世界一周 チェンマイ・タイ古式マッサージ 前編

世界一周 チェンマイ・タイ古式マッサージ編

このノートは2017年2月初旬〜約2週間分のお話です。
マッサージスクールで3つのコースを受講するうちの1つ目、タイ古式マッサージのクラスが始まってから終わるまでの日々です。
少しずつ更新していきます。

・5/2 更新完了!
その6〜その9は後半で読めます。

1.たびのはじまり
旅行、ではなく、旅がしたかった。

旅と旅行に一体何の違いがあるの、と問われたら、そこにはそれぞれの旅と旅行が存在していると思う。人それぞれの旅、人それぞれの旅行。

私にとって旅行とは、行き先があり、プランがあり、帰る日が決まっている。
そして私にとって旅とは、行き先はあるがやることは決まっていなくて、帰る日も未定、行き当たりばったりなことを指している。

そしてできれば、あちこちを忙しなく訪ねるより、一か所に腰を据えてその街をじっくり楽しむスタイルにしたかった。
たった数日では街の雰囲気や人々の生活、自分とその街の相性や物語が見えてこない。
図書館に行ってじっくり時間をかけてお気に入りの本を探すように、お気に入りのカフェやレストラン、公園、道、スーパーをひとつひとつ見つけていきたい。
世界は私にとって大きな図書館のように感じる。読みたい本は山のようにあり、いくつも部屋がある古い図書館。中には地下室や隠し部屋があったり、花が咲き誇り蝶が舞う中庭、日の差し込むカフェテリア、誰もこない仮眠室なんかもあってほしい。
どの部屋に行っても面白い本があり、時間はいくらあっても足りない。
死ぬまで大きな古い図書館を彷徨いながら本を読み続ける。私はそんな世界に生きている。

チェンマイへ行こうと決めたのは、マッサージの勉強をしてみたかったのと、バンコクほどはゴミゴミしていないだろうという理由だった。
都会よりは田舎の方がいいし、チェンマイくらいの規模だったら見て回るのも楽しそうだ。気温も温暖で治安も悪くなさそう。まだ行ったこともないし、いろいろ調べてみようと思い立ってからは早かった。
飛行機の予約をしたり、旅程を考えたりすることは私の人生で一番楽しいことのひとつである。旅のことを考える時間、プライスレス……。
ぜひ他の人の分まで考えてあげたい。

長い旅に出かける前には必ず、家中を念入りに掃除する。
ガス台を磨いて、床に雑巾をかけ、エアコンのフィルターも掃除した。
冷蔵庫の中をチェックして生鮮食品はきっちり食べ尽くし、調味料なども古くなっているものがあったら捨てる。
窓を磨き、シーツを洗って、洗濯物をたたんでタンスにしまう。
いつも以上にピカピカに掃除すると、気持ちよく旅立てる。帰ってきた時も部屋が整然としてた方が嬉しい。
今この瞬間も、綺麗に掃除した私の部屋が私の帰りを待ってくれている。

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