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恋愛ドラマを見ない私が『First Love 初恋』を見ると深読みしすぎてバグる

まさに公開したてほやほやの初恋、観ました。
私は宇多田ヒカルと同い年、つまり主人公の野口也英とも同い年なわけで、時代背景ドンピシャで没入できる感じでした。

いや、ただわたし恋愛ドラマをよく考えるとほぼ見ないのですよね。ゆえに、一回目を観終えた今、速攻二回目をみなくちゃいけなくなってしまいました。なぜかは後述します。

恋愛ドラマの王道とは

ドラマや映画の面白さの根本は、リアリティとフィクションのバランスだと思います。
現実世界では上手くいく恋愛は両者がそこそこ思い合って、たいした山も谷もなくただ楽しくすごして結婚して、ちょっとケンカしながらも、日常になって家族になって、それでも続いていく、言ってしまえばなんの面白みのないことこそ幸せなんです。
それが現実の幸せだけど、それじゃあドラマにならんわけですよね。

だから、おはなしを盛り上げるための恋愛ドラマにはたくさんの『壁』が設置されます。
病気、貧困、格差、事故、義父母の反対、ライバル、嫉妬、などなど。そんなことが韓国ドラマには全のせされてて、胃もたれする。もう毎回毎回ありえないだろ、とツッコまざるを得ない、それこそオールフィクションになってしまい、製作者側の強引な意図と、設定のおかげで、ほら、泣けるでしょ??せつないでしょ?の押し売りがいやでわたしは見ないのですよ、韓流を。

その点、この初恋は一点のみを除き、そういった超強引なことはなかったんで、結果的には演出と時を前後する二人の物語の構成の素晴らしさ、俳優や製作陣が時間とお金と熱量をかけて作ったんだなと思いました。
でも、最初に也英ちゃんが交通事故からの記憶喪失になったときは、うわーーーっとなりました。
そのカード出しちゃうのかと。韓流方面の話になっちゃうかなと不安でしたが、この話は全体の表現が緻密で繊細なので、記憶喪失を持ってしても、そこまでフィクション感はですぎず、ちゃんとバランスを保てているので、これくらいのアクシデントはあってもいいかなと思えました。

坂本裕二のオマージュは感じた

ナポリタンをたべ、好きな子には好きな食べ物聞き、イヤホン半分にして音楽聞く、会話劇とか、坂本裕二テイストを随所に感じてしまいましたが、なにせ満島ひかりさんだからね。
そして、守衛室でのやりとりとか、AVのくだりとか、くすっとなるところもあり、全体の雰囲気は切ないけど悲しくはないのがいい。
繊細さと、恋のワクワクや切なさがすごくバランス良くて心地よいドラマだなと。

サスペンスとかのノリで見てたら伏線気にしすぎて楽しめなかった


これは完全にミスなんだけど、最初、綴君はなにかしでかしちゃう系のヤバいやつなんだと思ってたし、お母さんほっといて好きな子のストーキングするし、父は息子をがちがちに管理支配するタイプで、いつか殺意をもつんじゃないかと不安で、そして晴道は民間人を殴って自衛隊を除隊になるとおもったし、也英は町田さん先輩他に乱暴され、その結果子供ができてしまう可能性に怯えていたし、元夫と義母に子供を奪われ裁判沙汰になると思ってた。晴道の婚約者は結婚破棄されて自殺未遂、とかおうたろうさんも振られた腹いせに足引っ張るとかあるんじゃないかと。
つまり、このドラマ全体に也英の事故以外にも、悲劇が多数起こるのだと予測しながらみてしまったために、

え?なんも起きないじゃん?!
って中盤まで思ってみてた。

いや、しかし最後まで見た結果、悪い奴一人も出てこないのです。悲劇の範囲も限定的。
だから、後半の方でやっと、あーーこれが純愛ドラマなのか!と気づいてめちゃくちゃ見方間違ってたと後悔して、今慌てて二回目みてます。笑

全体を通じて、二人にだけスポットライトがあたってるから、余計な要素がなくていい


思春期也英ちゃんと晴道がとにかくキラキラして眩しくて可愛らしいし、素晴らしいお芝居してる。青年期の満島ひかりはもちろん期待通りだけど、佐藤健が意外とオラオラの医者じゃなくて、剣の達人でもない普通のいい青年でもとても自然で、切ない演技ができるのだと知りました。ブラボーです。

映画ならともかく、恋愛ドラマって冒頭の山あり谷ありを作るために主人公以外のストーリーも結構巻き込んでくるけど、このドラマは時を前後してずーっと二人にピントがあってるからいい。

あとこれずーっと言いたかったのですが、ドラマには一回登場させた過去のシーンを、再度登場人物の気持ちを表現するためにつかうことありますよね。回想シーンというか。
これって、観てる人の想像力を奪うことだし、過去のストーリーをちゃんとみてるのに再度ここで主人公はこのシーンを思い出してるんですよ!!っていうのって、ばかにしてるなーと思うんですよ。
このドラマにはそういうチープなシーンがないのがよかった。

例えば、大人の晴道が洗濯機を直して、也英が夕食に誘って
『好きな食べ物なんですか?』と聞くシーン。晴道は過去のやりとりを思い出して、えっ!?!ってなるんだけど、すぐに我にかえる。このシーンとか日本ドラマだと、絶対過去の二人のやり取りが挿入されるんだよな。
わたしは回想シーンがかなりドラマをつまらなくしてると思ってる。視聴者をばかにしてんのかと。ちゃんと観てるファンを蔑ろにして、ちゃんと観てなくて理解してない層に目線を合わす意味ある?と言いたくなる。

ファーストラブも初恋も、つい口ずさみたくなる

恋愛ドラマをまともに見る能力がないことがわかったのですが、二回目は変な深読みなく純粋に二人のやりとりを楽しく見れるので二回見ることをおすすめします。

Netflixだけあって、要所要所が日本ぽくないところとかあるのですが、でも韓国ドラマのように悲劇の連鎖もなく、嫌な奴はほぼ出てこない、ファンタジー的なとこもあり、現実味もある、色々ミックスされてる感じもあるけど、後味はとてもいいドラマでした!
こんなの見せられちゃうと、日本のテレビドラマももう少し頑張ってほしいなぁとついぼやいてしまいます。

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