ロバ / 沖田 正誤

小説家・翻訳家・ライター見習い。東京大学教養学部卒(文化人類学・副 表象文化論)高卒後…

ロバ / 沖田 正誤

小説家・翻訳家・ライター見習い。東京大学教養学部卒(文化人類学・副 表象文化論)高卒後、音楽、執筆、NGOを経て大学へ。作家を目標に、けれど興味はあちこちふらふら。批評とライターも修行しつつ、勉強意欲もまだまだ。児童文学・詩・舞台・芸術全般に興味あり。アニメ・ゲームも。

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最近の記事

ハンナ・アレント『人間の条件』レジュメ

0. レジュメ(PDF)※個人的な興味に基づいたレジュメであり、正確性・網羅性のあるものではありません。参考程度にお使いください。 ❶哲学の基本書として- 『人間の条件』(1958年)はハンナ・アレント(1906-1975)の主著の一つ。個人的にはソクラテスやニーチェやデカルトの著書同様、「哲学の基本書10冊」に入れてよい本であり、哲学を勉強しようと思ったのならなるべく早く手に取るべき本だと思う。レビューなどを見ると「難解」だという感想を見かけるし、確かに難解なパートもある

    • ハイデガー『存在と時間』感想+レジュメ

      0. レジュメ(PDF) ※個人的な興味に基づいたレジュメであり、正確性・網羅性のあるものではありません。参考程度にお使いください。 1. 『存在と時間』を2020年代に読む意味は?- 発表はおよそ90年前! しかもナチ協力した過去が近年より明らかになって批判対象に! 今さら『存在と時間』を読む意味あるの? この問いにはまずシンプルに、「その後の思想に与えた影響が莫大なので、読んどくと便利!」ということ。実際読んでて「あー、これ読んどけばもっと分かってたなー」と思い

      • 3-08「『作者』を編集する ―J.G.バラードの『自伝三部作』」

        7人の読書好きによる、連想ゲームふう作文企画「杣道(そまみち)」。 週替わりのリレー形式で文章を執筆します。 前回は屋上屋稔の「ミナミのマリリン・モンロー」でした。 【杣道に関して】 https://note.com/somamichi_center/n/nade6c4e8b18e 【前回までの杣道】 3-06「収集家たち」/蒜山目賀田 3-07「ミナミのマリリン・モンロー」/屋上屋稔 ____________________________ 1. 作者は死ななかった

        • カフカ短編集の収録作品一覧

           最近読んでいる様々な短編集の源流としてカフカの影響が大きいな、と感じることがあり、一度カフカの主要作品を全部読んでみよう、と思い立つ。ところが、各出版社が様々な短編集を編んでおり、どの作品がどこに入っているのかがよく分からない。そこで主にネットの情報から、どの本にどれが入っているのか、を調べたものが以下。スプレッドシート形式なのでリンクになりますがご容赦を。  以下、リンク先のシートの内容についていくつか。 1. 訳者によってタイトルがまちまちです。同じ作品と思えるもの

        ハンナ・アレント『人間の条件』レジュメ

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        • 読書レジュメ
          1本
        • SF100冊ノック
          25本
        • 「ダークフォトンの水底で」
          7本
        • 「セヴンティ」
          7本

        記事

          超口語訳ハイデガー『存在と時間』冒頭

          第一夜  『ある』とか『いる』っていったいなんだろう。  山がある。人がいる。そんなの当たり前だって、みんな言うけれど。  哲学者とか思想家とか、いろいろと考える人がいるのに、『ある』ってなにか、なんてベーシックなことを考える人は、まるで見当たらない。でも、それっていつからなんだろう。僕は不思議に思って色んな本を調べてみた。 「『ある』ってこと、みんな、当然分かってるよね?」なんて目くばせして、説明をはぶいてない時代まで、ずっとさかのぼってやろうと思って。  ヘーゲルさん

          超口語訳ハイデガー『存在と時間』冒頭

          『知の教科書 ライプニッツ』+ 『モナドロジー』 読書ノート

          ※僕が理解した範囲・重要に思えた部分のメモなので、全体を網羅したものにはなっていません。参考程度に読んでいただければ幸いです。 ※おおよそ書籍の内容に沿った要約ですが、個人的な補足やメモ、考察を含みます。これらは大抵 ※米印 がついてます。 『知の教科書 ライプニッツ』 1 ライプニッツを読む 1. 1646 ドイツ生まれ。ハノーファー公の顧問官。未婚。私生活については知られていない。 2. 最大の貢献は微積分法(ニュートンと同時期)とされる。物理学論文も多数。 3. 哲学

          『知の教科書 ライプニッツ』+ 『モナドロジー』 読書ノート

          『The Last of Us Part II』考察・感想 ― 復讐心の憑依・呪術としてのゲーム

          ※作品の重大なネタバレを含みます。ゲームを未プレイ・未クリアの方はご了承の上お読みください。 1 呪術としてのゲーム  公式サイトに「復讐を求めるエリーの無慈悲な旅」「凄惨な連鎖」とあるように、今作のテーマは「復讐・報復の連鎖」と考えて間違いはない。ただしそれは、客観的な復讐の物語を語ることではなく、「プレイヤーに復讐心を内面化してもらう」こと、復讐心に憑りつかれるというのはどういうことかという内面・主観的な部分に最大限フォーカスしている。  僕が大学で学

          『The Last of Us Part II』考察・感想 ― 復讐心の憑依・呪術としてのゲーム

          カール・マルクス『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日 』読書ノート

          ※僕が理解した範囲・重要に思えた部分のメモなので、全体を網羅したものにはなっていません。参考程度に読んでいただければ幸いです。 ※おおよそ書籍の内容に沿った要約ですが、個人的な補足やメモ、考察を含みます。これらは大抵 ※米印 がついてます。今回考察多め。 1 1. 序文…フランス革命の状況についての描写。 2. 「すべての偉大な歴史的事象と人物は二度現れる」(ヘーゲル)「一度は悲劇として、二度目はみじめな笑劇として」(マルクス) 3. 2度のブリュメール18日。最初はナポレ

          カール・マルクス『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日 』読書ノート

          ニーチェ『ツァラトゥストラ』読書ノート

          ※僕が理解した範囲・重要に思えた部分のメモなので、全体を網羅したものにはなっていません。参考程度に読んでいただければ幸いです。 ※おおよそ書籍の内容に沿った要約ですが、個人的な補足やメモ、考察を含みます。これらは大抵 ※米印 がついてます。 第一部 1 ツァラトゥストラの序説1. 30で山に入り40歳まで孤独を愉しんだが → 太陽に向かって語る。「知恵の過剰に飽きた」そして「低いところに降りなくてはならぬ」→太陽が沈んでいくように。「無知を与えよう」という施しの感情。ここで

          ニーチェ『ツァラトゥストラ』読書ノート

          『教養としての10年代アニメ』読書ノート

          ※あんまり内容まとめてません ※考察多め。考察部分は基本 ※米印 がついてます はじめに1. アニメを「情報娯楽」インフォテインメントとして眺める。文脈・情報が付加されていることが一つ 2. インターネット…ニコニコ動画やtwitter等感想の共有、バズりといった作品外とのかかわりが増えたことも 3. 「セカイ系」…2002年ぷるにえの提唱。このときは一種の蔑称。社会が飛ばされ個人の一人語りが世界と直結する 4. ゼロ年代批評は、当時は空気系⇔セカイ系の対比だった ※現在は

          『教養としての10年代アニメ』読書ノート

          ニーチェ超訳 『ツァラトゥストラ』より「市場の蠅」

          「逃れよ、わたしの友よ。君の孤独のなかへ。わたしは見る。君がネットのフォロワーたちの引き起こす炎上によって通知欄を奪われ、アンチたちのリプに刺されて責めさいなまれていることを。孤独がなくなるところにネットがはじまる。そしてネットのはじまるところ、そこにまたインフルエンサーたちの喧騒と、毒あるアンチどものうなりがはじまる。  ネットでは、最善のものも、それを演出するインフルエンサーがいなければ何の足しにもならない。大衆は真に偉大であるもの、すなわちクリエイティブな力に対しては

          ニーチェ超訳 『ツァラトゥストラ』より「市場の蠅」

          ニーチェ『道徳の系譜学』読書ノート

          ※僕が理解した範囲・重要に思えた部分のメモなので、全体を網羅したものにはなっていません。参考程度に読んでいただければ幸いです。 ※おおよそ書籍の内容に沿った要約ですが、個人的な補足やメモ、考察を含みます。これらは大抵 ※米印 がついてます。 序1 自己認識という難問 1. 私たちは私たち自身にとって未知な存在である…自分については「認識者」ではない 2 認識の樹 1. 1876-1877 以前に書かれた思想の洗練。『人間的な、あまりに人間的な』の延長 2. 「道徳的な偏見

          ニーチェ『道徳の系譜学』読書ノート

          ニーチェ『善悪の彼岸』読書ノート

          ※僕が理解した範囲・重要に思えた部分のメモなので、全体を網羅したものにはなっていません。参考程度に読んでいただければ幸いです。 ※おおよそ書籍の内容に沿った要約ですが、個人的な補足やメモ、考察を含みます。これらは大抵 ※米印 がついてます。 序 1. 「独断論」批判…哲学は占星術のようなもの。プラトン以降の西洋哲学を外観し、その限界を予期させる。 2. 「キリスト教は『通俗的な』プラトン哲学だからだ」 3. 二度の危機…①イエズス会(宗教改革) ②啓蒙思想 1篇 哲学の先

          ニーチェ『善悪の彼岸』読書ノート

          ニーチェ『悲劇の誕生』読書ノート

          ※僕が理解した範囲・重要に思えた部分のメモなので、全体を網羅したものにはなっていません。参考程度に読んでいただければ幸いです。 ※おおよそ書籍の内容に沿った要約ですが、個人的な補足やメモ、考察を含みます。これらは大抵 ※米印 がついてます。 1 1. 冒頭、「芸術はアポロとディオニュソス的なものの二重性によって進展する」 →ヘーゲル的 2. 最初は具体的。アポロは造形・彫刻、ディオニュソスは音楽に代表させる。無形か有形か 3. やがて両方の要素を持つアッテ

          ニーチェ『悲劇の誕生』読書ノート

          難しい本を読む "超具体的" テクニック

          -- 「難しい本を読むには」というトピックはいくらでもあるし良い本もたくさんある。ただし、そうしたものをめくると、基礎教養をつけろ、とか気構えとかについて語られてる。いや分かってる。それは大事。ただもっと即効性のある具体的なテクニックが欲しいんじゃ! という人のための記事。 - というわけで、徹頭徹尾、具体的なテクニックだけを集めました。以下の目次を見てなんか気になるのがあれば役立てていただければ幸い --- 1. 自炊して/Kindleを使ってPCで読め or 書見台

          難しい本を読む "超具体的" テクニック

          フーコー『言葉と物』読書メモ

          ※僕が理解した範囲・重要に思えた部分のメモなので、全体を網羅したものにはなっていません。参考程度に読んでいただければ幸いです。 ※おおよそ書籍の内容に沿った要約ですが、個人的な補足やメモ、考察を含みます。これらは大抵 ※米印 がついてます。 全体概要 0. 序(11p)         :ボルヘスの分類が出発点という話 第一部  1. 侍女たち (15p-2節)    :ベラスケスの「ラス・メニナス」とその表象空間の話  2. 世界という散文 (29p-5節) :16

          フーコー『言葉と物』読書メモ