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噺家ベーシスト加藤さん

 だいぶ遅刻してしまったが、8月2日はフジファブリックのベーシスト、加藤慎一氏のお誕生日だ。

 昨年の8月2日に予定されていたものの、コロナで中止になってしまった加藤さんの40歳の誕生祭、私はチケットを取れていた。地方のライブハウスで1日きりのバースデイライブだったから、結構な競争率だったはずなのに取れてしまった。その時はこの騒ぎがこんなに長引くと思わず、8月ならさすがに落ち着いてるだろう、なんてのんきなことを考えていた。
 地方のライブハウスへの遠征で、会場の近くに宿を取り、開演までブラブラ知らない町を散歩して、ライブを見て、ホテルに帰って寝るだけ、というのは、私的に最も幸せなプランだったので、2月にチケットが取れてすぐ、どこに泊まろうかなー、なんてウキウキしていた。

 加藤さん作詞作曲の曲はライブで演奏されることが少ないから、「こんなときは」とか「しかたがないね」とか「夜の中へ」とか、レア曲をいっぱい聴けるんじゃないかとワクワクしていた。大好きだけど一度もライブで聴いたことのない「君は炎天下」も聴けるんじゃないかと期待していた。

 そんな苦い思い出もある加藤さんの誕生日。昔はほとんどしゃべらないイメージだったのに、いつの間にか講談のようなしゃべりを身に着け、今月末には初のワンマンでトークショーをするというのだから、この人は本当に予想の斜め上を行くなぁ、と驚いている。
 初期のライブから「カトーク」と称した謎かけのコーナーを持っていたが、最近はモバイルサイト会員限定の、楽曲紹介のコーナーでの文章の自由奔放っぷりも楽しく、加藤さんの発する言葉ひとつひとつにわくわくしている。
 トークショーで思い出したが、昔ファンブックの企画で占いをしてもらっていて、言葉を使う仕事をした方が良いと言われていた。すごい的中っぷりだ。

 志村は詩人、という感じだけど、加藤さんは噺家のようなイメージがある。作る歌詞も物語のような情景描写で、ストーリーを語っている感じだ。志村の生前は、3人は歌詞を書いていなかったけど、加藤さんの書く独特な言葉のセンスに志村が出会っていたら、もっと面白いものができてたんじゃないか、という気がしてならない。
 最新アルバムに収録されている、加藤さん作詞作曲の「たりないすくない」は、このアルバムの中でも特にお気に入りの曲になっている。
 


 2019年の大阪城ホール公演の時、私は加藤さん側の比較的ステージに近いスタンド席で見ていた。踊るように膝を曲げたり、ステップを踏んだりしながら、とても楽しそうに演奏している姿が印象的で、こんなに体が動く人だったかな?と思った。手足のひょろ長いスタイルのせいか、踊っているような姿がとても素敵だ。アコースティック編成の時のウッドベースもとても似合っていて、絵になる人だなぁ、と思う。

 今年で41歳になられたが、昔の映像と比べても顔がほとんど変わっていなくて驚く。ただ、おせっかいとは思うが、スリムすぎるスタイルと、少食の大酒飲みという食生活がちょっと心配になってしまう。
 今のご時世、本当に健康第一だよなー、と思うので、どうかできるだけ長く健康で、元気に音楽をやっていてほしい。

 そしてまたライブに行けるようになったら、加藤さんの刻むリズムに合わせて、目一杯踊りたいなぁと思う。

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