33歳人妻が16歳の少年に恋した話 71 フラッグじゃなくブラック

2023年、1月中旬。

新しい職場に行く日。

フラッグ君が前日にくれた応援のLINEを見てから家を出た。

「頑張って!楽しんできて!応援してます!好き!」

彼は応援する時によく「楽しんで」と言ってくれる。
何事も楽しんで生きることが彼のモットーなのだろうな。

楽しんで、という彼の一言に何度も元気づけられてきたし励まされてきた。勿論今日も。

とりあえず楽しんで来ようと思った。

職場に着くなり、皆さん歓迎ムードで感じ良く出迎えてくれた。
面接の時にも感じていたけど、皆さん仲が良さそうで雰囲気のいい職場だなと思った。

みんなの前に立ち、ドキドキしながら入社の挨拶を済ませた。

私の勤めるオフィスはほぼ全員が女性。

おしゃれで綺麗な人が多くて、それだけでもう心が折れそうだった。
こんな綺麗な人ばかりの職場でちんちくりんのブスな私がやっていけるのか。

早速ちょっと自信を無くした。

でも離婚して早く彼と付き合いたいし。
財布を開けると中には彼が作ったステッカーというお守りもあるし。
それだけできっと大丈夫だと思えた。

入社初日のため、午前中は会社や仕事概要の説明で終わった。
初日だし1日を通してこんな感じだろうなと思った。

しかし、午後になると早速部署の長からバンバン仕事を振られた。
初日なのに結構容赦ないんだな、と思ったがとりあえず与えられた仕事をこなした。

当然わからないことだらけのため長を呼びまくって都度教えてもらっていたのだが、ふとしたタイミングで長が

「そうだ、あのこさん、終バスの時間調べておいてね、遅くなるから」

と言った。

言葉を失ってしまった。

入社初日の人間にこんなことを言うのはさすがにやばい。
ちょっと嫌な予感がした。

絶望的な気持ちは一旦置いておいて、なんとか仕事をこなし、あっという間に定時がやってきた。

誰からも声をかけられることはなかった。
帰っていいのかわからなかった。

長に仕事が終わったことを伝えると

「まだ残れる?」

と聞かれた。

いいえと言えるはずがなかった。

結局そんな感じで初日から1時間の残業。
この感じだと明日はもっと残されそうだな、と思った。

仕事が終わり、スマホを開くとフラッグ君から連絡が来ていた。

「初日どうだった?」
「さっそく1時間残業(笑)やばい会社かもしれない」
「おお!面白いことになってきましたね(笑)こうなったらいっぱい残業して残業代を全部離婚資金にするしかない」
「そうね!頑張る」
「週末はイベントあるし頑張ろ」
「忘れてた!イベントでちょっとでも会えたらいいね」
「はい!会ったらハグしちゃうかも(笑)」
「ぜひどうぞ(笑)」

フラッグ君のおかげで少し元気が出た。

そして彼から言われるまですっかり忘れていたが、週末には応援しているスポーツチームのイベントが街中で行われる。
どれだけ疲れていても絶対に行こう。

チームの選手たちに会えることより、彼に会えることの方がずっと楽しみだった。

嫌な予感と憂鬱な気持ちは拭えないけど、週末に向けて全力で仕事を頑張ろうと思った。

続く

関係ないけど、大谷翔平結婚おめでとう。奥様どんな方なんだろう。本当にゆりやんだったら面白かったのにな。残念。

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