CASE 2 mmm

CASE 2 は、シンガーソングライターのmmm(ミーマイモー)さん!独特な歌声が素晴らしい彼女。青春時代をアメリカで過ごしたmmmさんは、英語が堪能。プライベートでは日英翻訳を生業とするなど、彼女の音楽にはその影響を感じる瞬間があります。一時は活動を休止し、姿を消すなどもしたmmmさんですが、現在は一体どのような音楽制作を行っているのでしょうか。都内某居酒屋にて、呑みながらのインタビューとなりました。

フリーからの出発

− 今日は、mmmさんが普段宅録でデモを作る時の作曲方法、使用している機材についてを中心に、お話を伺いたいと思います。

mmm(以下:m) 私ね、全然宅録をやらない人が記事を読んで「あ、できるんだ!」って思わせる気持ちで今日は来た(笑)まったくこだわりがないから。最近は宅録、してはいるけどリリースまで作り込む忍耐力がないんですけど、そんな感じでよろしくお願いします。

− (笑)mmmさんって、いつ宅録をはじめたんですか?

 18歳から。最初の頃はWindowsを使ってたから、『Garageband』とかじゃないのよ。フリーで落としたソフト使ってて、マイクもPC内蔵の。だからすごく音質が悪くて。それをMyspaceにあげてた。その後にMac買って、そこから『Garageband』を使ってる。bijinレコードから出したミニアルバム『フーアーユー』は『Garageband』で作ったけど、マイクはポータブルレコーダーだった。声とか楽器を重ねるのに使う程度で、ミックスもよくわかんなくて、パンを振ったりするくらい。使い方はMyspaceの頃から今まで、ずっと一緒です。

− (事前にいただいた機材リストを見ながら)それで、現在の使用ソフトは『Logic9』?

 うん。家のPCがラップトップで。MacBook Pro のトラックパッドで作業してるからめっちゃ猫背(笑)ドラマーのitokenさんにモニターを貰ってかなり作業しやすくなったけど、PCは5〜6年前の機種だしもうめっちゃ重くて、めっちゃ熱くなって、フリーズも多いし怖いから、アップデートはしてない。買い替えたい。

− PCのメモリーは、4GB?このスペックで作業している人、珍しいですね(笑)

 すぐオーバーロードする(笑)『MOTU Zbox』は、PCで録れるギターの音を上げるためのもの。ギターとベースはこれを経由して録ってる。プリアンプはMACKIE の『Big Knob Studio』を使ってる。音は良くなったけど、めっちゃ熱くなるから、「10円玉を本体に載せて熱を逃がす」ってネットで見た迷信みたいなものを実践しててめっちゃアホい(笑)それの前は、TASCAMのオーディオインターフェイスを使ってた。

− ご自宅は結構音を出せるみたいですけど、mmmさんはモニタースピーカーって使います?

 うん。めっちゃ出してる。YAMAHAのスピーカー。

− いいですね〜。『ACE TONE(エーストーン)』は……

 それはベースアンプ。宅録する時、基本的にはラインでベースもギターも録るけど、たまにそれをリアンプしてる。気分が上がるかなあ~と思って。でもあんまり変わらないね(笑)Blueの『Bluebird SL』(コンデンサーマイク)はハイがきつくて、環境音が入りやすいけどなんか好き。『SM58』とかも試したりするけど、もうこれに慣れちゃって。サラサラしているというか。

− 声との相性がいいのかもしれないですね。

 『PO-12 rhythm』はドラムシーケンサー。『Moog mother-32』はまだあんまよくわかってなくて、シーケンスを組めるけど……、ほぼ成り行きで変な音を出すのに使ってる(笑)キーボードがついてないからMIDIで『Micro KORG』に繋げて弾いたり。あと最近は、KORGのシンセ『MS20 mini』を借りて遊んでみてる。値段は安めだけどめっちゃ良い音、あれが一番好きな音かも。

− 色々試してますね〜。

 酔っぱらって楽器、ポチッちゃうんだよね。

− (笑)曲を作る最初の段階では、何の楽器を使ってます?ギターから?それとも鍵盤から?

 『Safe Mode』(2014年)の頃はギターだけで曲を作ってて、その上に肉付けしました。言うならば普段ソロライブでやっているような感じ、それはすごく楽だった。今の家に引っ越す前で、機材的にはしょぼかったけど、とっても作業に没頭できてた。

TASCAMのオーディオインターフェースでギターと歌を録って、次にフルートとべース録って、最後に七針(八丁堀にあるライブスペース)でドラムを。

− なるほど。ギターと歌を録音する時は、クリックを聞きながら録りますか?

 うん。だからヘッドフォンからクリック音が漏れちゃって(笑)何も考えずにコンデンサーマイクで録ってるから、漏れてるのも全部録れちゃって、曲の終わりとかよく聴くとクリック音が聴こえる(笑)

机に座って

− 曲のイメージって、どうやって描きますか?きっかけというか。

 ギター持って、机の前に座って、考える。

− 意外と作業的なんですね〜。本当に机に向かった時だけ?CASE 1の菅原さんの場合は、移動中に曲のアイデアが浮かんでくるそうです。

 曲を作る時は、全部意識的にやってるかなあ。曲を作ろうと思って机に向かって、PCを立ち上げて、ビートを作って……。

− そうかー。mmm さんは、インスピレーションが先で、いつの間にか曲を作りはじめているタイプなんだろうなと勝手に思ってました。

 うん。机に向かうまで意識を音楽制作に向けてないんだろうね。もっと常にミュージシャンしてたいけど基本ぐうたらなんで(笑)

− 1st の『パヌー』(2009年)なんかは、文学的な要素が濃い作品だったと思っていて。あの作品も、よし作ろう!と思って、意識的に机の前に座るところから始まったんですか?それとも今とは違って何かイメージがあった?

 あの時は……、初期衝動でしょう。机の前、というかギターを持ったら、漏れ出るみたいな(笑)

− なるほど(笑)じゃあ初期衝動を過ぎて、今のスタイルで意識的に曲を作るようになったのは、いつ頃からですか?

 意識的にやるようになったのはやっぱ『Safe Mode』の後なのかな。しかも最近はビートから作ってます。それまでは自然と曲が溢れてたのが、『Safe Mode』以降出なくなって。それで、「よし、作るぞ」って、曲作りの時間を作るようになった。それと、最近はビートから作ってます。

方向転換

− ビートから作りはじめようと思ったきっかけは?

m 『Safe Mode』以降、新曲を作ろうとしてるんだけど、なぜか全然作れないから。「ギター1本じゃ、もう曲作れねぇや」と思ったことがあって。歌詞もとにかくできなくて、作詞に時間がかかるし、だったら歌詞ありきの作曲方法はやめようってね。

それに元々、音楽で無心に踊るのも好きだし、「踊らせる音楽いいなあ」と思ってたから、ビートを決めておけばである程度方向性があって、しかも踊れるし、それも理由なんじゃないかな。

− ビート作りはじめる時、最初に「こういう曲にしよう」「こういうリズムパターンにしよう」とか、着想はどうしてます?

 うーん、どうやってんだろうな。ビートから作ると言っても、そんなに考えてないかもなあ……。とりあえず4つ打ちを入れて、そこから足し引きをするかな。横揺れ難しいね。

− 打ち込みはリアルタイムで打ち込み?

 リアルタイムで打ち込んで、クオンタイズで揃える感じ。キックがちょっと遅れるとかビートが揺れる感じの気持ち良さはわかりはじめてるんだけど、習得するとなると先が長そう。 

− ビートを組み立てるのって、時間かかりますか?

 こだわりないから結構すーっとできるかも。

− ビートが完成した後は、何を入れます?

 ビートの次は何かしらの楽器でコードをつけるか、ボーカル入れるか。でも大概ラップになっちゃうからコードの方が先かな(笑)

− (笑)コードは、色々と試しながら入れてく感じですか?

 うん。勘のみ。最初は全部仮っていう体で作ってくし、まったくもって自信がないところばっか。でも結局は歌ありき。歌が出てこない曲は、ひとまずインストってことにしてるけど。自分に甘いから「まあ、悪くないな。"デモ"なんだし~」って中途半端なデモばっか残ってく(笑)

ビートを作って、コードを乗っける段階までは結構早い。でも林谷(七針の店長)から「キックとハイハットだけで踊れるまでにしろ」って助言を貰ったことがあるから、もっとビートに力を入れたほうが良いんでしょうね。土台で踊れないと。

− ビート音って、何を使って作るんですか?何かプラグインの音源を使います?

 『Logic』内蔵の音が多いかな。プラグインとか全然わからなくて。物足りなくなった時は、林谷さんに「こういう感じの音持ってない?」って聞いて、それをWAV音源でもらう(笑)あとは実機のシンセ。

− 林谷さんから貰ったものを、ソフトサンプラーに当てはめてくんですか?自分でプラグイン音源を買ったりはしない?

 そう、貰った音源をソフトサンプラーで鳴らす。自分で買ったりはしない。選択肢がありすぎるのがすごく嫌で。リバーブとかシンセの音色とか、『Logic』 の内蔵にも結構種類があるけど、使いこなせてないのに新しいの手出すの、なんか貧乏性が発動される。そう言いつつ、実機はポチってるんだけどね……。

− アレンジとか置いといてとりあえずってなると、一歩目で種類が多すぎて、どれを使ったらと困惑することもありますね。ただ、一人で宅録をやっていると、バンドみたいにメンバーのアイデアが出ない分、展開とかアンサンブルが物足りないなあと思う時がありますよね。そういう時、音色の選択肢を増やすのは一つの打開策だと思います。その点では、便利なんですけどね……。作り進めていくフェーズで、音色を変えることはしますよね?最初のまま、ではなく。

 音色は、行き詰まったら変えてみたりはするかも。私、方向性ゼロで出てきたものに流されながら作ってるから、音色を変えちゃうと、それまでやってきたことがガラガラ音を立てて崩れたりもするんだよね……(笑)だから音色かえる時は、かなり勇気がいる。ベースを生音じゃなくて打ち込みに変えてみるとか。ただ、弾いた方がベースっぽいフレーズにはなるね。鍵盤で作っちゃうと、実際には弾けないフレーズになったりする。後は、最初から生楽器に置き換えること想定してストリングスを入れてたりとかはある。

– 今後の目標などありますか?

 ミックス・マスタリングができるようになりたいな。音圧がしょぼーいから。それで、5年以内に打ち込み音源出したいな!

宅録デモ音源を提供いただきました HERE

mmm (ミーマイモー) 石居萌のソロプロジェクト。2006年から弾き語りを 中心とした音楽活動を展開。2013年に突如「引退」し、以来余暇を謳歌している。現在まで、宇波拓録音による2枚のスタジオ・アルバム、宅録による3枚のミニアルバム、1枚のライブアルバムをリリース。 英語と日本語のリズムを行き来しながら、儚い日々の移ろいを歌にしている。影響を受けたシンガーは Feist, Cat Power, Tara Jane O’Neil, 梶芽衣子, 金延幸子, 浅川マキなど。2016年に韓国、2017年にNYへ招致され、2019年秋にはキーボーディスト エマーソン北村とのデュオ編成でヨーロッパツアーを予定。ベース、フルート、シンセなどで数々のプロジェクトに参加する傍ら、翻訳業を生業とする。 https://mmm-memymoe.tumblr.com

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

5

DONCAMATIQ

音楽制作の多種多様なあり方を模索する。 インタビュープロジェクト「DONCAMATIQ(ドンカマティック)」
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。