見出し画像

ベトナム旅day1~大阪・ホーチミン~

泉佐野駅近くのドミトリーで目覚めた。
頭痛、吐き気、、、体が鉛のように重たい。
いつ寝たのか思い出せず、状況が把握できない。
昨日の記憶をたどってみると、立ち飲み居酒屋で見知らぬおいちゃん二人と何度も乾杯を交わしたことを思い出した。と、同時に5:49泉佐野駅発関西空港行の電車に乗らねばならないことを思い出すと鼓動が激しくなった。真っ暗闇の中、手探りでスマホを見つけ出し電源をつけると朝2時であることが分かった。一安心。5時にアラームをセットすると再び眠りに落ちた。

再び目を覚ますと、相変わらず体調は最悪だ。
シャワーに入り、荷物を纏めると重い足取りで駅に向かった。
自動販売機でポカリを二本買い、9分間電車に揺られると関西国際空港に着いた。

チェックインカウンターに向かい、チケットが発券されるとこれから始まる旅への実感が沸き上がった。ワクワクに胸を膨らませながら保安検査を終え、免税店エリアを通り過ぎるときの香水の匂いが5か月前の初海外経験を思い出させた。

9:30大阪-13:30ホーチミンの飛行機に搭乗し指定された窓際の座席に座った。のんびりしていると、隣の席の60代と思われる男性に親し気な様子でベトナム語だと思われる言語で話しかけられた。どうやらベトナム人だと思われたようだ。反射的に困惑した顔をした僕を見ると、「日本人ですか?」と日本語で話しかけられた。その男性は日本在住のベトナム人で、流暢な日本語でベトナムでの注意事項・おすすめの食べ物などを親切に教えてくれた。初めての一人での海外で不安を感じていたが、このやり取りで不安が和らぎ、6時間の空の旅の大部分を快適な睡眠で過ごすことができた。

ほぼ定刻通りにホーチミン・タンソンニャット空港に着陸し、飛行機から降りると東南アジア特有(2回なので知らんけど)のモワッとした空気に包まれた。人口密度の高いバスに乗り、ターミナルに到着すると人の流れに着いていくと入国審査のための長蛇の列ができていた。かなり長い待ち時間を覚悟したが比較的スムーズに進んでいき、自分の審査も20秒程度で終わった。

制限エリアから出ると、まず初めに両替店を探した。空港での両替はレートが悪いとネットに書いてあったので3000円分だけベトナムドンに変えた。(レートについて何も調べていなかったので、実際にレートが悪かったのかよく分からなかった)その後、客引きに連れられるがままに時間無制限5Gのsimを購入したが、桁の多さ・何円が何ドンなのか知らなかったこともあり価格を覚えていない。simを購入したのちに、さすがにヤバいと感じてググってみると1000ドン=約6円であると知った。

空港を出てみるとタクシーのこれまでかというほどの勧誘、そこかしこで鳴り響くクラクションに異国情緒を感じ、初めての1人旅に不安を覚えた。貧乏旅行なのでタクシーに簡単に乗ることができるわけもなく、バス乗り場らしき場所に行くと1台のバンが停まっていた。恐る恐る乗り込むと運転手・お金徴収係(?)の2人が乗っていた。お金徴収係(?)に唯一予約していた宿の地図を見せるとどうやら近くまで行くらしい。それから5分ほどの間に、沢山の欧米人バックパッカー、少しのアジア人と現地人で一杯になると出発した。市街地まで45分ほど掛かるというので500円くらいはするのかな、なんて思っていると5000ドン(30円)だった。見慣れない街並みに見とれながら45分ほどバスに揺られているとお金徴収係(?)が「Next!」と次のバス停での降車を促してくれた。

バスを降りるとグーグルマップに従って予約した宿まで20分くらい歩いた。予約した宿は538円のドミトリーであり期待はしていなかったが、意外と清潔で寝るには十分であった。案内されたベットに荷物を降ろし、安心したのも束の間、激しい空腹に気が付いた。現在時刻15:30(日本時間17:30)、昨晩から何も口にしていなかった。バックパックから地球の歩き方を取り出し、人気だとされているバインミー店を目指して宿を後にした。歩道にバイクが大量に止まっていたり、店の座席になっていたり非常に歩きにくい道を15分ほど歩いただろうか、旧市街の中心部だと思われるエリアに入った。想像していたベトナムとは違うなと街並みを眺めながら、さらに5分ほど歩くとお目当ての店に到着した。

日本のカフェと遜色ない清潔感のある店内に入店すると、フランスパンの良い香りで充満していた。メニューの一番上にあった5万ドンのチキンバインミーを指差しで注文すると、フランスパンを焼き、側面に切り込みを入れると、手際よく具材を挟み込み、目のまえに届けられた。腹の空いた僕は、大きな一口で齧りついた。外はサクサク、中はふんわりのフランスパンにパクチーの独特で癖になる香り。最高においしかった。しかし、日本ですら、一人で外食をすることが無い僕には、この感動の表現の仕方が分からず複雑な感情を抱いた。

店を出ると、することも特に思いつかなかったのでバックパッカー街・ブイビエン通りを目指した。通りすがった公園では薄暗い中、多くの子供たちがバトミントンやサッカーをして遊んでおり、少子高齢化が進む日本ではなかなか見られない光景だった。そこから数分歩くと、地元民・観光客で繁盛したローカル店を見つけたので入店してみた。そこは有名なフォーのお店らしく、牛肉のフォーとサイゴンビールを注文した。二日酔いでお酒を飲むつもりはなかったのだが、初日にお酒を飲まないのは自分の肝臓に失礼な気がした。ものの1,2分で牛肉のフォーと大量の香草が運ばれてきた。食べ方がよくわからなかったがあたりを見回して、見よう見まねで食べてみた。つるつるのライスヌードル、牛肉の出汁が効いたスープに日本では食べなれない香草にマッチして美味だった。しかし、相変わらず感動を表現できない僕は、一人旅が向いていないのかなと、残された8日間を想像し絶望した。

食べ終えると、町全体がナイトクラブのような爆音に包まれたブイビエン通りを通過し、帰り道にあるベンタイン市場に行ってみた。食品からブランドコピー品まであらゆるものに埋め尽くされたマーケットであったが、疲れ切った僕は一通り見まわると、ドミトリーに帰ることにした。

ドミトリーに到着し、シャワーを浴びてベットに座った。都会の喧騒に疲れ果てた僕は、狭く閉塞されたベット一つの空間が異常に居心地よく感じた。さあ、明日は何しよう。あまり馴染むことができそうにない大都会ホーチミンから脱出したい一方で、幾つかの観光地には行くことを決めていたので明日の夜発の寝台列車を取ることを決めた。ネットで予約をしようと試みたが、言葉がよく理解できずすぐに諦め、ドミトリーのフロントの人に予約をしてもらうことにした。しかし、正規料金の1.5倍以上を要求されたため値段交渉をしようとしたが言葉がうまく通じず、すぐに諦めた。陸路でベトナムを縦断しようと意気込んで出発したが、1日目で早速飛行機に乗ることを決めた。トリップドットコムで翌日20:15発ダナン行の飛行機を予約をすると、残された絶望的な8日間を想像しながら床についた。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?