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1 on 1・メンタリングの民主化

面談から1 on 1へ

1 on 1。
上司が部下に指示を与え、評価する従来型の面談とは異なり
成長を促進することを目的とした、高頻度に定期開催される形式はここ最近ずいぶんと普及したように思える。

そうはいっても

成長を促すためには、課題を見つけ内省を促し、解決への道筋をみつけることをサポートしなければならない。
そこには傾聴の能力だったり、深い問いを投げかける能力、そして対象者が安心して思っていることを話せる信頼関係が必要だ。
仕事上、直接的につながる上長との1 on 1だと、この3番目がなかなか難しい。
信頼関係がないということではない。

・ともすると上司の指示への批判に聞こえるのではないかという懸念
・評価者ー被評価者という構造であり、弱音を吐きづらい

そう、仮に信頼関係を築けていたとしても構造的に悩みを吐露しづらいのだ。
(もちろんそこを乗り越えて引き出すことのできる上長・メンターもいる)

野良犬作戦

1 on 1(わんおんわん)を、野良でやる。
具体的にいうと、「組織内で利害のない/薄い人と1 on 1をやる」。
これを野良1 on 1、野良わんわん、野良犬作戦と名付ける。

そこには利害がないため、突っ込んだ課題の提示(チームがうまくいっていないと思う、など)ができる。
そしてここで得られた情報を元に、そのチームで他の視点をもった人と野良犬する。
メンバーから相談を受けたら、マネージャーと…といった具合だ。
そのように様々な視点の人と1 on 1することで組織の課題が立体的に映し出される。

しかし、そもそも利害のないところでどうやって信頼関係を構築するのだろうか?

信頼貯金を貯める

まず1つは、1 on 1を繰り返していくなかでの醸成だ。傾聴し、問いかける。
「この人と話すとスッキリする」「課題解決の足がかりになる」という体験を重ねるのだ。

しかし、である。最低限の信頼関係がないと、そもそも野良で1 on 1をしようとならない。その人のことを知らないのだから。
幸いなことに、私の場合は社内で「野良1 on 1やるよ」と宣言すると、それなりに手を上げてくれる人がいる。
この状態にもっていくには下記のようなアクションが有効だ。

・何かしらの形で情報発信し続け、人柄やスキルを可視化する(Slackのtimes_など)
・一つ一つの1 on 1で成功体験を生み出し、口コミ効果を生み出す
・日々、様々な人と意識的に話す

1 on1を推進していてなんだが、常日頃から関わりの薄い人々と朗らかに話すのは得意ではないので、主に上2つの作戦をとっている。

問いかけ方には配慮が必要

前述のように、1 on 1は問いかけにより内省を促し、自ら解決の糸口をみつける手助けをすることで成長を促す。
しかし、「直接的なアドバイス」を求めて1 on 1に臨む人は少なくない。
「どうすれば○○できますか?」この問いに
「なんで○○する必要があるのでしょうか?」「そもそも○○とは?」という問いを重ねると混乱してしまう。
質問に質問で返すな、と憤慨してしまうかもしれない。
なので、早い段階で「1 on 1は自分で問いと向き合う手助けをするもの」という前提を共有しておくとよい。
または、いったんアドバイスを提示して期待に答えてから、「で、それはなぜ課題なの?」と問いかけなおすのでもよいかもしれない。

メンターの民主化を目指して

上長・部下という構造からは、どうしても遠慮や忖度が不可避的に混入する。
そこを打破するための手段として、利害のない/薄い人々と野良1 on 1(野良犬作戦)を実施することはある程度有効だ。
一度1 on 1した人の近くで違う視点の人と1 on 1すると更に良い。多角的に組織を捉えられるからだ。

こういった、自由に1 on 1をする風土が確立した組織(仮にわんわんランドとする)ができれば、自分たちでどんどん成長していける。

1 on 1をリードする側、メンターは組織内で立場のある人しかできないかというと、そんなことはない。
傾聴力、共感力。アドバイスではなく内省を促すのが役割であるため、スキルセットとしては極端な話その領域での業務経験もいらないのだ。
(もちろん、あったらあったで説得力を付加することができる)

傾聴力や共感力を磨き、1 on 1を、メンターを民主化する。相互に啓発しあえる環境を作り、高みへと向かおうではないか。

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