33歳人妻が16歳の少年に恋した話 9 再会

2022年、7月下旬。

会った日から毎日、私のツイートにフラッグ君がリプライをくれるようになった。

どうしたんだろう?と思いつつ、嬉しかったので私もノリノリで返事をした。
彼とやり取りできることが楽しみで、今まで以上にツイートする回数が増えた。

ま、もう会うことはないんだろうけど。
こうしてやり取りできるだけで十分幸せだな、と思った。

フラッグ君と会った翌週の試合の日。
私はいつも通り夫と会場へ行った。

いつもは私がチケットを取るのだが、今回は夫が取りたいと言うので、夫にチケットの手配をお願いしていた。

夫が選んだ席は、いつも座っている席とはちょっと違う領域だった。

普段私たちは指定席のチケットを取り、ゆっくり座って試合を観ている。

しかし、今回夫が取ったのは、ちょっとコアファン向けの立ち見メインの自由席エリアのチケット。

この日の試合は地元のテレビ局で中継されるため、カメラが向けられやすいコアファン向けの席にいれば、自分たちがテレビに映るかもしれない、面白そう、と思ったらしい。
夫は知らないうちに録画予約していた。

慣れないエリア、いつも座っている席とは明らかに違うコアファンだらけの空気。
ちょっと緊張した。でもワクワクもした。

自由席ということで、どの辺の席を取ればいいかよくわからなかったため、とりあえず歩く夫についていった。

「この辺でいっか」
と、夫は空いている適当な席を選び、そこに2人で座った。

すると後ろから

「あれ?あのこさん?」

と声がした。

振り向いたら、フラッグ君だった。

超びっくりした。気が動転して何も言葉が出なかった。とりあえず会釈した。

すると夫が
「フラッグ君じゃん!!あれ?その手に持ってるフラッグはもしや」
と言い、彼が持っているフラッグを見た。

彼は
「はい、あのフラッグです。試合始まったら使うんで」
と言って、ニコニコしていた。
私の造語を無断使用して製作した、あのフラッグである。

もう二度と会うことはないと思っていたのに。

そして試合開始時。
選手達が入場してきた際に、後ろで何かガサゴソと音が聴こえた。

振り向いて見たら、フラッグ君が例のフラッグを掲げていた。

実物のフラッグってこんなにでかいのか、と驚いた。
本当に私の造語がでかでかと書かれている。すごく嬉しい。

フラッグを掲げる彼を見た。
真顔だと結構凛々しい顔してるな。大人っぽいな。本当に高1なのかな。
若いのにこんなフラッグ作ったりステッカー作ったり、アクティブですごいな。

なんて考えながら、彼の首元を伝う汗を見て、一瞬ドキッとした。

正直その日はもう、試合どころではなかった。
後ろにフラッグ君がいると思うと、気になって仕方がなかった。
彼は大声を出して、一生懸命応援していた。

試合終了後。
フラッグ君と軽く挨拶をし、帰路についた。

夫は彼を相当気に入ったようだった。
「あの子熱くていいねえ。また会えたらいいなー」
と言っていた。

私も
「そうだね、また会いたいね」
と言った。

私も夫も、また彼に会いたいと思っていた。
もちろん「会いたい」の意味合いは、私と夫では全く違うのだけど。

寝る前、フラッグ君からDMがあった。

「今日は気がついたら前にいたのでびっくりしました笑また会いましょう‼︎」

私は
「本当にびっくりしましたね(笑)また会えたらいいですね!」
と返信して、眠りについた。

翌日。
パートが休みだったので、夫が仕事に行ってから、録画していた試合を再生してみた。

試合が始まる直前の場面で、なんとあのフラッグを掲げる彼がアップで抜かれた。

そしてその画面下部には、両手で頬を覆いながら後ろを向いて彼の姿を見つめる私が映っていた。

私こんなポーズしてたのかよ。超乙女じゃん。 

すかさずスマホでその場面を連写した。
図らずもツーショット。

連写した大量の写真を何度も何度も見返した。
たった数秒間。彼の微妙な目線の移動。
それを見るだけでドキドキした。

1日中、何度もその場面を巻き戻して見返した。

ただの相互フォロワーとしてやっていこう、と決めたはずだったのに。
もう普通に好きになっちゃってるじゃん。

続く

関係ないけど今日は行きつけの喫茶店納めしてきた。マスターがプリンアラモードとショートケーキとお餅とりんご食べさせてくれた。お腹パンパン。

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