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◆忍殺TRPG◆ 【ショドー・カリグラファー・ヴァーサス・アングリー・ライオン・アンド…】前編 ◆ソロアドベンチャー・リプレイ◆

◆毒々◆この記事は三笠屋=サンが投稿されたニンジャスレイヤーTRPGのファンメイド・ソロシナリオである『ニンジャのアルバイト』のリプレイ小説です◆羊毛◆

◆ハーフペーパー (種別:ニンジャ)        PL:どくどくウール
カラテ       4    体力        4
ニューロン     6    精神力       6
ワザマエ      5    脚力        3
ジツ        0      万札        6
DKK       0    名声        2

◇装備や特記事項
◆家族の写真:【DKK】獲得をキャンセル(1/2の確率で使い捨て)
◆『ショドー十段』:各シナリオ終了後の評価タイムにおいて、このキャラはチームの報告書を
          自らのショドーによって提出したことにし、D6を振ってもよい。
          出目が6だった場合、チームの評価が1段階向上するが、
          出目が1だった場合は慢心による誤字を指摘され評価が1段階下がる
         (どちらの場合も評価リストの上限と下限を超えることはない)。

交通事故に遭って死に瀕していたショドー家の女に突如ニンジャソウルが憑依。
そのままソウカイヤに拾われた。カラテに乏しいものの頭の回転が速く、
モータル時代に培った高いショドーのワザマエを生かして組織の役に立っている。
一人暮らしだが生き別れの妹がおり、常に彼女の写真を懐に忍ばせている。

今回のソロアドベンチャーに挑むのはおなじみハーフペーパー=サンです。
彼女のこれまでの冒険についてはこちらの記事をご覧ください

ハーフペーパー=サンは前回の冒険で【万札:12】【名声(ソウカイヤ):2】と二日間の【余暇】を獲得しました。そして早速手に入れたお金で手頃なマンションに引越し、ソウカイアパート生活から脱したのです!

(この新アジトは黒鷺あぐも=サンが作成されたものを使用させていただきました。アジトに困っているソロアドニンジャたちは是非◆しよう◆)

広々としたリビングに安らげる仮眠室。トレーニングに必要不可欠なドージョー電算室はもちろん、念願のトイレと少々窮屈だけどユニットバス。そしてベランダまでついた素敵な新居です!ワーワーワオー!

このユニットバスというのはあくまでも「そういうことになっている」というだけのフレーバー的なものであり、本来のアジト設備としての風呂の効果(各シナリオ開始時の【精神力】初期値が+1される)はありません。

しかし、その分必要な家賃も増えました。以前のソウカイアパートならシナリオ終了毎に【万札:1】で済みましたが、このマンションはシナリオ終了毎に【万札:3】が必要です!家賃の支払いに追われる生活はもうコリゴリなので、ハーフペーパー=サンはまとまったお金を貯めて部屋の買取を考えているようです。そのために必要な額は…【万札:15】!大金です!

ひとまず彼女は余暇の一日目に新しいドージョーで巨大な筆を素振りするなどの過酷なトレーニングを行い、カラテ値を3から4にパワーアップさせました。もはや一端のソウカイ・ニンジャと呼んで差し支えない実力ですね!

そして余暇の二日目、少しでもお金を稼ぐためにモータルハンティング…は気が進まないので、特技であるショドーを路上で販売することにしました。ニンジャ身体能力ショドー三十段のワザマエによって書き上げられていくショドーは道行く人々の興味を惹きましたが、如何せん場所と価格設定がよくなかったのでしょうか、一枚も売れずにその日を終えてしまいました…。

やはりお金を稼ぐには日々ソウカイヤから与えられるミッションをこなしていくのが一番の近道。動じないハーフペーパー=サンはすぐに気持ちを切り替え、与えられた仕事である月々のミカジメ・フィー徴収のため、とある小規模ヤクザクランの事務所に訪れました。それが、今回の事の発端です。

それでは早速プレイしていきましょう!

◆◆◆◆◆◆

「ごめんください」そう言いながら事務所に入ってきたのは、キモノを着た細身の女だった。ここがカタギの企業オフィスならば何の問題もなかったであろう。だが、ここは小規模とはいえ泣く子も黙るヘルライオン・ヤクザクランの事務所である。当然、招かれざる客にはそれなりの対応がなされる。

「ア…?なんだテメッコラー…」モヒカン・ヘアーのレッサーヤクザが女に近付き、ドスの利いたヤクザ・スラングを浴びせかける。「オイ、ネエちゃん。ここはマナー教室じゃねェんだよ。ワカル?」女は何も言わずにモヒカンヤクザの目を見返した。モヒカンヤクザはその瞳に秘められた圧力に僅かに気圧されるが、すぐにその反抗的な態度に怒りを覚えて脅しを続けた。

「ケッ!なんだその目はよォ!気にいらねえ…スッゾオラー?それとも何か?ネエちゃんもしかして、オイランにでもなりたくてここに」「イヤーッ!」「グワーッ!?」ブッダ!突如としてモヒカンヤクザは首を右75度回転させながら吹き飛んだ!女が目にも留まらぬ速度で平手打ちを放ったのだ!しかし、大の男を平手一発で弾き飛ばすこの女の腕の力は一体!?

「何があったケンゴーッ!!」騒ぎを聞きつけたワカガシラが血相を変えて部屋に飛び込み、床に倒れ伏しているモヒカンヤクザと、無言でこちらを見据えているキモノ姿の女とを交互に見、顔を真っ青にして走り寄ってきた!

「ア…アニキィ…!こいつがオレを」「この…ボケがーッ!!」「グワーッ!?」ナムサン!突如としてモヒカンヤクザは首を左45度回転させながら吹き飛んだ!ワカガシラが強烈なパンチをその顔面に叩き込んだのだ!ケンゴと呼ばれたモヒカンヤクザはわけがわからず、涙目になりながらワカガシラに問うた。「アニキ、ナンデ!?」「ワドルナッケングラー!テメエこの方はなァ!わざわざソウカイヤからミカジメの徴収に来てくださった…」

こほん、と咳払いがひとつ。二人のヤクザは思わず振り向く。キモノ姿の女が、いつの間にか取り出したショドー半紙を広げていた。「ドーモ、ヘルライオン・ヤクザ=サン。私はこういう者です」奥ゆかしいオジギ。彼女が持つ半紙には、美しく繊細な字で『ハーフペーパー』とショドーされていた。

「ド、ドーモ!ハーフペーパー=サン!自分はこの事務所を預からせてもらってるカツミという者です!その…ウチの若いモンがとんでもないシツレイを!スミマセンデシタ!」ワカガシラは誠意と謝罪の120度オジギと共にアイサツを返す。泣く子も黙るヘルライオン・ヤクザクランのワカガシラともあろう男が、これほどまでに低姿勢の対応をするとは!?モヒカンヤクザ…ケンゴは困惑し、そして理解した。ソウカイヤ。つまりこの女は…!

「お気になさらず。私も思わず手が出てしまいましたから、オアイコということにいたしましょう」オジギ姿勢から身を起こした女の口元は、クロスカタナ紋が刻まれた漆黒のメンポに覆われていた。つまり。(ニンジャだ…!)ケンゴは自分がどれだけ恐ろしいヘマをしでかしてしまったのかを理解し、遅れてやってきたNRSによってしめやかに失禁し、ドゲザした。

◆◆◆

「本当に申し訳ない…!」応接間に通され、ヤクザソファに腰掛けたハーフペーパーはカツミより再度の謝罪を受けた。「あの、本当にもう結構ですので。ミカジメの方をお願いします」「ハイヨロコンデー!」カツミが金庫からカネを取り出している間、ハーフペーパーは先ほどの自身の行動を反省していた。逆鱗に触れられたとはいえ、ついカッとなってしまった。

ソウカイヤ傘下であるヤクザや企業を締め上げるためにニンジャの力は非常に有効ではあるが、かといって暴力衝動の赴くままみだりにカラテを振るってしまうのはうまくない。甘言と暴力。アメとムチ。それらを巧みに使いこなし、反感を抑えつつカネを搾り取る。それができて初めて一端のソウカイニンジャだ…と、ソニックブームからは教えられていた。ヤクザの作法だ。

「ドーゾ、ハーフペーパー=サン。今月分のミカジメです。お納めください」「ドーモ。確かに」そうこうしている間にカツミが戻ってきた。アタッシェケースいっぱいに詰め込まれた万札をしっかりと受け取る。これで今日の仕事は終わりだが…「シツレイします!」「オウ、届いたか」「…?」

スキンヘッドのレッサーヤクザが、スシの入った重箱を持って応接間に入ってきた。それも上等なオーガニック・スシだ。サケまで用意してある。「これから皆さんでお食事ですか?でしたら私はそろそろ…」「い、いえとんでもない!」席を立とうとしたハーフペーパーを、カツミが慌てて引き止める。「これはあなたに召し上がっていただこうと用意したものです。ハーフペーパー=サン、遠慮せずドーゾ」「ええっと…?」彼女は困惑した。

「あの、もし先ほどのお詫びということでしたら、再三申し上げていますようにお気になさらないでと…」促されるままにオーガニック・イクラ・スシを口に運びながら、ハーフペーパーは遠慮がちに言った。だが、カツミの瞳に浮かんでいるのは媚び諂いの色ではなく。「いえ、違うんですハーフペーパー=サン。もちろん、先ほどのシツレイはどうにかしてお詫びしたいと思っていますが…これは別件のお願いです…!」真摯な、懇願の色であった。

「ハーフペーパー=サン!」「アッハイ」カツミは突然床にドゲザした。「重ねてシツレイを承知でお願いしやす!どうか、どうかこの卑しいヤクザのために、メキシコライオンを手に入れてきてくださいませんかッ!?」「メ…メキシコライオン、ですか…?」「そうです!実は先日…」

◆◆◆

カツミが語るところによれば、現在、ツキジのとある倉庫には密輸入されたメキシコライオンが保管されているのだと言う。それを強奪し、老いた彼のオヤブンに献上することで、クラン内でソンケイを高め、跡継ぎ候補として存在感を出したいのだそうだ。

凶暴なオーガニック猛獣であるメキシコライオンは強さと無慈悲さの象徴として人気が高い。闇カネモチやヤクザ・オヤブン、暗黒メガコーポ重役などにとって、邸宅でメキシコライオンを飼育することは自らのパワーを誇示するのみならず、ヘマをした部下や裏切り者をライオンの檻に放り込んで処刑させることで内外に無慈悲さをアッピールできるという実用性も兼ね備えているのだ。

何より、ヘルライオン・ヤクザクランはその名の通りライオンをクランの象徴として掲げているヤクザであり、実際にメキシコライオンを飼育しているとなれば名と実が伴い、そのソンケイは計り知れないだろう…!

だが、稀少なオーガニック生物であり、凶暴極まりない猛獣であるメキシコライオンの捕獲は困難を極める。需要に対する供給の追いつかなさからその値段は年を追うごとに跳ね上がっていき、今ではとても弱小ヤクザクランのワカガシラが出せる程度の金額ではなくなっている。そこでニンジャであるハーフペーパーの力を借り、強奪したいと言うのだ。

(これは前金です。もし仮にうまくいかなかったとしても、そのまま返さずにお受け取りください)そう言いながら、カツミは2枚の万札を差し出した。(成功すれば追加でこの3倍支払わせていただきます。どうか、どうか…!)(…わかりました。そこまで仰るのなら、私にお任せください)(ア…アリガトゴザイマス!アリガトゴザイマス…!)ハーフペーパーは前金を懐に収め、捕獲用の麻酔銃を受け取って早速ツキジへと向かったのだ。

「最近どうも湾岸地区に縁が深いですね…」ハーフペーパーは呟きながら歩を進める。ツキジ・ディストリクト。ここはネオサイタマ最大の漁港であり、無数のマグロ撲殺施設や冷凍コンテナ、大小様々のイタマエ・ドージョー、チベット宗教要塞めいたオイラン砦などが猥雑に立ち並び、地下には殺人ブッチャーが徘徊すると噂されている。だが、今日の喧騒は一際大きい。

つい先日、とあるソウカイニンジャの探索によって地下ダンジョンから大量の冷凍オーガニック・マグロが発掘されたことにより、ツキジは歴史上幾度目かのマグロ・ゴールドラッシュを迎えていたのだ。廃倉庫のいくつかは探索ベースキャンプとして改装され、重サイバネのスラッシャーや暗黒メガコーポの探索傭兵などの危険なアウトローが辺りを闊歩している。

ハイハイハイ、このカタナ!殺人マグロの骨だってスッパリだ!ワザモノ!今なら大特価!」「アカチャン、オッキクネ」「湾岸警備隊払い下げの新式カスタム・チャカあるよ!安くしとくよ!」「イカチャン、オッキクネ」それらを目当てに銃やカタナ、薬物を売りさばく露天商、スシやイカケバブの屋台、前後コンテナの前から扇情的な眼差しを向けるオイランなども集まり、周囲は一種異様な…ある種オマツリめいた活気に包まれていた。

アウトローや違法屋台が立ち並ぶここは、一般市民ならば恐ろしくて近寄ることすら躊躇う危険地帯だが、ニンジャであるハーフペーパーにとっては何の問題もない。彼らも後ろ暗い身である以上、ニンジャの力で騒ぎを起こしてもマッポに通報される心配は無いだろう。「……指定の倉庫はあっちね」

ハーフペーパーは喧騒から離れるように廃倉庫群を歩き、カツミから聞いたメキシコライオンが保管されているという倉庫へと到着した。「うん、間違いないみたい」彼女の鋭敏なニンジャ聴力やニンジャ嗅覚は、倉庫の中から漏れ出してくる動物の息遣いや獣臭をハッキリと感じ取っていた。

「流石に施錠はしてありますね…」ダンジョン入り口からやや離れた場所にあるためか辺りに人は無く、また見張りも立ってはいないが、倉庫の扉には厳重なロックが施されていた。物理か、電子か。どちらにせよ開錠を試みる必要があるだろう。「まだあまり慣れませんけど、ここはハッキングで…」

【ニューロン】判定:6d6>=4 = (3,2,3,2,1,5 :成功数:1) = 1 成功!

ハーフペーパーはキモノの袖を捲くり、ハンドヘルドUNIXをドアロック制御システムと直結。存外素早いタイピングを行い……キャバァーン!「よしっ」見事にロックを解除した!ソウカイヤ支給ハンドヘルドUNIXはこうしたハッキングやIRC通信、位置情報送信など多様な機能を持つ優れものだ。

「オジャマシマス…」ハーフペーパーは扉を開き、しめやかにエントリーした。LEDボンボリが放つ頼りない明かりで薄暗く照らされた倉庫内には十数個の鋼鉄製ケージが並び、ケモノ臭さと動物の唸り声に満ちている。

「さて…メキシコライオンチャンはどこにいるのかしら」ハーフペーパーは床に正座し、懐から筆ペンと半紙を取り出した。最低限のショドー・セットである。「……」瞑目し、精神を集中させる。彼女の周囲の鋼鉄ケージ内にいる動物達も異様なアトモスフィアを察知し、静まり返った。そして…!

キエーッ!」凛としたシャウトが廃倉庫内に響き渡り、ハーフペーパーの腕が恐るべき速さで振るわれる!ニンジャの速度だ!半紙に記されていたショドーには力強い「獅子」の漢字と、方向を指し示す矢印!ライオン位置情報!これこそがショドー時の極度集中によって、無意識的かつ一時的にニンジャ第六感をブーストさせるハーフペーパーの特技、ショドー占いである!

「ライオンは、あっち!」自らが書き記したショドーを頼りに倉庫を駆け抜け、ハーフペーパーは目当てのメキシコライオンが入った檻へと辿り着いた!「見つけました!あとはこの麻酔銃を撃ち込むだけ…よいしょ」彼女が慣れぬ銃を構えようとした、その時である!「ザッケンナコラーッ!!

BLAM!突如として廃コンテナの陰からチャカ・ガンを構えた警備クローンヤクザが飛び出し、ハーフペーパーに向かって発砲した!「イヤーッ!」ハーフペーパーは瞬時に思考を切り替え、飛来する弾丸に対処する!

【回避】判定:6d6>=4 = (1,5,6,5,6,6 :成功数:5) = 5 成功!

「チェラッコラー!?」ひらりひらりと弾丸をかわしながら接近するハーフペーパーに、クローンヤクザは再び発砲せんとするが、しかし!「イヤーッ!」「グワーッ!」ナムアミダブツ!ハーフペーパーは引き金が引かれるよりも素早く踏み込み、掌底を叩き込む!吹き飛ぶクローンヤクザ!だが!

「アバッ…ザッケ……!」わずかに急所を外していたのか、クローンヤクザにはまだ息がある!ハーフペーパーは虫の息のクローンヤクザにカイシャクをすべく近寄っていくが…「ザ…ッケンナコラーッ!BLAMBLAMBLAM!死にかけヤクザは最後の力を振り絞り、震える手で銃を数発撃った!だが!

「……」ハーフペーパーは避けようともせずに歩き続ける。彼女のニンジャ動体視力は、ヤバレカバレで放たれた弾丸の全てが自分に命中する軌道ではないことを見切っていたのだ。銃弾はてんでバラバラの方向に飛んでいく。「アバッ」最後の力を使い果たしたクローンヤクザは、そのまま事切れた。

「ナムアミダブツ」ハーフペーパーは片合掌で簡素に祈りを捧げ、改めてメキシコライオンに麻酔を撃ち込むべく銃を構え…愕然とした。「GRRR…!」「そんな…!?」獰猛なるメキシコライオンが、檻の外に出ているではないか!「一体何が…あッ」ハーフペーパーは倉庫内に目を走らせ、発見した。

倉庫壁面に設置された制御用UNIXがバチバチと火花を散らし、黒い煙を吹いている。先ほどのヤバレカバレで放たれた銃弾がUNIXに命中して誤作動を起こし、メキシコライオンの檻にかかっていた電子ロックを解除してしまったのだ!なんたる死に物狂いのヤクザ執念が引き起こした偶然か!

GRRRR…!」「麻酔は…間に合いませんね…!」メキシコライオンは怒りに満ちた視線をハーフペーパーに向ける。無理やり連れてこられたライオンの目には、密輸業者もハーフペーパーも変わりない敵として映っているのだろう。「GROWL!」一際大きく吠えたライオンは、鋭いツメに野性のカラテを漲らせてハーフペーパーに飛び掛ってきた!ダブル・ネコ・パンチ!

【回避】判定:3d6>=4+3d6>=4 = (4,6,5 :成功数:3) + (6,3,5 :成功数:2) = 5 どちらも成功!

「イヤーッ!」ハーフペーパーはしなやかな身のこなしで恐るべきメキシコライオン前足交互ニ連続カラテ攻撃を回避し、バク転で距離を取り…「イヤーッ!」「ARRRRGH!」フェイントめいて瞬時に踏み込み、ライオンの鼻っ面に痛烈な裏拳を叩き込む!「GRRR…」野性の本能で彼我の力量差を把握したメキシコライオンは生存を優先すべく逃走を選択、倉庫出口へ向かって走り出した!「逃がすわけにはいきません!」麻酔銃を構えるハーフペーパー!

【ワザマエ】判定:5d6>=4 = (5,5,6,6,6 :成功数:5) = 5 成功!

パシュッ、という音を立てて放たれた麻酔弾は過たずメキシコライオンに命中。「ARRRRGH…」猛獣は倉庫出口目前で力尽き、そのまま眠り始めた。「ふぅ…一時はどうなることかと」ハーフペーパーは麻酔銃を降ろして額の汗を拭うと、ヘルライオン・ヤクザクランのカツミにIRCで連絡を行った。『ライオンは眠らせました。回収をお願いします』『ハイヨロコンデー!』

これでハーフペーパーの仕事はほぼ終わりである。あとはカツミの部下のレッサーヤクザ達が回収用トレーラーにメキシコライオンを乗せ、ヘルライオン・ヤクザの事務所に護送。約束の報酬を受け取って帰宅するのみだ。「あとちょっとお金を貯めれば家賃に追われる生活ともオサラバできますね…」

深い眠りについたメキシコライオンの毛皮をこっそりと撫でながら、ハーフペーパーは報酬の使い道に思いを馳せた。気の緩んでいた彼女は、その様子をコンテナの陰から伺う謎めいた存在を、察知することができなかった。


【ショドー・カリグラファー・ヴァーサス・アングリー・ライオン・アンド…】前編終わり。
【ショドー・カリグラファー・ヴァーサス・アングリー・ライオン・アンド…】後編に続く。

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