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【エンジニアのサマソニ】DevLOVE X Day1 Report

Devlove 10(+1)周年記念イベント

日本最大級のエンジニアコミュニティ、devlove。昨年から開催が予告されていた10周年記念イベントがついに開催された。

あらためて凄まじいメンツである。エンジニア・アベンジャーズ。かなりアセンブルしてる。

会場ができるまで

6/22 午前8:30を過ぎた頃。会場に続々とスタッフが集まり、準備が始まる。
決して大規模カンファレンス向けに設計されたわけではない会場が、あっという間に仕上がっていく。会場設営、WiFiやプロジェクターの確認、スポンサーノベルティの配置、そして受付の練習…
たまたま準備に立ち会わせていただいたが、このスタッフの皆さんがあってこそ初日の大成功につながったのは間違いない。

いよいよ開場。穏やかなスタートだったのが、10:30を過ぎた頃から雪崩のように人が来る。エンジニアにとって土曜午前10時、というのは深夜のような感覚だ。それでもこれだけ人が来る。すごいぞdevlove。devlovex。

全体のまとめは、すでに素晴らしくまとめられたものがある。本noteでは私が観た講演、そして私自身の講演について私の目線から語らせていただく。

Day1 1-D 小田中育生 ソフトウェア開発に最短経路はあるか

それぞれの10年、これからの10年がテーマとなっているが、私は偶然にもちょうど10年前に転職を経験している。転職してからの10年、フィーチャーフォンからスマートフォンだったりVSS->SVN->Gitだったり、プログラマーからマネージャーだったりとまわりも自分も変化してきた。

変化していく中でチームはどうあるべきか、そしてそのあるべき姿にどうやって持っていくか…というテーマで、自分の経験をベースにお話させていただいた。

ビジョンを明確にし、バリューストリームを効率化する。
価値観を共有し、共にビジョンへ向かう力をつける。
しなやかで美しいソフトウェアをつくり、保つ。

ただしく、たのしく、うつくしく つくる力を みにつける。自分のスローガンであるが、それを実現するためにやってきたエッセンスを詰め込んだ。参加いただいた方の、スライドをご覧になった方のお役に立てていれば幸いである。

Day1 2-D 篠原 徳隆 ゼロイチ人材の存在意義と生存戦略

# キャリア
- 入社したころは受託などやっていた
- 言いたい放題言ってたら営業に異動、キャリアについて見つめ直すタイミング(1)
- そのあとAWS移行など進める
- いまはMaaSのプロデューサー
- 10種類くらいのプロダクトに関わってきた
 - 基本的には裏方主義

# MaaS
- JR東日本
- 小田急電鉄
 - MaaS Jaapan
- API Meetup

# ゼロイチ人材
- PSF
- PMF
- Growth
- Scale Up/Out
- ゼロイチ ≠ アントレプレナー
 - ゼロイチは、企業の中で生きる存在
   - 自社のリソース/アセットを使うことに長けている。信頼貯金。
   - 混沌(不確実性の世界)に挑むとはなんなのか?を理解した人材。
 - 学び
   - 専門家になる必要はないが、依頼できるだけの知識や技術は必要
   - 技術・知識の限界が具現化(解決策)の限界になる 
 - アジテーター
   - やりたいことと組織の利益をクロスさせ、パートナーですら引き込んでいく。
   - 点も線も両方取り組める人材。

# ゼロイチ人材はどんなときに役に立つか
- POもPM(Product Manager)も担える
- ドメイン知識は十分か?

# 自分をふりかえる
- ロールモデルがない中での原動力
 - 人の役に立つものを作りたい
 - 夢は「人の当たり前を変えること」
 - 今は「MaaSの世界」実現に全力

ナビタイムジャパン->ヴァル研のリレーという、朝からアツいDルーム。
PSF、PMFまでの世界とそこからの世界、両方を経験してきた篠原さんだからこそ語れる話だ。

お昼休み

昼休みだって楽しめる、それがDevLOVEXだ。旅するAgile本箱が来ていた。

突然の水木しげる。

Day1 3-E 岩切 晃子 52歳のハローワーク

まず意表をつかれたのが、OHPを使っていること。

# プレゼンスタイル
- OHP
# 岩切さん
- 1966年生まれ
- 翔泳社勤務
- 大義のもとに働いてきた
- 10年前に結婚
# 新卒時代
- プランA
  - 「サラリーマンは役員になれないと思ったら40歳で独立するつもりで働け!」
    - by 田宮二郎のお兄さん
    - 40歳でおでん屋をやろうと思ってた
    - 35歳で「デブサミを10年続ける」と宣言、40で辞めることができなくなった
- プランB
  - 定年まで働く!
  - 役員になったため強制退職

# これからの時代
- 70まで働く時代
- 「55歳からのリアル仕事ガイド」
  - 本格的リタイヤは100歳と書かれていた…!
  - 読んだ本すべてで勧められていたこと
    - 今の会社に残る
    - 転職
    - 出向
    - 企業 <- これが勧められている
- やっていること
 - P/Lのカイゼン
   - 返品率が50%から39.8%へ
- 年金兼業生活時代にやってみたいこと
 - 保育士
 - ヨガインストラクター
 - 海外企業とのコミュニティづくり
 - 本屋やりたい
 - リンダ(ルビィの冒険著者)と学校をつくりたい
- 海外
 - 最近は中国によく行く
   - ITは発達、人々は明るい表情
   - 2012年、尖閣諸島国有化で日本製品不買運動
   - 2019年、アメリカの経済制裁
 - 世界のパワーバランスは産業革命前に戻りつつある
 - 二年間中国で働いてみたい!エネルギーの源や普段の営みを感じたい
 - 日本は風神と雷神の間(米中)にある
 - 救いはインバウンド
   - 有史以来の中国人観光客
 - 経済的スイス、みたいな国になれるといいな
 

エンジニアというよりもっともっと大きい文脈でのお話で、
そもそも人生をどう受け止めて楽しんでいくかを考えるきっかけになる素晴らしいセッションだった。speakerdeckに資料が公開されているが、どの発表よりもライブが命!なセッションだった。

Day1 4-A 伊藤 英明 あるUXerがバズワードに翻弄される10(+10)年の話

# HCD
- 2010年にISOが改正
 - そこからUXの記述が入った。1999年はユーザビリティという表現
- UX白書の発表
 - UXの期間
   - UXを期間で区切る考え方

# DevLove
- 20121210日 初参加
 - 「一生涯ソフトウェア開発たかだか300人月」に衝撃を受ける
 - ハンガーフライト
- DevLOVE2012 登壇

# HDIfes
- 業界横断勉強会
 - 開発、デザイン、ゲーム

# 自分自身
- プロダクトデザイナー、リサーチャー、UIデザイナー、ユーザビリティエンジニア
 - エンジニアではない
 - これらをかけあわせてUXデザイナーに

- UXデザイナー、PO
 - POとして
   - サービス開発の舵取り
   - チームへの説明責任
   - サービスのスケールに責任を持つ
   - POが求めているものと開発チームが作ろうとするもののズレが開発の遅れにつながる

- PBIの作成
 - MVPキャンバスの作成

# UXRED(REDefine)
- 世界ではUXの人気は上がっているが日本では低迷・横ばい
  - UI/UXという単語では人気がある

# やりたいこと
- 自分のキャリアパス、他のUXerのキャリアパスを"見える化"すること

様々なスキルをマスターした「すっぴん」のような存在、という例えが実に秀逸。(FF5やってる前提ではある)

Day1 5-C 川島 義隆 それはYAGNIか? それとも思考停止か?

# 川島さん
- 1999 キャリアスタート
- 2008 DevLove第1回
- 2018 SIer退職
- 2019 流しのアーキテクト
## 私とDevLove
- かれこれ10回くらいは話をしている
- 最初のGitHubリポジトリもDevLoveで作った

# それはYAGNIか?それとも思考停止か?
- Agile or DieからSoE, SoRへ
## 市場に速く出して、改善を繰り返す方のシステム設計
- You ain't gonna need it.
- ビジネスの成長とともに力点は変わる
 - スピードから品質へ
- YAGNIの誤謬
 - 設計をサボって良い、では断じてない!
- 非YAGNI
 - 後回しにできないもの
   - バリデーション
   - セキュリティ
 - 今やっておかないとあとでやるにはコストがかかりすぎるもの

- プロジェクトの時間 = 開発時間 + アーキテクチャとリスク削減時間 + やり直しの時間
 - アーキテクチャにどれだけ時間をかけるか?
  - Swwe Spotがある
   - コード規模によってパーセンテージは変わる

- 設計
 - 区分はまず増減しがちなので、たとえ数が少なくてもI/Fを用意する
   - 実装が1つしかなくてもインタフェースが必要か?
    - 6年前から議論され、まだ決着がついていない
     - ステータスも同様
 - 開発体制の境界インタフェース
   - リソース効率かフロー効率か、それ次第で並行開発するかを決める
 - レイヤ境界のインタフェース
   - インタフェースと実装のパッケージを分ける
 - ホットスポットのインタフェース
   - 最初の段階では読めないことが多い
   - 変更が多い箇所には不具合発生率も高くなる
     - 不具合に テストを書いて 立ち向かう
   - 同時に変更するものがあちことに分散しているのはSRPに反する
 - 状態(ステート)
   - 更新は最小限に
   - 更新の向きは一方向に
   - 状態をもつ箇所を切り出す
   - 途中の計算結果は必要になるまでもたない
    - 性能限界が早くきやすい
     - 性能がでないときの対策が取りづらい
     - 最初からオーバーエンジニアリングになりがち
 - 分解して考える
   - オブジェクトは最小の単位ではない
 - 開発ボリュームおさえながらスケールさせていく道を探す
   - SQL1発で処理してシャーディングとかできるようにする

YAGNIと思考停止は紙一重、という問題提起。そこを明確に切り分けるのはとても大事なことだ。そのメッセージだけでも十二分に素晴らしいが、スライドで披露される川島さんの設計が見事で(さすが流しのアーキテクチャ)、自分のあつかうドメインでも試してみたくなった。

Day1 6-D 原田 巌 アジャイルで忘れてしまったもの、そして、再び拾い集めたもの 〜モデリングもしないでアジャイルとは何事だ!から早幾年〜

# モデリングをすることでアジャイルが上手くいく
## SIerとしての5年
- 開発は常に1人
- やるしかない精神
 - 先輩が突然の退職
## フリーランスの5年
- 転職先の社長逮捕から独立
- いくら早く作ってもゴミはゴミ
- 3倍つくってその分お金ももらう
 - 結果、間違ったソフトウェアを量産している感
## アジャイルの8年
- 真面目な開発をやりたかった
- スクラムを1年続けたが、何かがたりない
 - スクラムでもやるべきこと(分析・設計)はやる!
- 「モデリングもしないでアジャイルとは何事だ」がバズる
## 原点への旅
- ソフトウェアエンジニアリングの大切さ
- スクラムの関連をたどる
- スクラムが気づかせてくれたものは、ちゃんとしたソフトウェアの作り方
 - 禅と日本文化 岩波新書

## これからの10年
- 動くじゃなく、役立つソフトウェアを!
- 常に話の要求元を考える
- 誰もがビジネスを考えられる環境、「場」をつくる
- 心に感じるものを信じる

そこかしこに「禅」を感じたこのプレゼンは立ち見が出るほどの大盛況。
川島さんに続き、「素早さ」だけではなく、そもそもの設計やモデリングが重要だということを啓蒙するプレゼン。エモさも大事だが、こういう基本が本当に大切だ。

Day1 7-C 漆原 茂 10年後の僕たちに送りたいメッセージ
〜未来のエンジニアに幸あれ〜

写真だけでもわかると思うが、エモく、楽しく、そして何より未来への勇気をもらえるセッションだった。# 10年後の未来

- 経年劣化しないで幸せに暮らしたい
- 成長しまくっててくれ!
- 今の最先端は10年後のCOBOL

# 成長
- 年をとっても忘却曲線は劣化しない
- 劣化するのは根気
 - マイナスオーラ、ルーチン、諦めが劣化を呼ぶ
- 大人になると時間が早くすぎるのは?
 - 人生にトキメキがなくなったから。感動しなくなる
- 前頭葉が衰えないような環境は?
 - 毎日プラスのサプライズがある
 - 未来を楽しみにしている
 - 良い仲間とつながっている

# 明るいドMに徹する

# 行動
- 脳より行動のほうが350ms速い
- 行動すると脳が動く
- 深く考えずに行動することでしなやかマインドセットができていく
- 超一流を産むための研究
 - 10年以上の継続的な鍛錬がエキスパートを産む
 - 得意さを感じるには1000時間で良い

# 若々しく幸せでいて
- マシンは経年劣化する
- 歳を重ねて経年劣化する、は誤解。
 - 高齢者にiPadを覚えさせた
   - 脳が1-2年分若返った!
 - 散歩すると海馬が若返る

- 脳の得意が変わっていく、10年前と同じ次元の勝負はしない!

- 愛と勇気を注ぐ。若さと未来をもらう。

# 世代を超えたエンジニアを目指す
- 老いない生物
 - 若い人たちのエキスを吸って生きる
 - 年齢は16進数で
 - 若いコミュニティに飛び込む
 - 愛を与えエキスを吸う

歳を重ねても、新しいことへチャレンジする脳は衰えない。むしろ歳を取ると得意になる分野さえある。なんとも勇気をもらえる話で、この日の最終セッションにふさわしかった。

かつてない規模の懇親会

100人を超える参加者、尋常じゃない量の酒。食事や酒よりも交流で盛り上がる参加者たち。

中盤になるとdevloveの新サイトが公開されたり、本のプレゼントじゃんけんがあったり。

一番最後、ご指名いただき締めの挨拶をさせていただいたのも本当に光栄だった。

そして2日目へ

後片付けを手伝い、帰路に向かいながら反芻したが本当にすごいイベントだ。
ヘッドライナークラスの登壇者がバンバン出てくる、「どれを見に行くか決められない」と迷う、本当にフジロックやサマソニのようなイベントだった。
2日目、どのような学びがあるのか。今から楽しみである。

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