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違和感のあるツイートへの回答を試みる

#ジャニーズ問題 を問題と考えていない人のツイートで見かけたものと、私の正解

ツイッターで目にする主張の中には、私の中ではとっくに解決していることがいくつもあります。
そういうツイートについての私の正解を書いてみます。あくまで「私の正解」です。
ただ、そういうツイートをしている人はジャニーズ問題には強い関心はないのでしょうから、ここを読むこともないとは思いますが。

「ジャニーさんが生きてるときに言え。死んだ今になってああだこうだ言うのは卑怯。死んだ人は反論できないんだから」

➡ジャニー喜多川氏が生きてるときには言えなかったということが、この問題の根深さなんです。彼はそれだけ強い権力を持っていたということ。その権力を利用して性加害を続けたのが彼なんです。死んだ今だからこそようやく言えるんですよ。でもジャニーズ事務所は今も業界で権力を持っていますので、告白者はとんでもない勇気を振り絞っているでしょうけどね。
それと、死んだ人は反論できなくても、ジャニー氏が正しければ世間が束になって反論します。ジャニー氏なんかよりよっぽど大きな声でね。

「当事者でもない外野が何か言うべきじゃない。二次加害になるから」

➡当事者ではないから言えることがあります。
日本ではまだあまりなじみのない言葉ですが、アドボカシーという言葉があります。「擁護する」「代弁する」「支持する」といったような、主に医療や福祉分野で使われている言葉なのですが、性被害に遭った人の多くは、そのことで自分が目立つのを嫌がります。
多くの人は口を閉ざします。当然のことですよね?
顔と名前を出して性被害を訴えるのはとても勇気のいることなんです。
ですから、被害者の気持ちを想像して擁護し、代わりに主張する人が必要なんです。そうしないと何も解決しませんから。

それと、外野の人なんていないんです
性被害が放置された社会では、いつ・誰が同じような被害に遭うかわかりません。
そして、被害に遭っても誰も助けてくれないのであれば、被害を訴えることすらできなくなってしまいます。
今までの日本はずっとそうでしたよね。

「割れ窓理論」ってご存じですか?
誰かが割った窓ガラスを一枚放置しておくと、ガラスを割る人がどんどん増えて、最終的には街全体が荒れ放題になってしまうというあれです。
それと同じなんですよ。放っておいたら加害者も被害者も増える一方なんです。
今までほとんどの性被害者が声をあげられなかったのは、あなたのように人間の尊厳や人権といったものに対する意識の薄い人がほとんどだったからです。
だけど、まだそれほど多くはないにせよ、SNSなどの浸透もあってようやく声をあげられる人が増えてきて、封建時代のような意識が変わりつつあります。

まずは知ること。次に理解すること。そして共感し、擁護し、助けることです。

困っている人のために言葉を使い、弱っている人に肩を貸し、泣いてる人にはハンカチを差し出して、二次・三次と永遠に続く加害行為を食い止めようとする人を増やすことが大事なんです。
それは二次加害などではなく、一次でも二次でも被害者を減らすことになり、同時に加害者を減らすことでもあるんです。
もちろん、あなたも外野などではなく当事者です。
同じ社会の一員なんですから。

「ジャニーの件で当事者でもないのに騒いでるやつはみんな左翼だろ?」

➡意味がわかりません。
川でおぼれている犬を助けるのは右翼ですか左翼ですか?
道端の草むらで羽根を痛めて飛べなくなった鳥を助けるのは右翼ですか左翼ですか?
土砂崩れで生き埋めになった人を救出する人は右翼ですか左翼ですか?
お医者さんは右翼ですか左翼ですか?
おなかがすいてる人にラーメンを一杯おごる人は右翼ですか左翼ですか?

わかりませんが、いろんな人の中には右翼の人も左翼の人もきっといるでしょう。
ひつだけはっきり言えるのは、右翼の人の中にも、左翼の人の中にも、中道の人の中にも、政治に強い関心のない人の中にも、どんなカテゴリーの人の中にも、人の痛みがわかる人はいるということです。
小さいかもしれませんけど、そういうのを“希望”というんじゃないですか?

「いつまで騒いでるんだよ。その話はもう飽きたからやめろよ」

➡はい?! なんですか?!
いいえ、やめるわけないじゃないですか。
いつなのかはわかりませんが、少なくとも自分で納得できないうちはやめません。
あなたは「おまえに飽きたからもう人間やめろよ」と言われて人間やめますか?
なんであなたの飽きっぽさに私がつきあわないといけないんですか。

「偽善者ぶるな!」

➡よかったー! 私は悪者じゃなくて偽善者に見えるんですね。
そういうあなたが何者に見えるか教えてあげましょうか?……やめておきますね。なんせ私は偽善者なものでやさしいふりがうまいんです。

「当事者の会の◯◯は…」「法で解決しろ」
(2023年9月23日新規追加)

(以下はXの当アカウントに届いたものの一部)


➡︎これらに対する言葉はひとつしかありません。

「知らんがな」

でもそれだとあまりにそっけないでしょうかね。

※以下は他者の誰のことも代弁していませんし、法律を専門的見地から解釈したものでもありません。

「当事者の会の◯◯は…」については、まさに「知らんがな」しかないのですが、あえて答えるのなら「だから?」のあとに「それがどうしたの?」くらいでしょうか。
必要とあらば、相殺されることなく、それぞれ別々に処理されるべきことです。
「味噌と◯◯を一緒にするな」というやつですね。
それはそれ、これはこれ。
あくまで「必要とあらば」ですが。

「法で解決しろ」「司法の場で決着つけろ」
アレのひとつ覚えのようにこれを言う人は多いですよね、特にジャニーズファンに。
一度しか説明しませんので、よく読んで、考えて、もう二度と私には言ってこないでくださいね。

世の中のあらゆることは法律だけで決まるわけではありません。
他者と関わりながら、円滑な社会生活を営むことを目的として定められているのが法律です。
当事者間でどちらか一方、もしくは双方が納得できない、そのまま放っておけない時に、社会における第三者の目として基準となるのは主に民事に関する法律であり、当事者間で双方合意がある場合には特に出る幕はありません。
もちろん当事者同士が合意していても、それが刑事に関する犯罪であったり、社会規範・通念等から著しく逸脱していたり、公序良俗に反するものなどはその限りではありません。

ジャニー喜多川の過去の行為をめぐる当事者というのは、第一義的には加害者であるジャニー喜多川と被害者です。
法の適用を受けるとするなら刑事事件にあたることか、その両者間に合意できない出来事が必要ですが、ジャニー喜多川はすでに故人のため、通常であれば刑事・民事いずれの法も適用されません(死後の訴えもできなくはありませんが、被疑者死亡の場合は被害届が受理されないのが普通で、仮に受理されたとしても不起訴となります)。
それでも、どうしても納得いかない被害者が対象としたのがジャニーズ事務所であり、代表取締役社長(当時)の藤島ジュリー景子氏です。

ジャニーズ事務所は、ジャニー喜多川が創業し、半世紀以上の長きにわたって営業を続け、現行法では重大な犯罪となる行為の拠点とした会社です。
その遺産を血族である藤島ジュリー景子氏が引き継ぎ、今もなおジャニー喜多川が遺した人的・金銭的遺産を元手に商業活動を続けているのですから対象とする相手としては妥当でしょう。
正の遺産だけ受け取って、負の遺産は放棄するなどということは通常ではできません。
それに納得がいかないのであれば、ジャニーズ事務所および藤島ジュリー景子氏は対応しない、もしくは不当なことだと訴えることが可能でした。
過去には被害者がジャニーズ事務所に被害を訴え(相談し)たこともあるようですが、事務所に一蹴されたとの報道があり、それについて事務所は異を唱えていないことから、実際に何の対応もしてこなかったということがわかります。
しかし今回は、結果としてではありますが、ジャニーズ事務所も藤島ジュリー景子氏も「対応しない」「提訴する」ことを選択しませんでした。
その手始めとして再発防止特別チームをつくり、調査を依頼しましたよね。
ジャニーズ事務所が費用を出して人選し、契約内容は明らかにされていませんが、調査内容や範囲、期間等にも合意しているでしょう。
繰り返しますが、設置したのはジャニーズ事務所です。
設置の責任者は社長の藤島ジュリー景子氏です。
その再発防止特別チームが調査結果を提言とともに報告書にまとめてジャニーズ事務所に渡しました。
それを受けて行われたのが9月7日のジャニーズ事務所の記者会見です。

いいですか、よく考えてください。
司法の場を選ばなかったのは被害者だけでなく、ジャニーズ事務所も同じなのです。
被害者にしてみれば、法の解決という不可能に近い、時間もお金も手間もかかる面倒なことをするよりも、できればその前に解決したいと思うのは当然です。
仮に法が適用されたとしても被害が消えるわけではありませんし、特に子どもの頃に受けた性的虐待による被害は一生続くと言われています。

同じように、ジャニーズ事務所と藤島ジュリー景子氏も法による解決を選ばず、再発防止特別チームに法に依拠しない調査を依頼し、その提言を受け容れたのです。
ですから、それでも「法による解決を」とか「司法の場で決着を」と言いたいのであれば、その無意味な言葉を向ける先はジャニーズ事務所なのです。

ちなみに、私自身は最初からずっと公的機関による全容解明を望んでいます。
イギリスのジミー・サヴィル事件のように。
加害者のジャニー喜多川は故人ですから通常なら警察は動いてくれません。
民事にしても、被疑者死亡と時効の壁に阻まれてしまいます。
ですから、国連人権理事会作業部会が残した声明文に書かれているように、国が主導して、世界にも稀な残酷なこの事件の全容解明がなされるべきだと思うのです。

大事なことなので、最後にもう一度繰り返しておきます。

司法の場を選ばなかったのはジャニーズ事務所であり、藤島ジュリー景子氏です

今後は私に無意味なリプライを送ってこないで、ジャニーズ事務所に言ってください。

なお、#ジャニーズ問題 で揺れながら葛藤しているジャニーズファンの方には、こちらのエントリーもおすすめしておきます。



(9月24日追記)
2023年9月24日付 東スポWEBより
https://www.tokyo-sports.co.jp/articles/-/277391
「喜多川さんが亡くなったのが2019年の7月。ですから2018年のときに相変わらずジュニアに対してみだらな事やっていた場合には喜多川さん自身がまだ時効にかからずに、児童福祉法違反という犯罪が成立するんです」
「喜多川さんの周りで会社の役員が止めもしないでみすみす放置していた、見て見ぬふりをしたということになると、現職の事務所の役員が児童福祉法違反の共犯になるんです」
(元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士)



以上、#ジャニーズ問題 で見かけたツイートへの、私なりの回答でした。
もしかしたらツイッターでさらに違和感のあるものを見かけたら追加するかも知れません

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