コンサル探偵の昼休み:根津のたいやきや(旧・柳屋)小旅行記

仕事が手につかないとともにダイエット中の私は、昼食をとらずにかつて住んでいた東京の下町根津へと向かう。千代田線で2駅の根津は、本当にここが東京かと思うような風情を残した町であるが、久しぶりに歩いてみるとやはりマンション開発の毒牙にもやられている様子。

向かうは日本橋の柳屋からのれんわけして、マスコミにも露出が高い根津の柳屋・・・だが、行ってみると名前が変わっていた。。。業種はたいやき屋である。

帰ってからインターネットで調べたところ、どうやら2000年から名前を変えたらしい。フランチャイズ契約が切れたといったところだろうか?

そんなことはどうでもいいが、やはり数人並んでいるようだ。が、まぁ、この程度の待ち人ならもう一、二周り根津を周遊してきても大丈夫だろう。

私はなつかしのまちをぐるぐる歩き回った。驚いたのは昔よく行ったカツ丼が美味いラーメン屋が店名はそのままで韓国料理屋になっていたこと・・・一体何があったのか?あのカツ丼は今も食すことができるのであろうか?これもまた旧柳屋同様雑誌等に取り上げられることの多いモナカアイスの芋甚(屋号は尾張屋)の店が3階建てに立て替えられて小奇麗になっていたこと・・・まぁ、芋甚は昔から小奇麗ではあったが・・・

大通り沿いには明らかに根津のスケールをオーバーしたへんてこりんな公共施設と葬儀屋のビルが・・・

ほへぇ~、存外と変わったもんだと呆けていると、根津神社方面への曲がり道に、讃岐饂飩の看板・・・おお、こんなところにも讃岐饂飩が・・・と感動し、一瞬店に入りかけたが、ここまで来て讃岐饂飩もちょっとと考え直し、まちの探索を続行する。

しまっている店が多いのが気になったが、根津は水曜休みの店が多いことを思い出し納得する。本日は水曜日である。何でこんな店がまだやっているのか?と思うこともあれば、ああ、あの店がなくなっているぅー的なものもあるが、大宗生存率は高そうである。若干高層化したりするような器の変更は見られるものの・・・

やっていたら昼飯はそこで食べてもいいと考えていた中華料理屋のオトメが休業日だったため、やはり昼食は抜くか・・・等と考えもしたが、もう一軒、赤坂の名店で修行した主人がやっていると言う、根津の隠れた名店美華へ向かう。が、ランチメニューのかに玉にはそそられずに、入店はやめにする。ダイエット中だから無理に食べなくてもいいのだが、食事を抜くのはかえってよくないとも聞くため、何かお腹に入れようと悪あがきをする。

仕方ない、蕎麦でも食べるかと歩き出したものの、根津で有名な蕎麦屋は少し遠い、昼休みに外出しているから一応1時頃には戻らなくてはなるまい。。。きょろきょろしながら歩いていくと、先ほどの讃岐饂飩の店を再発見・・・

うーむ、根津で讃岐饂飩・・・煮え切らないでいると、店の戸が開き、先ほど私が入りかけたときに入店した老人が出てくるではないか。時計に目をやるともう12時30分をまわっている。。。たいやきやの行列まちを計算に入れてもぎりぎりの時間だ。

入ったその店は10畳もないであろう小さな店であった。4人掛けのテーブルが3つに6人掛け1つ。ダイエット中なのに饂飩はまずかろうと思うものの、結構歩きまわったからいいか・・・とも思う。相変わらず自分に甘い。しかし、高松の仕事を2年ほどしていた私的には、讃岐饂飩の評価はかなり厳しい。

最近職場付近に何件かある饂飩屋に入ったが、まだ私を納得させる讃岐饂飩には東京ではお目にかかっていない。

そんなえらそうなことではないが、お店の人に「冷やしかやく」なる季節メニューを頼む。待っている間店内の客を観察する。全ての席に客が座っている。こんなところにあって結構繁盛しているのだろうか?店の客はほとんど女性である。他のテーブルに運ばれていく麺を見ると、、、おお!結構ちゃんとした太さ!少し期待をする。

先に来ていた女性のテーブルに饂飩が供される。その後すぐにもう一つがそのテーブルに運ばれる。おや?3人の女性なのに、4つも饂飩を頼んだのだろうか?なかなか食欲旺盛な女性達だと感心していると、どうやらそれは自分のオーダーだったらしく、お店の女性がはにかみながら私の前に饂飩を置きなおす。

たいした想像もしていなかったが、なかなかきれいに盛り付けられたきゅうりとわかめとネギとかまぼことあげ玉、別のお皿でしょうがも多めに盛り付けられている。

ほほぅ・・・

讃岐の技法(?)にしたがって、それらをぐちゃぐちゃに混ぜて、中から饂飩を取り出す。。。なるほど、色といい、艶といい、これは結構いけるかもしれない。

一口・・・おお、おおお、これはこれは・・・なかなかのコシ!!!

ちょーーーーっと違うんだけど、ほとんどOKって感じ?

汁の味もよい。東京で、しかも根津でこれだけの讃岐饂飩に出会うとは・・・

いやはや、讃岐饂飩の東京進出に驚きながら、ダイエット中なのも忘れてぺろっと平らげてしまう。量もちょうどよい。。。問題は東京で食べる讃岐饂飩の値段である。高松の価格の約3倍はするであろう。が、まぁ、これだけの讃岐饂飩だったので許すとしよう。お金を払いに席を立とうとすると、6人掛けで先に座っていたおばさん2人連れが先に席を立ってレジを前に店の人たちにぺらぺらしゃべりまくっている。

その会話を盗み聞くと、どうやらこの店の2階で饂飩を打っているらしいことがわかる。おばさんは店の饂飩を褒めちぎり今度は子供を連れてくるとのたまっている。やっとおしゃべりが終わるかと思いきや、今度は饂飩の味について言及し始める始末。。。

「こんなにしっかりした饂飩だと、そのまま食べた方が美味しいんじゃないから?」

と言った後、「いえ、ちがうの、調理の仕方がまずいとかそう言うんじゃなくて・・・」と

慌ててフォローしている。いつまでたっても終わりそうになかったのと、時計を見ると1時まであと10分程度しかなかったため、おばさんの会話中に席を立って会計を求める。

まだ話足りなそうなおばさんは、くどいぐらいに美味しかったを連発しながら店を出て行った。

私のかやく冷やしは750円。お支払いを終え、一路たいやきやへ・・・店を出ると小雨が降っているが、珍しくカサを携帯した私は涼しい顔でカサをさしおばさんたちを追い越していく。

たいやき屋の見えるあたりまで来ると、一瞬我が目を疑った。なんかすごい行列が出来ている。近くまで言ってみると、どうやらおばちゃん方のツアーかなんかの一群がやってきてしまったようだ。完全に1時を回るであろう。饂飩をのんきに食べていた自分をのろいながら、列の最後に並ぶ。

待つこと15分。既に昼休みは終了している。

ようやく自分の番が来る。

「たいやき10匹。」お値段は昔とかわらず。

おばちゃんは包む前に丁寧にたいやきの周りの焦げをはさみで切り取る。昔店先で焼いていた爺様がいないと思ったら、なんと店の奥で矍鑠とたいやきを焼いている。お元気で何よりです。店の前に置かれたショーケースの上には羽田元首相が婦人と訪れたとか、外国の偉い人がやってきたとかの写真がたいしてありがたくもなさそうに飾ってある。

おばちゃんは10匹包み終わると、仕事をサボってたいやきを買っている私を愛想よく送り出してくれた。。。

なつかしの根津紀行、本日はこの辺で・・・


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