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決死の女神探訪

春の女神とよばれる蝶がいる。
ギフチョウというアゲハのなかま。
いつもの森にもいたのだが、今ではほぼ絶滅状態なので他所にお邪魔する。
ここ何年か訪れ、確実に会えていた。
ただ、昨年は3.31で勇み足。
会うことは叶わなかった。
どうしようと少し悩んでいたのだけど、やはり会いに行くことにした。
425mという小山の山頂である。
正直にいえばプチ登山がだんだん厳しくなっている。
最後の急勾配ではノンストップで登ることができずに、止まって10秒の深呼吸を繰り返しながらなんとか登れる感じである。
それでも、女神に会えるならと気合を入れる。
喉が渇いても、あと50m山頂についてから落ち着いて給水しようと頑張る。
なんとかかんとか辿りついた。
いつもなら、数人のカメラマンが陣取り女神をモデルに連射しているのだが、、、
ボードを持ってギフチョウ調査をしている老人が一人。登山風の老人と話していた。
今年は、まだです、、、、、そうなんですか、、、、早いんですか?、、、いや去年はもう飛んでいたんです、、、、

??え??いない??? だって、4.4だぜ。
ベストの日じゃないのさ。
日付も天気も気温も申し分なしなのに。
いつもなら満開のツツジも半分は蕾だった。
嘘だろ、、、、orz
喉の乾きも忘れて、呆然と先着の二人の会話を聞いていた。
やや目眩を覚えたので、とりあえず給水しなくてはとリュックを下ろす。
水筒を、、、あれ?、、、水筒が、、、ん?? だから、水筒は、、、
え?落とした? いやいや落としたらかなり大きな音がするはずだ。
車のなかか?
ちゅうか、やばくない?
口のなかもなんとなくネバネバしているし、、、、
脱水で熱中症・・・・
自ら暗示をかけている気がする。
きっと、オマエは熱中症で倒れるだろう?って、
そんななか、ネットマン二人がやってきた。
中学生っぽい。
先着の老人二人と話していた。
狙いは女神とな?
もう、眼の前真っ暗である。
女神がネットで・・・
とはいえ、その女神がまだ現れていないので真っ暗以前の問題か。

仕方がないので、とりあえずカタクリの谷に落ちていき、そそくさと帰るか。
昔の部活の給水厳禁に比べれば、この程度の断水はきっと大丈夫だ。


なにかの蕾
カンアオイは女神の食草
フモトスミレかな???

カタクリは裏切らずに咲いていてくれた。

そしてコバイモ

ピントが合わないなぁ

なんとか、かんとか谷から這い出し山頂に戻ってみたけど、女神の影もない。あれ、、、と思ったがただのアゲハだった。
キアゲハでもないので、間違いようがない。
そうそう蝶に興味がない人は、キアゲハでも似たようなものじゃないか、と言うかもしれないな。
でも、キアゲハとギフチョウでは、まるで別ものではないか。
いうなれば、アオスジアゲハとミカドアゲハ、コムラサキとオオムラサキぐらいの違いがある。

いかん、こんな一人問答をしていたら少し頭が痛くなってきた。
これは本格的に脱水症状かもしれない。
もう山を降りよう。
下の公園まで行けば自販機もあるさ。

倒れることなく自販機までたどり着いた。
お茶を飲みながら手をみた。

まだ生きている。
来年があればまた来るさ。

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