「一流であること」とは

昨日、初めて新幹線のグリーン車に乗った。時間が逼迫していたのと、座席が埋まっていたということでやむなく利用したのだが、最初は少し恐縮した。どんな方が乗ってるんだろう、自分は場違い感を出さないだろうか、とか。いざ乗ってみると、なるほど上品な方が多く、一方でお金にモノをいわせてるようなマナーの悪い方もいた。お金を払っているのだから、何しようが自分の勝手でしょう、みたいな。お金を払えば何でもしていいわけがない。それなりのマナーを守って然るべき。こうゆうのは、元貧乏人に多い気がする。金融リテラシーがない人。

元銀行マンとして、短い間ではあったが何人かの「お金持ちの方」とお仕事をさせていただいた。その人たちに必ずと言っていいほど共通点があった。

めちゃくちゃ謙虚だった。

とある酒造会社。一部上場しており、皆さんも一度は聞いたことがあるであろう銘柄を生産している会社の蔵見学をさせていただく機会があった。もちろん、その会社の担当ではなかったけど、新入行員の勉強の一環として参加させていただくことになった。見学するメンバーも、先方の会長、社長、そして案内をしてくださる社員の方。こちらも支社長、次長、担当者とぼく。錚々たるメンバーと一緒に見学をするということで、とても緊張していた。

ぼくは、とにかく話を聞き逃さまいと、ノートをとるのに必死だった。土地柄や歴史、日本酒の基本的な知識についての解説してくださる案内の方を先頭に、蔵の中を歩く。

いろいろ回っていると、その蔵が使っているお水が飲めるところにやってきた。竹を斜めに切り落とした先から水が滴り落ちており、それをお猪口にとって飲む。日本酒の味を形成するのに、おいしい水は必要条件だ。ぼくは両手に鞄にノートで両手がふさがっていたので、荷物を片手に寄せようとしたその瞬間、後ろにいた会長から一言。

「お荷物お持ちしましょうか」

一部上場企業の会長が、新入行員に向けての一言。本当に、誇張でも何でも無く、全身冷や汗が流れた。その場にいた全員が、同じ空気を感じていたに違いない。これが一流企業たる所以。この瞬間の風景が、未だに忘れられない。

お金は、人が生む。人間性が無いと、お金は生まれない。人間性が無いのにお金持ちになった人は、いずれ淘汰される。宝くじや遺産相続で急にお金持ちになった人は、だいたい短い間で破産する運命にある。これは宝くじでお金持ちになるのが悪いというわけでは無くて、お金の使い方を知らない当の本人の人間性にある。

昨日、隣に座ってた女性。服装も豪華で、鞄もブランド物。シートを思い切り倒し、前の座席に足を渡して寝てる。時々、LINEの着信が来るが、その音が大きい。そして返信するや否や、また寝る。着信が来る。先程の会長と、この女性とを比較してみても、違いは「謙虚さ」であり、周りの人たちに感謝の気持ちがあるかどうかだと思う。

余談だが、この姿を見てると服に「着られてる」感ありありで、しかしながら本人は着こなしている感を醸し出しているから、そのギャップが面白い。一流ブランドショップの常連さん=カモとして、日本の経済活動の発展に貢献してるという点では、このような方も必要なのかもしれない。

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