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『エルピス』をみてこのドラマの主役は村井だ!といった人は40オーバー確定です。

もう、通しで5〜6回はみているのがこのドラマ、エルピス。Netflixで始まったのでまたつい見てしまう。素晴らしすぎるのは多分見た人の多くが思うと思いますので、わたしは不惑の40に突入した一人として、ぜひ村井の観点についてお伝えしたい。

セクハラパワハラモラハラてんこ盛りの平成を駆け抜けた世代


村井は当初四話目くらいまではただのいやーな上司。過去はそれなりに報道でやり手だったものの組織にとって不都合な存在になり、左遷され世の中にはあってもなくてもどっちだっていい番組のプロデューサーに甘んじて生きていた。

岸本と浅川がやろうとした冤罪特集も当初は中途半端に覚悟もなくジャングルに足を踏み入れようとしたと、叱責、恫喝し一蹴した。
しかし、話が進むにつれ、報道マンとして彼らのVTRをみて、おもれーじゃん。と否定はしなくなっていった。
それどころか、イッツショータイム!とノリノリで特集放送に踏み切る。

彼が、組織の圧力や番組のスタンス以上に、これは面白いという、テレビマンとしての感情を持っていて、それはまた簡単に無視できないものでもあることがわかります。

人はもって生まれた資質がある

斎藤が、政治の世界に向きすぎていてもうそれは溢れるほどの才能で、自分でも予期しないうちにそっちの方向へ行かざるを得ないことも。

また岸本拓郎が週刊潮流に誘われるときに言われた、胸にある『これ』。(おそらく、自分の中の抑えられない正義感や、抗えない感情みたいなもの)君にはこれがある、まだそれしかないとも言える。だけど、それでメシが食えるよ、と誘うのだ。

余談になりますが、仕事って面白い。
わたしもまだ40に足を踏み入れたばかりだけど、ミレニアル世代代表として、このドラマ見て言いたいことは、仕事って本気でやればやるだけ、否が応でも自分の持って生まれた資質に気付かされるし、それが仕事にできると、昼夜忘れて没頭できたり、本当にわかりあう仲間ができたり、すんごい楽しいってこと。

20代から30代前半まで、深夜まで働き土日も仕事する、猛烈に忙しい職場にいましたが、そこにいた周りのメンバーも同じようにやっていて、当時は辛い辛いと思いつつ、でも全力フルパワーで走り続ける限界も知ったんです。
むかしは大変やった!みたいな武勇伝にはしたくないのですが、実際そこで地力がついたし、自信にもなった、自分の限界も知ったので、ちょっとやそっとのことでは、動じない、なんとかなる、という腹の座り方は経験が生きるところ。

改めて、だからこそ、わたしは村井みたいな仕事のできる、情熱をもってるおじさんが大好物なんですわ。


報道マンとしては尊敬できる先輩だった。
浅川が泣きながら、村井のことを回想するシーン。本当に見応えありました。

ミドルエイジクライシスで浅川にがつんと檄を飛ばされる

岸本は、DNA再鑑定が報道され、一緒に飲んでいた村井を居酒屋に置き去りにして走り出す。
それを見ていた村井は、後から浅川に『おれは、もう走れなかった。それがショックだった。あーあ、もう歳かなぁ。。』と巨体女子の膝枕で泣きながら電話で話す。

ここな。ちょっとわかる。わかっちゃう。

時々向こう見ずな若手を見ると、今の自分には無いものをそこに見る時があるから。

でも、そこで一言。
『何甘ったれたこと言ってんですか。まだなにも終わってないのに。』
すごい冷静にいうえなちゃん、かっこええ。
わたしの好きなシーンです。
そんな村井パイセン見たく無いっすわ、という浅川なりのエール。

組織にもいろんな人がいる。
組織だって一枚岩じゃない


組織のほころびみたいなところも印象的な表現だった。
警察だって、裁判官だって、企業だって、テレビの中の人だって、一見まともそうに見えるが、実はその中の人間が考えて、悩んで、作ってる。

多くのことにおいて、私たちは結果だけしか知らないことが多い。なぜその結果になったのか、何が報道され何が報道されなかったのか、そのプロセスはたいてい明かされません。

だから、疑い、考えることが視聴者側の私たちには必要なんだろう。たぶん。

そして人生は続いていく。仕事も然り。


最終回、浅川はキャスターとして真実をまっすぐに伝えることを決意し、村井と岸本はフォロワー数増加に向けて記事を作る日々で終わります。

なんかねーーーーー、
ほんとによかったんすよ!この終わり方。
確かに、巨ボスの大門副総理は変わらずそこにいて、死んでしまった証人の真相は闇の中。

でも、毎日って巨悪に立ち向かうばかりじゃない、自分のできることなんて世の中の誰の目にもほとんど触れないことかもしれない。
だけど、そんな小さな範囲で自分ができることをただ一生懸命、そして、できれば自分のやりたいこと、向いてることに出会えたら、そんなので十分毎日はおもれーんじゃないか。

村井は、定年まで会社にしがみついてやる!と言ってたのに、結局自分の魂の向かう方に抗えず、報道マンとして自分を取り戻す。

わたしも村井企画で働かせて欲しい!




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