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2014年 小学生部門 優秀賞・ニャーロウ賞

◎優秀賞 内山満里菜さん(小4)

読んだ本――『アッホ夫婦』 ロアルド・ダール作 柳瀬尚紀訳 評論社

【作品】
ロアルド・ダールの秘密
内山 満里菜

 私は、ロアルド・ダールさんの『アッホ夫婦』をえらびました。なぜなら、この本が、一番おもしろかったからです。
『アッホ夫婦』は、さるをかっているひどい夫婦の話です。木のえだに強いのりをぬって鳥をつかまえて、パイにして食べてしまったり、るすの間、さるにずっとさか立ちをさせたりします。また、二人は仲が悪く、だんなさんにミミズ入りのスパゲッティーを食べさせたり、おくさんにふうせんをつけて、空にとばしたりします。
 この本を書いたロアルド・ダールさんは、他に『ぼくのつくった魔法のくすり』や、『チョコレート工場の秘密』など書いています。どれも、常識はずれで楽しいお話です。けれど、残こくなところもあります。たとえば、『アッホ夫婦』では、夫婦は、最後に、「ちぢみ病」にかかり、あまりにちぢみすぎて、消えてしまいます。
 こんなお話を書いたロアルド・ダールさんについて、もっと知りたくなったので、わたしは、クリス・ポーリングさんの『ダールさんってどんな人?』という本をよみました。ダールさんは、もともと大人向けの本を書いていました。その前は、戦闘機に乗っていました。げきついされましたが、手術をしていきのびました。そのとき、とりだした大たいこつを机にのせて文ちん代わりにしていたそうです。きっと、ダールさんは、面白い本を書いていたので、実際にそうしたことをやってみたかったのだとおもいます。やがて、ダールさんは、子供向けの本もかくようになりました。しかし、周りの大人に、子供に悪い影響があると反対されました。それでも、ダールさんは本を書き続け、作品が映画になるほどでした。
 ダールさんの本をよまなくても、子供たちは、いたずらをします。私も家の中では、友達をびっくりさせたり、ものをかくしたりします。また、妹にも、ものをかくされたりします。でも、私はおこりません。それどころか、楽しくなります。なぜなら、遊んでいる気持ちになるからです。いじめのようないたずらはよくありません。なぜなら、する人もされる人も、楽しい気持ちにならないからです。いたずらをするなら、楽しい気持ちになるいたずらにしたいです。でも、もちろん、アッホ夫婦みたいにやりすぎてはいけません。
 本を読むといろいろな世界に行けます。ダールさんの世界は、楽しくて、少し残こくな世界です。ダールさんの本を読み終えると、元の世界にもどってきてよかったと思います。ダールさんは、頭の中で、何才にもなれると言っていました。子供のようになれる大人は、あまりないと思います。子供っぽくなりたくないけれど、ダールさんのように、明るい想像力をもって生きたいです。

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◎優秀賞 鈴木たからさん(小3)

読んだ本――『シャーロック=ホームズ全集(1)緋色の研究』 コナン・ドイル作 各務三郎訳 偕成社

【作品】
わたしのあこがれシャーロック・ホームズ
鈴木たから

 ほんやく書のミステリーとして一番わたしがあこがれているのは、アーサー・コナン・ドイルが生み出した作品「シャーロック・ホームズ」です。
 なぜ、わたしがシャーロック・ホームズを好きなのかというと、すぐれたどうさつ力に、かんさつ力、それにどんな時にも冷静にたいしょできる所にあこがれているからです。初めてシャーロック・ホームズ第一かん「緋色の研究」を読んで、すごく感動して、そのしゅんかんから、わたしはすぐに“シャーロッキアン”つまりシャーロック・ホームズのねっきょう的ファンになりました。初めは、へんな動きをしたかと思うとすぐにたんていらしくなっていく「シャーロック・ホームズ」にどんどん引かれていってしまいました。それに、とても小さな手がかりを元にそれをつなぎあわせて色々な事けんをかいけつしていくシャーロック・ホームズをどんどん好きになっていきました。そして、一番わたしが気に入ったホームズのせりふは「世の中はもつれた糸かせのような物。その中には『真実』という名の赤い色の糸がまじっている。ほかの糸をときほぐし、それをとり出すのがわたしの一生の仕事だ。」というものです。とってもカッコよかったです。わたしはシャーロック・ホームズを生み出してくれたアーサー・コナン・ドイルにとても感しゃしたいです。なぜかというと、コナン・ドイルがいないと、わたしのもっとも、あこがれているたんていシャーロック・ホームズも生まれていないのと同じになるからです。
 最後にアーサー・コナン・ドイル様。「わたしはあなたの書かれたシャーロック・ホームズにとてもあこがれています。あなたに一度でもいいから会ってどんなかたかお目にかかりたかったです。わたしはどんな事があってもあなたとシャーロック・ホームズをほこりに思います。わたしもあなたのようなミステリー作家になるためがんばります。天国でお幸せに。たからより」

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◎優秀賞 原口徠未さん(小3)

読んだ本――『ただいま! マラング村:タンザニアの男の子の話』 ハンナ・ショット作 佐々木田鶴子訳 徳間書店

【作品】
幸せになったツソ
はらぐち くるみ

「バケツいっぱいにはいった水を、一てきもこぼさずに、はこばなければいけないなんて、私にはできない。」
 私は、物語を読みはじめて、すぐにびっくりしてしまいました。
 ツソは、タンザニアにすむ四さいの男の子です。お父さんとお母さんがいなくて、おばさんのところでくらしています。でも、おばさんの家はまずしいので、ツソも水くみの仕事を毎日しなくてはなりません。
「重くてたいへんなバケツを四さいのツソがもちあげるなんて。」
 私は、ツソがかわいそうだと思いました。
 でも、ツソはもっともっとたいへんなけいけんをします。八さいのお兄ちゃんと、家出してしまうのです。私は、
「家出をして生きていけるのかな?お金をもっていないのに大丈夫かな?」
と、心配になりました。
 そして、心配していた通り、もっと大変なことがおきました。大きな町に行くためにバスに乗ろうとしたツソは、お兄ちゃんとはぐれてしまったのです。ツソが、お兄ちゃんとはぐれて、泣きそうになっているのに、バスの運転手さんが、
「おまえたち、とちゅうでいりたまごみたいになってしまうぞ! さあ、おりるんだ!」
と、どなったり、お客さんたちも、笑ったりしているのが、とても悲しかったです。
 それからツソは、四年間、道端でくらします。「小さい子が、一人で、道端でくらすなんて考えられない。」と、おどろきました。そして、なんで小さい子がこまっているのに、大人たちは助けないんだろうと、とてもふしぎでした。
 しかたなくツソは、お店の食べ物をぬすんで、生きていきます。そして、あんなに大好きだったお兄ちゃんの顔もうかんでこないなんて、なんでだろうと、悲しい気持ちになりました。
 でも、ツソは、とても幸運でした。なぜなら、病気の人や、こまっている人の世話をしてくれる、シスターたちに出会って、きしゅくしゃで、勉強しながら、くらすことができるようになったからです。きしゅくしゃは、たくさんの子どもたちがいて、きれいなせいふくをきて、あたたかい料理をたくさんたべることができます。私は、ツソがきしゅくしゃに入れてよかったなと、うれしくなりました。
 そして、ツソは、勉強がとても好きで、お話を聞いたり、本を読むのが好きでした。私も、勉強も、本を読むのも大好きです。ツソが、どんどん勉強ができるようになっていって、すごいと思いました。とくに、ツソが、生まれてはじめてかいた、お気に入りのキリンの絵がとても上手で、びっくりしました。
 大きくなったツソは、一人で考えて、マラング村へ帰る決心をしました。私は、ツソが道に迷わないか、心配になりました。けれど、ツソはかしこくなったし、ゆう気があるから大丈夫だと思いました。そして、さいごに、大好きだったお兄ちゃんに、また、会うことができました。ツソがちゃんと家に帰れて、お兄ちゃんと会えて、本当にしあわせになれてよかったなと思いました。
 私は、この話を読んでいる時、ずっと本当の話ではないと思っていました。小さい子が一人で、道ばたでくらすなんてありえないと思ったからです。だから、ハンナ・ショットさんのあとがきを読んで、本当の話だと知っておどろきました。でも、本当にツソがいて、高校生になっているのがわかってうれしくなりました。
 私は、ツソのように道ばたでくらしている子どもたちのことや、シスターや、ユッタママ、そして、幸せになったツソのことを忘れずに思い出したいです。
 わたしは、「ただいまマラング村」を読んで、作者がツソにした質問に答えてみました。

 お名前は?
――原口徠未です。
 
 学校で好きな科目は?
――国語、算数、理科、社会です。
 
 好きなスポーツは?
――ドッジボールと、すいえいです。
 
 すきなたべものは?
――きんぴらごぼうです。
 
 ペットはいますか?
――いいえ、いません。本当はチワワをかいたいです。
 
 すきな動物や、こわいと思う動物は?
――すきな動物は、人になついてくれてるライオンで、こわいと思う動物は、コブラです。
 
 自分のへやはありますか?
――あります。自分のへやで、ピアノの練習をしたり、なにかをつくったりします。
 
 ゲームは好きですか?
――はい。すきだけれどDSはもっていません。ゲームコーナーにあるゲームが好きです。
 
 大きくなったら何になりたいですか?
――画家か、ピアニストです。
 
 もし自分以外のだれかになれるとしたら、だれになりたいですか?
――ドラえもんになりたいです。なぜなら、未来のどうぐで、こまっている人を助けられるからです。
 
 いやなことはなんですか?
――世の中で事件がおきたときです。なぜなら、人が死んでいくのがいやだからです。 
 
 もし、この世から何かをなくすとことができるとしたら、なにをなくしたいですか?
――しぜんさいがいをなくしたいです。地しんや、台風で、人がなくなるのがいやだからです。
 
 どんなときが幸せですか?
――学校にいってる時です。みんなといっしょにいられるからです。

(注:個人情報にかかわる質問と答えは割愛しました。――読書探偵作文コンクール事務局)

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◎ニャーロウ賞 石田葵さん(小1)

読んだ本――『きょうはみんなでクマがりだ』 マイケル・ローゼン作 ヘレン・オクセンバリー絵 山口文生訳 評論社

【作品】
きょうはみんなでくまがりだのつづき
いしだ あおい

 きょうはみんなでくまがりだ。
 くまをつかまえたいけどこわくてつかまえられないんだ。そしてくまはいえにむかってはしっていきました。
 きょうはみんなのいえにいく。みんなぼくをこわがるにきまってる。おや、くさむらだ。うえをこえてはいかれない。したをくぐってもいかれない。こまったぞ。とおりぬけるしかないようだ。
 ぱさぱさぱさ ぱさぱさぱさ
 ぱさぱさぱさ
 きょうはみんなのいえにいく。みんなぼくのことこわがるにきまってる。おや、きれいなきれいなおはなばたけ。うえをこえてはいかれない。したをくぐってもいかれない。こまったぞ。とおりぬけるしかないようだ。
 かさかさかさ かさかさかさ
 かさかさかさ
 きょうはみんなのいえにいく。みんなぼくのことこわがるにきまってる。おや、のはらだ。うえをこえてはいかれない。したをくぐってもいかれない。こまったぞ。とおりぬけるしかないようだ。
 てくてくてく てくてくてく
 てくてくてく
 きょうはみんなのいえにいく。みんなぼくのことこわがるにきまってる。おや、おおきなおおきなき。うえをこえてはいかれない。したをくぐってもいかれない。こまったぞ。とおりぬけるしかないようだ。
 ぐらぐらぐら ぐらぐらぐら
 ぐらぐらぐら
 がちゃ。
 あ、くまさん。
 ともだちになろう。
 いいよ。
 こうしてみんなとくまはなかよくたのしくくらしました。

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(注:応募者の作文は原則としてそのまま掲載していますが、表記ミスと思われるものを一部修正している場合があります。――読書探偵作文コンクール事務局)

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