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アンとギルバート

 泥棒猫です。またもや、慎重になるなる詐欺を働いてしまった。


 今日はゴルフ帰りにうちの近くまで来てくれて、公園で会ってしまった。

 その公園からは二人の中学時代の通学路も見える。彼の高校も見える。海も見える。

 私は結婚もせず、ずっと実家暮らしだから。要するにこの近所は思い出の場所なのです。…といっても、中学生のときクラスメイトだった以外は接点のない二人。

 それでも、同級生という要素が担保となって急速に、そして安心して恋に落ちたことは間違いない。

 赤毛のアンのギルバートは、憧れなのだ!

 昔の自分を知っていてくれる。そしてその時、お互い良い印象だったこと。それは本当に全肯定されたような嬉しさ。

 あの頃の私たちに、今の私たちが会いに行って「将来恋に落ちるよ」と告げても、絶対に信じないだろうな。

 赤毛のアンなら「恋人たちの海の小径」と名付けるような公園の小径の先の四阿にたどり着く。

 その海の見えるベンチでクーリュツシュを堪能する二人。中学生か。だけど今、中学生だったらこうしてないもんね。中年だから、今の年齢だから、この貴重な時間を、盗むようにして会っている。

 どこがアンとギルバートだよ…

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