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「堕落論」を考えてみた。

(映画『人間失格』 藤原竜也演 坂口安吾。 小栗旬演 太宰治。)

坂口安吾が、太宰治にささやく「堕落」とは一体何であろうか?

蜷川実花監督がつむぎだすオニユリのようなゴージャスな世界観が、私を30年ぶりに、坂口の作品へと誘った。

『堕落論』

私が、中学2年の時に、恩師から読み聞かせしてもらった作品であり、その時の何とも言い難い衝撃は、きっと、一生忘れない。

津軽や

ルパン、

そして、玉川上水の

かほりに思いを馳せながら、人生2度目の『堕落論』を味わってみた。

『堕落論』の結びに以下のようにある。

「人は正しく堕ちることが必要なのだ。」

「堕ちる道を堕ちきることによって、自分自身を発見し、救わなければならない。」

散りばめられた幾多の言の葉のなかで、私は、この「正しく堕ちる」に着目した。

「正しく」。

酒に浸り、

ドラッグに溺れ、

異性に堕ちよ、

とは、坂口は一言も言っていない。

実際、坂口の年譜には、これらは、ほぼ見受けられない。

また、「自分自身を救わなければならない。」と結んでいるように、

「正しく堕ちる」とは、愛をもった行いではなかろうか。

坂口は、太宰に愛をもって、「堕落」をすすめた。

銀座のバー。ルパンでのささやき。

藤原竜也のどっぷりハマった名演。

「地獄におちて書いてるか?」

「なぁ ダザイ! も~と、堕ちろよ。」

私は、きっと劇場で。キャラメルポップコーンと、響ハイボールを吹き出してしまう気がする。

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