることを拒むことだ。人手不足に苦しむ店舗で外国人アルバイトが増えるが、彼らの日本語に対するクレームをよく耳にする。一方でサービスのセルフ化・機械化には難色を示す人が多い。店舗側の問題解決のための工夫に、客も対応すべきだ。
 コンビニは今やインフラのようでもあり、変化に追いつけない人々を排除すべきでないという声もあるだろう。しかし、だからこそ、必要に迫られて変化する人も多いはずだ。もしそれを拒む客が多いのなら、私たちにはこれまでの便利な生活を享受する資格はない。
 変化を担う象徴として、社会全体で持続可能なコンビニの在り方を模索し、持続可能な便利な暮らしにつなげていきたい。

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