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RABBIT HUTCH が国立競技場でライブをします

Tonight 夢は
誰にも話してはいけない

というのは安全地帯の『あなたに』という名曲の歌詞の一部だが、私も大好きな曲の、この部分に関しては異を唱えたい。

もちろん「歌詞の文脈から抜き出してそんなこと言うなよ」という声も聞こえてきそうだが、この記事のテーマのためにそう書かせていただく。

というのも、夢は周囲に言っていかないといけないと思うからだ。一人で叶えられる夢であれば別に口に出さなくてもいいかも知れないが、そういうのは夢なのかどうか怪しい。実現までのプランに自分しか出てこないものであれば、割とすぐかなってしまいそうである。もしかしたらその先にもっと大きな夢があるのならば、それまでのものは単なる目標なのかも知れない。

『夢』と『目標』の違いも明確にしておく必要がありそうだ。目標は途中の細々とした課題である。例えばあなたの夢が『国連で働きたい』というものであったとする。目標は志望の大学に入ることであり、そこを優秀な成績で卒業すること、英語やフランス語をマスターすることなどである。夢はその目標をクリアして行った先の最後の到達点と言える。また、目標はさらに細分化でき、それぞれが成長確認地点でもある。

そこでこの記事のタイトルだが、RABBIT HUTCH の後藤ひなたは、国立競技場でライブをすることを夢としている。ブログやSNSでも書いているし、ライブでもファンに明言している。これは目標ではなく、まさしく大きな夢と言えよう。RABBIT HUTCH は国立競技場でライブをします。いつか。

この世にアイドルは数多いるが、なんとなくアイドルをやっている場合、やはり潰えていく。RABBIT HUTCH としての夢があり目標がある。そしてそれを表現する。私はこのことを評価したい。後藤ひとりの力では叶えられないことは明白であり、メンバーや仲間がいて、その他多くの人の助けがいる。公にすることで助けてくれる人が次々と現れる。

かの『ももいろクローバー(Z)』は売れる前、『紅白歌合戦出場』が夢だと、しつこく公言していた。結果は言わずもがなである。言わないと誰も気づかないし、本気度が伝わらない。それと照らし合わせて本人の努力量も測れないから評価もしにくい。結果、叶うものも叶わなくなってしまうのだ。

Tonight 夢は
密かにしていてはいけない

続いてこれを観て欲しい。

Hope invites, 訳すと、『希望は招く』。話中では『思いは招く』としている。植松さんは「想い続けるのは大事です」と言っている。おじいちゃんおばあちゃんに応援された夢 vs それを潰そうとする学校の先生。前者の言葉は「希望は招く」であり、後者の言葉は「どーせむり」である。

世の中には夢を語るとなんでか否定的なことを言う人が必ずいる。文字通り、本当に、必ず、いる。不思議である。植松さんの学校の先生だけでなく多くの大人が言う「夢を追ってないで、安定したいい会社に入るために勉強しろ」という価値観は、さて今ではどうだろうか。

実質的な日本一の会社、トヨタ自動車の豊田社長は「終身雇用を守っていくのは難しい」と言った。トヨタだけではない、もはや「ニッポンのいい会社」に入ってもリストラまたはそれに準じた形に収まるニュースには枚挙にいとまがない。

ももいろクローバーが語った夢『紅白歌合戦出場』はいわば平成までの成功モデルであろう。それを叶えるためには所属事務所の規模や立ち位置、業界の後ろ盾などの組織的なパワーが必要だった。しかし RABBIT HUTCH 後藤ひなたが語る夢が『紅白歌合戦出場』ではなく『国立競技場でライブをする』というのは、ざっくり言うと集客さえ抑えることができれば良いのである。もちろん簡単なことではないが。

ちなみに、そういう夢を彼女が語ったのは、きっと時節の意と言うか、巨大組織NHKならびにテレビというものの価値が、彼女たちの世代では薄れていることの表れなのだろう。将来的には日本のテレビは天気予報と老人向けの番組やCMだけになり、エンタメなどのコンテンツは Netflix で、ニュースは YouTube で観るようになるのかも知れないな、と個人的には予想している。

私は地道にがんばっている彼女たち RABBIT HUTCH を心から応援している。否、応援するに値すると思っている。パフォーマンスから驚くほど真剣さが伝わってくるのであり、日々の努力を怠っていない。それだけに、その夢が叶うのであれば、既得権益を振りかざす組織ではなく、インターネットで地道に集客する個人の方がエンパワーされていることの証明にさえなるのだ。そして、続く世代へ『新しい夢の見方』を提示してくれるだろう。アイドルには多くの人に夢を与えるその役目がある。

私も不惑を越えて、かつての友人たちが夢を叶えて大成している。翻って自分を省みるとそうではない。おそらく「どうせ」という気持ちの方が強かったり、他人の目を気にしたり、言うなれば『夢を見る力』が劣っていたのかも知れない。ぜひとも、なんとしても、RABBIT HUTCH にはそんな私を国立競技場に連れてって欲しいのである。