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#133 あの夏の出来事とChatGPT

シャイなくせに目立ちたがりなやつが、一番タチが悪い。何をやらかすか分からないから。あれは中三の夏、体育祭の開会式での出来事。あるメンズが「生徒会長挨拶」のアナウンスの後に登壇した。その刹那、彼の口から飛び出した言葉にみな度肝を抜かれた。「今日は暑いので挨拶はしません。みなさん頑張りましょう。以上!」生徒からは拍手と歓声、来賓からは冷笑、教師からは殺気。混沌とした感情が溢れる運動場。その彼はのちに教師から冷遇され、主な対外業務には一切登用されなくなったという。

前置きが長くなったが、ChatGPTの話である。おそらく彼は発表原稿を考えるのが面倒くさかったに違いない。今ならChatGPTを使い、「体育祭での生徒会長による挨拶文を考えてください。」というプロンプトを作成すれば一発で解消する話。このような挨拶は形式的なものであって、中身はそれほど重要ではないのだ。タイムマシンで現代に連れてきてあげたい。

この間、ICT活用の研修に講師として参加した際、「ChatGPTを使用したことがある人は挙手を。」と質問したところ、全く手が挙がらなかったことに驚愕した。生成系AIがこれほど話題になっているのに。これからの教育現場ではマストな事案なのだから、とりあえず触ってみるという姿勢が新しい学校のティーチャーズに求められているのは周知の事実。

かく言う私は、率先してChatGPTを使用している。具体的事案を三つ紹介しよう。一つ目は、原稿作成。作成した書類に対し、「○○に説明するように、この資料を発表用に編集してください」というプロンプトを作成すると、ものの一分で原稿が出来上がる。作業量が60分の1に削減された。二つ目は、壁打ちである。今年から管理職試験の勉強を始めたのだが、夜な夜なChatGPT相手に壁打ちを行うことで、解答の精度を高めることができた。三つ目は、文章校正。「君、性格に癖あるよね。」とdisられることが多い私の文章もまた、同じように癖がある。ChatGPTは一切の私情を挟まず、淡々と整えてくれる。

シンギュラリティの到達は2045年と言われているが、それは生成系AIの登場により加速度的に早まっている。文科省のガイドラインを熟読しながら、個人での研修を進めていったほうがいい。もうご存じだと思うが、前述した彼は、もちろん私のことである。あの頃の私があって今の私があるのだ。そう、人生は点と点でつながっている。

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