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ルーモス・マキシモス

もうお亡くなりなっているし、名前を伏せるのなら、なんにせよ時効だろうとおもう

その男、仮にI(アイ)としよう、に〈願いを聴いてもらう〉と、やたらと出世するというのだ

その中には、若き日のブルース・ウィリスもいたという

すでにテレビドラマで、それなりに名を馳せていた彼は、そんな噂話を聞きつけていた

そんなときに、これまた、たまたまテレビの収録でIと出会う機会があり、冗談半分で将来の展望を語った

テレビドラマだけではなく、映画にも進出して、世界的なスターになりたい

その後のことは、昭和の中期から平成の初期頃に生まれた世代の人であれば、ご存知だとおもう

ダイ・ハード、死なない男
まさに不死鳥のごとく世界的スターへと燃え上がり、羽ばたくこととなった

そんなIも、長寿となるクイズ番組の司会として名を馳せていくこととなる

そのクイズ番組が始まった時期が、ちょうど私がIに話を聴いた直後くらいの頃のことであったから、もしかしたら、私にも同じようなチカラがあるのではないか

などと、チラリと思ってしまったりしたものだ

そんなことよりも、なによりも、いまになってみて思えば、私こそ、Iに夢のひとつでも語るべきであった、と

そんな後悔からか、私はこんな風に思って生きるようになった

もしかしたら、そんなチカラを持つ者が、I以外にもいるかもしれない、と

それからというもの、ことあるごとに、自分の夢を、願いを、展望を、ほんの少しでも機会があれば、語って聴かせるようになった

いま目の前にいる、彼が彼女が、もしかしたらIかもしれないのだ

最初に結論から言ってしまうと、私の夢や願いや展望は、そのほとんどが実現してしまった

誰それ構わず語りかけてしまったわけだから、もはや誰がIのようなチカラを持っていたのかは、わからない

その点を、キミには詫びるべきだろう

もし、誰だかわかっていれば、是非もなく紹介していたのだが

以上がこの間、たまたま出会った老人が語ってくれた話である


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