「痛風」と「命の線引」と「わからなさ」と

何年かぶりにtsuuuuーhuuuuーさんがお目覚めになった。
右足親指根元あたりの寝床で、ぼんやりな眠気眼をこすってから完全覚醒まで3時間。あっというまの出来事である。
だいたいtsuuuuーhuuuuーさんもずるい。5-6年も熟睡していれば過去の痛みの記憶も消えうせ、もう永眠なさったかなと思い込んでも仕方ないだろう。
それで、薬害ってのもあるからなぁ〜と指示薬を飲まなくなり、さらには調子にのってウィスキーを飲んでみたのが拙かったのか?
以前もそうだったが、裡のtsuuuuーhuuuuーさんはウィスキー好きなのだ。久々のご馳走にお目覚めになり喜びあふれ暴れまくっている。
tsuuuuーhuuuuーさんとの再会で、おいそれと動けなくなった身体は「ゆっくり、のんびり、丁寧」の実践を暗に要求したのだろうか?
それとも、裡なる無意識が、たまには自ら痛みを実感したほうが他者の痛みに共感しやすくなろうと気を回したのか?
いずれにしろ週末なのに森へもいかず、カメラにも触れず家にいることになった。まあ荒天候が予想されているので諦めもつくのだが。

さて、tsuuuuーhuuuuーさんが目覚めない方法はないのか?
ある、と思う。
食事は野菜中心になっているし、食事量も少なめ、適度な運動もしている。薬ものんでいける。残る出来ることは酒である。
ウィスキーに限らず、アルコールを断ってしまえば、まずtsuuuuーhuuuuーさんが覚醒することはないだろう。どころか実質永眠するかもしれない。
2度と会わない、永遠のサヨナラ、、、そして忘却。
にも関わらず酒をやめようと思えない。
誤解なきよういうならば、べつに酒はあっさり断つことはできるのにもかかわらずだ。
もしかしてどこかにサヨナラしたくないという深層心理が働いているかのように。
でもほんとのところは「わからない」。

と長い前置きのうえに突然だが、最近「わからない」ということについてのテキストを読んだのでメモをしておこうと思う。
友人に読めと手渡された「開けられたパンドラの箱」という本。「やまゆり園障害者殺人事件」についてにかかれていた。
独自の「命の線引」により、人間であることの条件を定め、人間にあたらない「心失者」(名前と住所が言えるかどうかが線引基準)は殺して消滅させる。それが社会的負担を減少させる「問題解決」手段と決め、実行した殺人青年・・・。
その彼へのレスポンスとして書かれた最首悟さんのテキスト。
「わからないこと」がなおざりにされている(p148)・・・という。

さて、多くの人はこの殺人青年の「命の線引」は自分勝手な思い込みでひどいと嫌悪するかもしれない。
人間の命に誰が線引なんかできるのか?と思うだろうか?
とはいえ、たとえば「一人で死ねよ」は線引ではないと言えるのか?
それどころか、国家レベルで命の線引をして殺すことを認めている。
「死刑制度」は?「中絶」は?「脳死」は?ついこのまえまであった「優生保護法」は?
国家(法律)による命の線引がされている。この国家の国民のわけだ。
されてはいるが、明快な答えをもとめて、議論され両論入り乱れる。
議論はあるが、この社会では「問題解決」のために、どちらかに「決めなければならない」のだ。
こうした決断を最首悟さんは「現代が生んだ心の病」と殺人青年にも当てはめたが、決断のプレッシャーに苛まれているという観点ではこの青年だけじゃないかもしれない。
「わからない」ですまされず、普段の仕事でも生活でも選択して決断することを迫られる。
社会がまわっていくために。

そうしたうえで、「わからないこと」や「ためらい」はある。それを受忍しよう。
「わかる」や「決断」とはどういうか?と逆に問われる。全て「わかる」ことなどあるのか?
というのも、
>わかる努力をすれば、わからないことが減るかのような幻想のもとに教育されてきたことの弊害だというわけだ。

やっとメモ書きまでたどり着いた。少し長い引用になるけど。(以下、同書p149からの引用です)

NHKスペシャルの「人体」シリーズの中で、タモリが「科学の進歩で、これだけ驚異的にわかったんですね」と言うと、山中伸弥教授が「いやいや、3割くらいしかわかってないんですよ」と答えていました。でも考えてみれば、これはおかしい、全体が100だとわかっていなければ、3割なんてわからないんです。
この、あたかも全体が固定されているという考えは、デカルトが提起した図式なんです。デカルトは全体に立ち込めている霧を少しずつ晴らしていくと、最後には晴れ上がりになるという。この考え方は、直線的進歩という近代を用意するわけです。それに対してパスカルが意義を唱えた。1わかると、わからなさは10増えるかもしれない。わかるのに伴って、わからなさは増えていくんです。

これはわかりやすい。笑。
タモリや山中教授やデカルトまで陥っているんだ。凡人のボクが教育されても仕方ないか。
実際に、問題解決にしてもひとつの問題解決が次の問題をうみだすだろうし、科学が進歩すれば実際に別の問題が派生している。全能の正解などないのだろう。
そうだ、きっとtsuuuuーhuuuuーさんが永眠すれば、予想しなかった難題に襲われるに違いない。
やはり、よくわからない、、ということで酒を飲みつつ付き合うとするか。
tsuuuuーhuuuuーさんにも社会の問題にも個別の悩みにも、、、


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