こころを、可視化する。

その不安感はどこからくるのか

アジャイル開発という方法で仕事をしている。
1〜2週間という短い単位で成果物を出し、少しずつ改善しながらものづくりをする方法だ。

そのサイクルで仕事を進める中で、「間に合うかどうかギリギリです」というような報告を受けることがある。自分もしたことがある。

しかし、である。なにがどうギリギリなのか?
こういった発言の背景にはいくつかの理由が考えられる。

・経験が不足していて不安感がある
・言語化できていないが、「何かリスクがある」という直感がある
・そのものにリスクは感じていないが、割り込みタスクがあると予想している

1番最後の理由に関しては、よくあることなので想像がつくだろう。
1番はじめのものも、そのチームにジョインしたばかりの人にはよくあることだ。
注目するべきは真ん中である。他ふたつがマネジメント(タスクコントロール、オンボーディング)での解決が想像しやすいのに対し、言語化されていないために「まあ、がんばってよ」と放置されやすいのではないだろうか。

直感リスクの言語化

この「ことばにできない不安」については、このように向き合っている。

・何が起こると、うまくいく?
・何が起こると、失敗する?
・それはどれくらい起こりそう?
・それが起こると、何が困る?
・それを解決できそうな人は誰?

こういった問いを投げかけていき、分解能を上げると本当の課題が浮かびあがってくる。場合によっては「そんなに問題ではない」ことが明らかになり安心して仕事を進められるだろうし、ワーストケース、つまり「これはリスク山盛りだわ。」ということに気づいたとしたら、そこから対策を打てるというわけだ。

不安と向き合う習慣をもつ

というわけで、言語化し見える化することで、漠然とした不安が示すリスクに対してコトが起こる前に対処できる。

しかし、である。それより以前に「うまくいかないかも」というアラートが上がってこないことがある。これは失敗を表明することへの嫌悪感、恐怖心から、本当はまずいとおもっているのに「なんとかなります/なんとかします」と発言してしまう行動につながる。

無理もない。長年「正解」を追い求めることを至上命題とした教育を受けてきているのだ。であれば、我々に何ができるというのか?

目には目を、教育には教育をだ。

正解しなければいけないという先入観をアンラーニングさせ、「うまくいっていないことを早く表明したほうが、うまくいく確率が高くなる」ということを経験させていくのだ。単に「失敗しても大丈夫!」と笑顔を向けるだけではなく、実際にチーム内で失敗を共有し、その共有により成功へ向かう…そんな体験を作り出すのだ。

不安を、リスクを、その手前の漠然としたこころを共有する、可視化する。
それを可能にするのに、綺麗な言葉や話しやすい雰囲気も重要だろう。しかしなにより重要なのが、それがプラスの方向へ向かうという確かな体験なのだ。


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