1.自分を物語ること-魅力的に自分を説明すること-

"過去の否認は有害な態度である。 現在と戦い、未来を創造するには、 往々にして過去が最も有効な武器なのである" by Julian Green.

「物語る」とはどんなことか

物語にはいくつものイベントがあります。敵が現れて平穏な日常が破壊されたり、一目惚れするような素敵な人と出会ったり、あるいは転校生がやってきたりします。
それらのイベントは必ず登場人物に何らかの変化を与えます。その変化が新しい変化を呼び、それが繰り返されることで物語の終盤にはまるで別人のように成長します。
自分を物語るというのはつまり、自分自身の人生を物語のように説明することです。昔はどんな人間だったか、どんなイベントが起きたか、それによってどんな人に変わり、また次のイベントに立ち向かったか。
笑いあり涙ありのストーリーを話すことで、自分という人間の強みや軸を相手にわかりやすく伝えることが出来るはずです。
自分を物語ることは、決して「私は明るく社交的な人間です。負けん気が強く、挫けません」というように属性をそのまま並べることではありません。

「物語る」ために必要なことは何か

自分のことを話すのが苦手な人がいます。自分のことをちゃんと伝えられずに悔しい思いをする人も多いのではないでしょうか。僕は、もし傲慢にも世の中の人を3種類に分けたらこんな風になると思っています。

1.つまらない人(点を持たない人)
2.面白いのに、そう見えない人(点はあるが線に出来ない人)
3.面白い人(線に出来ている人)

つまらない人というのはめったにいないです。生きている内に、何らかの経験を経て変化したことがある(=点を持っている)ことが多いからです。

うまく話せない方は概ね2番に該当していると考えています。大事なのは、自分を物語る方法を知っているかどうかです。

a.過去・現在・未来それぞれの自分と、
b.その変化を生み出した経験から得たことや感じたことを
c.1つの流れの中で説明出来るか

これが、2番と3番の人の違いなのかなと思います。面白い人というのは、過去から現在、未来に至るまでに一つの繋がりを持った物語を持っているような人です。

昔からこういうところがあって〜今もそれに関連したことをやっていて〜これからもその道をどんどん進んでいこうと思う、といったように。

哲学と自分を物語ること

最近、トビタテcaféという留学相談会を行っていました。僕は「官民協働海外留学支援制度~トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム~」の一期生として採択されフランスに留学した経験があり、次世代の応募者の相談に乗ったりアドバイスを行うための会をトビタテハウスで開きました。

僕の専門は、政治哲学という学んだことのない人にとっては聞いただけだとほとんどその価値が伝わらないものです。それでも今まで3つの返還不要の奨学金を獲得出来たのは、自分の人生と専門とを過去の経験から繋げて将来の夢を語ったからだと思っています。

この記事は、トビタテcaféで実際に伝えた「物語る方法」、自分自身がいつも使っている考え方やその表現方法をきちんと文章化しておこうと思いここに記すものです。

自分を説明することとは

まず最初に考えることがあります。それは、「自分を説明する」ということがどんなことなのか、ということです。今の自分を説明するときに、「明るくて元気な性格です。スポーツや遊びが好きで友達を作るのが得意です」とだけ言ってもあまり伝わるものがありません。

しかし、「自分は小学生の頃から元気が有り余っていて、よく学校が終わったら友達を誘ってすぐに公園に集まって遊んでいました。大学生になった今でも週に1-2度は友達を誘ってスポーツをしています」

過去から現在までの一貫性

こう聞くと伝わるものが増えたように感じませんか? つまり、今の性格を説明するためには、「過去の自分」について触れ、その過去の自分と今の自分とがリンクしていることを示すことが重要なのです。これは「過去と現在の一貫性」と言えそうです。

更に「遊びやスポーツの中で、そういうことが苦手な友達にどうやったら楽しんでもらえるかをいつも考えていました。最初は嫌がっていた友達にコツを伝えている内にどんどん上達し、自分が負かされた時は悔しくも嬉しかったことをよく覚えています。今でもいい友達ですね」

と言われるとどうでしょうか。具体的なエピソードが追加され、更にそこでの変化が説明されています。

未来までも繋がる一貫性

「そんな経験もあり、これから体育教師となってスポーツが得意な子だけが楽しめるような今の授業を変え、クラス全体で運動や体を使った遊びを楽しめるような授業をしたいと思っています」

どうでしょうか。過去-現在-未来の一貫性が強く感じられると思います。少なくとも、「明るくて元気な性格です。スポーツや遊びが好きで友達を作るのが得意です」「なので体育の先生になりたいんです」と続くよりはずっとわかりやすいのではないでしょうか。

自分を説明することには、過去・現在・未来の3要素を入れること、そしてそこに一貫性があるとよく伝わるということですね。

まとめ

明るくて元気、というのはほとんど何も説明していないのと同じなんです。なぜなら、そこに「固有の経験」が説明されていないからです。固有の経験が、人を他の誰かではなくて「固有の私」にしてくれると思っています。

繰り返しになりますが、自分を説明するということは

a.過去・現在・未来それぞれの自分と、
b.その変化を生み出した経験から得たことや感じたことを
c.1つの流れの中で説明する

(a,bを点、cはそれらを繋ぐ線と呼びます)

ということなんです。少なくとも僕の中では。ということで、次回の記事では「具体的に、経験ってどういうことなのか?」に関して考えていることを言語化していこうと思います。


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