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逆噴射小説大賞2020・異次元ピックアップ ~タイトルだけ部門・20選~



 もしもし、聞こえますか。
 こんにちは。私です。

「逆噴射小説大賞2020」、進捗どうですか。
 初日に全弾ぶっぱなしたパンク兄ちゃんもいれば、一発一発をじっくり錬成、ゆっくりと装填、ぐっと絞るように引き金を引いていく人もおられるでしょう。
 まだ迷っておられる方、去年の私の経験からアドバイスをいたしますと、ガーッと書いてバーッと出すのがいい感じです。えっ……参考にならない……なんかスイマセン……
 で、残り10日を切りましたここで、23日昼現在時点での私・ドントによるピックアップをお送りしたいと思います。

 が。


 普通のピックアップ記事は他の方も書かれておられますし、やるからには全作読んでみたいものの、時間や体力ほかの問題もあり、なかなか厳しいものがある。
 これはどうしたものかと一計を案じまして「ちょいとコレいっぺんやってみっか!」とトライしたのがこの変則ピックアップ記事でございます。



 タイトルの“強さ”だけで20本選んでみる



 一言で言うと、そのような無法のピックアップです。
「テメー! 本文も読みやがれこのタコ!」と叱られるかもしれませんが、しかしながら「タイトル」って、いいモンなんですよ。何せ作品の看板であります。無論幸福な例外も多々ありますが、タイトルで「オオッ!?」と思わせるものはだいたい中身も面白い。名盤と言われるアルバムのジャケがそれっぽい風格を漂わせてるのに似て……ほら応募要項にも「タイトルは大事」って書いてあるし……

 そんなわけで公平を期すために、ヘッダーや本文が表示されるタイプの大きな記事リンクは貼りません。タイトル部分にリンクを張る超・シンプル設計で参ります。「オオッ!?」と思ったら、題名をクリックしてね!!



◆◆◆はじまりはじまり◆◆◆



メルヒェンの獣

 危険な奴らが集まった初日00:00組からこの1本。ファンタジーの匂いと獣性と、そして形容しがたい忌まわしさがグッと立ち上がってくる7文字。強さNo.1だ。



なるべく生者が望ましい

 ビジネスライクな文言の体温の低さに、実に嫌な予感となまあたたかい空気を孕んでいる。そこはかとなく、しかし確かにこわい。詩的表現部門一位であろう。




醤油戦争

 異質なものの結びつきこそ創作の原点、と書いたのは星新一だ。「醤油」と「戦争」を繋げちゃったんだから、もはや何が起きるのやら。ワクテカで優勝である。




星を眠らせ雪降りつむ

「太郎を眠らせ……」の詩をちょいと変えただけでSFっぽいポエジーな膨らみがプーッと出てくる。静けさが聞こえてくるようだ。ビューティフル部門一等賞だと思う。




涅槃はどこだ。

 力強い。シンプルに「このタイトルでいく!」と決めた侠気が伝わってくる。しかも「。」までついている。きっと中身もかっこいいことだろう。男前部門で王座を奪取。




奨励会を抜けてアヴァロンへ

 中世的な雰囲気が浮き上がってくるようですごくよい。堅い漢字から片仮名へ「抜ける」浮遊感と広がり。かっこよさ部門でチャンピオンに輝くだろう。




『ロッホ』

 俺も含めてみんなイカしたタイトルをつけようと頑張っている中でボコッ、とこういうものが現れると嬉しくなる。心意気。我が道を行くワンアンドオンリー。大勝利。




降洋量を測る

 まず文字の連なりがイカす。気取らず気負わずスッと出されたようでいて「降洋量」。これは気になる。オッなんだこれは、なんかよさそうだぞクラスで首席だ。




ゴジラ対横綱

 簡素、簡潔、飾り気なし。文字通りだ。わかるだろう。文句があるか? そういう気迫に満ちたチャンプだ。そう、まるでゴジラと横綱のような貫禄……!




あくまで肌色

 素晴らしい。これが本屋に並んでいたら絶対に手に取る。そういう牽引力と深みを感じさせられる。理屈ではなく直感で圧倒的優勝。




輝くほどの60分の4秒

 まさに一瞬、刹那のような輝きがこのタイトルに凝縮されていて心に響く。なんの一瞬なのであろうか? 題名だけでドキドキしちゃうぞ部門の総番。




到達不能公園

 タイトルだけではまったく想像がつかない。ジャンルすらわからない。脳の変な部分をつつかれるような凄味を感じる。なんだこれは! 今年のボスキャラだ。




ウロボロスの鱗

 ウロボロス、鱗……これは触っちゃうやつかな~、えらいことになるだろうな~、と想像させる強度がある。頭韻も踏んでいる。黒幕の如き存在感。




ゴボウを持ってキリンで駆け抜けよう

 何を言っているのかわからないし何が起きるのかわからないが、とにかくすごく心が躍った。わくわく級ベルト保持者。




訃翅蝶

 こわいやん……絶対禍々しい話やん……人がすごい死ぬやつやん……。「令和怪談傑作選」とかの並びにいそうな不穏が影をも踏ませぬ一着ぶり。




ケラっこ阿修羅は仲がよかった

「ケラっこ」と「阿修羅」のプリン&カツ丼のような並びでフラついた所に「仲がよかった」でKOされた。これはすごい。文句なしで首位。




神州人虎伝

 漢字の最強ぶりを見せつける逸品だ。漢字には魔法が宿っている。この人はそれを超わかっているのだ。腹にどすんとくる。ストロング部門一位。




オナホ長屋

 勝てるかよ!!!! こんなタイトルによぉ!!!!!(参加者全員の叫び)




ロケット

『ロッホ』とはまた違った意味で、こういう簡潔最強なタイトルに遭遇するとピックアップしたくなる。シンプルisベスト優勝者だ。

真説・女装メスガキ男性地獄変

 どこを目指したいのかわからないが、この名前を冠してどうっ、と野に駆け出した勢いに惚れざるを得ない。お前がナンバーワンだ!!




◆◆◆◆◆◆◆◆◆




 いかがでしたでしょうか。「タイトルだけで選ぶ20作」。上記のように「これ本屋の棚に刺さってたらオッ? と手に取っちゃうね」という膂力が、それぞれ方向性はまるで違えども満ち満ちているかと思います。
 ちなみに私がすでに撃った5発からひとつ選ぶなら……

 真夜中の血の女王

 かなぁ。ハヤカワのポケミスにありそうで、いいですよね(自画自讃)



 なお、終了直前か直後くらいに「ちゃんと読んで選びました! ピックアップ6選(仮題)」をお送りしたいと思っております。すでに3席埋まっており、ここにある作品も選ばれているのかそうでないかは……秘密……!!


 それではあと一週間くらい、皆さん楽しく撃ち合いましょう。
 創作は! 心身ともにそこそこ健康な感じで! あんまり自分を追い込まないよう! ヨシッ!





【ひとまずおわりです】


 

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