悪魔の羽根 1

「さあ、選択するがいい。イエスか、ノーか。」
 スマホの画面の中央には二つのボタンが表示されている。
 イエスを選択すればあいつは・・・

 このアプリを見つけたのは偶然だった。
 たまたま見ていたまとめサイト。最近のお金のかからない暇つぶしといえば、無料のアプリゲームかネットサーフィンだった。嫌でも目にする様々な広告。スルーに慣れた僕の目をすべらせることなく注目させた一つの広告があった。
 横に長い枠の中を、一枚の黒い羽がひらひらといったりきたりするだけ。
 (新しいゲームかな?)
 やたら自己主張が激しい広告が多い中、シンプルがゆえに逆に指のスクロールを止めさせた。
 気付くとタップしていた。
 (・・・・・・!)
 予想していたアプリの購入画面にはならず、別のサイトに誘導することもなく、突然ダウンロード中の文字が出たのだ。
 (・・・え?まさかウイルスとか?)
 あわててダウンロードを止めようとあちこちいじるが、あっという間に完了の案内が通知される。真っ白い背景の中央には広告と同じ黒い羽が一枚表示されているだけで、他には何も表示されていない。
 明らかに怪しいものなのだが、指は誘われるようにその黒い羽に触れていた。
 タッチした場所から真っ黒な画面が広がっていく。
 「・・・・・・」
 しばらく待ってみたが、今度は何も表示されない。
 「やっぱりウイルス・・・」
 故障したのか?修理代が・・・
 『こっちだ。』
 突然背後から低い男の声がした。
 一人暮らしで、滅多に他人が来ることはないボロアパートの部屋。背後の玄関のドアが開いた気配は全くなかった。
 あと出入り口と言えば、こたつに入って座椅子に寄りかかっている僕の目の前にある窓だけ。窓が開くどころか、カーテンがそよとも動きはしていない。
 夜九時を過ぎると必ず聞こえてくる、隣のアニメオタクのテレビの音よりもその声ははっきり聞こえた。
 『おい、聞いてるのかよ、真鍋和弥。』
 まさか、本名まで知っている不審者・・・
 「・・・!」
 気付いたら長身の男がこたつを挟んで目の前に立っていた。

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みや

悪魔の羽根

拙い小説です。 やっと完成しました。 最終話だけ有料にしました。
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