過ごしやすい気温で気持ちよかったので、お散歩することに。

てくてく歩いていると
カメラを持った小綺麗な男が話しかけてきた。

｢すいません、全身の写真撮らせてもらっていいですか？｣

僕はピーンときた。
これはあれだ。ファッション雑誌とかに載っている街角スナップみたいなやつだ。

僕は
｢え？僕っすか？まぁはい、全然いいっすけど笑
へへっ笑　今日そんな本気の服じゃないっすけどね笑
ちなみになんていう雑誌ですか？｣
と聞くと

｢週刊全身です｣
と言われた。

僕は一目散に走って逃げた。
週刊大衆みたいなイントネーションで週刊全身って言ってくるし、
そんなものが週一で発売されていることにびっくりしたからだ。

しかし追いかけてくる全身記者。
スピードはそれほど早くないが最短距離で追ってくる。

僕は植え込みに隠れ、口を両手で押さえる。

キョロキョロと僕の姿を探す全身記者。
全身記者はどうやら目が悪いらしく、音と温度で獲物の場所を判断しているようだ。

僕は体温を下げるために、鞄からそーっと
冷えピタを取りだし、ゆっくりとシートを剥がし
おでこに貼る。

しかし、おでこに貼る時
｢ぺたん｣
という音が鳴ってしまった。

音に気付き、こちらに迫ってくる全身記者。

万事休すかと思われたその時、

ランニングをしているおばさんが前を通りかかり、
全身記者はそちらの方向に
｢ｾﾞﾝ！｣と言いながら走っていった。

おばさんは
｢やん！｣と言いながら逃げていった。

ここからは単独ライブ｢たゆたうアンノウン｣の感想などです。読みたい方だけ良かったらどうぞ。