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CM批評

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「格好つけたがり」という病

「格好つけたがり」という病

 馴染みのある薄汚い町中華がカフェ風のオシャレな外観にリニューアルした途端に違和感を感じて遠ざけてしまうことがある。町中華は何かに秀でて特別に旨いわけでもなく、ちょうどよい旨さ、飽きのこない長続きする旨さが舌の記憶に吸着し、あの薄汚い外観、匂い、鍋をたたく音が聞こえるとなぜかまた通いたくなる効能があったのに、カフェ風にリニューアルしてしまったが故に、蓄積された心に描く町中華とちょうどよい旨さが結び

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#(ハッシュタグ)で共感を呼ぶ広告と嫌われる広告

#(ハッシュタグ)で共感を呼ぶ広告と嫌われる広告

「#(ハッシュタグ)」が入った広告を見かけることがある。消費者を巻き込むことで話題化し、普段は見向きもしない消費者にもリーチすることが狙いかもしれない。
「#マクドナルド総選挙」のように、AKB総選挙を模した娯楽として楽しむキャンペーンもあれば、パンテーンの「#この髪どうしてダメですか」のように社会の閉塞状況に対する問いを投げかけ、消費者のアンサーを求めるキャンペーンもある。
 いずれのタイプのキ

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動画広告 「HOW」 の前に考えるヒント〜印象に残った「コイニー」「エアペイ」「PayPay」「シェフズレシピ」CM比較〜

動画広告 「HOW」 の前に考えるヒント〜印象に残った「コイニー」「エアペイ」「PayPay」「シェフズレシピ」CM比較〜

 ブランドのロゴ、色、デザインはいわゆる象徴(シンボル)だ。そのブランドの機能的ベネフィット、情緒的ベネフィット、ペルソナとベネフィットの関係性を表したコンセプトを養分とし、消費者がそのブランドを識別できる象徴的な記号としてのロゴが存在する。
 よく言われている話として、ブランディングとはCI(コーポレート・アイデンティティ)をセットにしたロゴ変更だと勘違いしていることも多い。しかし、ブランドとは

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花王「アタックZERO」発売直後の雑感、P&G「アリエール」のカウンターは果たして効果的か?

花王「アタックZERO」発売直後の雑感、P&G「アリエール」のカウンターは果たして効果的か?

「アタックZERO」発売のおよそ2ヶ月前に『電通ハニカムモデルと「アタックZERO」』という文章を書いた。私はその商品について以下のように解釈した。

「アタックZERO」は明確な特徴をもった商品であり、「ワンハンドプッシュ」で簡単に計量して投入できる機能、それを実現するスタイリッシュな軽量ボディ、花王史上最高と謳う吸湿速乾・保温・形状記憶などの新たな化学繊維にも対応した「汚れ」「ニオイ」「洗

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セグメントとマネーフォワードのCM雑感

セグメントとマネーフォワードのCM雑感

 マネーフォワードの広告を年末から新年を迎えて頻繁に目にする機会が増えた。このCMは藤田ニコルを筆頭に、為末やガンバレルーヤ、大阪のおばちゃん、つば九郎などの個性的なキャラクターに加え、一般人と思われるお父さんなど7つのキャラクターがお金を見える化することについて語る広告だ。

 CMのコンセプトは、プレスリリースからそのまま引用すると「生きることは、お金と向き合うこと。お金を理解し、お金を味方に

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全てのエンジニアを幸せにしない、ブランディングエンジニア(Branding Engineer)社の腐った価値観〜「techboost (テックブースト)」のキモいCM動画〜

 キモい広告はこれまでも炎上しては中止されてきた。

 サントリーの仙台出張を題材にした「頂(いただき)」のCM動画、広瀬すずが出演した『明星一平ちゃん 夜店の焼そば』のCM、最近ではハズキルーペのCMなど、多くの人が目にする広告メッセージにおっさん臭漂うエロが放たれる。

 どう考えても女性からみればキモい広告が会議の中で社内承認される手続きがされて放たれているのだろうから承認者にはおっさんしか

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