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キンクスにまだハマっている

仕事のときはもっぱらラジオを聞いている。
ある番組の特集テーマが「絵本」だったので、「『Picture Book』がオンエアされそうだなあ」と考えていたら案の定だった。
キーボードを叩く手を一時的に止め、レイ・デイヴィスの声に聴き入る。
厳密にいえばこの曲は日本語としての純粋な「絵本」とは異なると思うが、この際気にしない。


あれからもう3年が経過した。

わたしは未だにキンクスが好きで、日々彼らの動向を追い続けている。別に特段大きな動きがあるわけではないが、それでもちょこちょこ新しいインタビュー記事が上がってきたりするので目を離せもしない。


ラジオから流れるPicture Bookを聴いて、しみるなあ、と思いながら窓の外を眺めてみたりした。
民家と電線の連なるありふれた住宅街。空の色はどんよりとしていて、地面は湿っている。面白みのない景色だが、まあ、高層マンションから都会の美しい夜景を見下ろすよりもキンクスを聴くにはふさわしい情景だろう。
キンクスって、なんだか、そんな感じなのだ。

いままでわたしは大して音楽に接してこなかったから、曲を聴いてしみるなあ、と思ったことはあんまりない。
でも、キンクスを好きになってから、曲を噛みしめる気持ちを知った気がする。
音楽はたしかにひとの人生と密接に関わることがあって、それは薬にもなるし、同時に毒にもなったりするのだろう。

「音楽に救われた」という経験がある。
わたしは「Better Things」に勇気づけられたりはしない。いくらレイが明るい明日を歌っても、それがわたしの前途に現れるとは限らない。
救われ方というのは、もちろん一辺倒ではないのだ。

ここのところ体調があまり良くなく、うまく眠れない日が続いている。
そんなときにキンクスを聴く。ゆったりとしたメロディの曲を集めたプレイリストを作ってあるのだ。
Time Songを聴きながら、よくわからない衝動に襲われる。
曲に感動して涙を流したわけじゃない。歌詞を考察して考え込んだわけでもない。
レイ・デイヴィスのやさしい声。眠りを誘うような穏やかなメロディ。それらがわたしの中にしみ込んでくる。
「もうこのまま死んじゃってもいいな」と思った。

キンクスにハマった頃、わたしの精神はボロボロだった。
仕事がしんどくて毎日泣きながら会社へ行き、客先を這いずり回りながらランナーズハイのようになり、ふとした瞬間にわけがわからなくて呆然とした。
そんな中でも新しくファンになったばかりのバンドの音楽を手放せなくて、BGMはずっとキンクスだった。
Life Goes Onで、レイ・デイヴィスが「ガスが通ってなくて自殺ができなかった、まあつまり死ぬには若すぎるってことなんだろう」と歌っていたので死ぬのをやめた。

キンクスって、そんな感じだ。


本日11/17、60周年を祝うコンピレーションの第二弾「The Journey - Part 2」が発売された。

予約受付が開始されてから、公式からメールが届いた。
Part1を公式ショップで購入した人あてに、Part2のディスカウントコードをくれるというのだ。
「やるじゃん公式」と思いながらいそいそと通販ページにディスカウントコードを入力すると、なんとエラーが出て使えなかった。
まあ、キンクスって何となくそんな感じだよな、と思う。

The Journeyの収録曲は、ヒット曲や代表曲を集めた従来のコンピレーションとはすこし趣が異なっていておもしろい。それはPart1でもそうだった。
有名どころといえば60年代のカタログに偏りがちだが、このアルバムはRCA期のラインナップが豊富で嬉しい限りである。

そんなことを思いながら曲順を見ていたわたしは驚愕した。


リンカーンカウンティが入ってるな?


リンカーンカウンティが入ってるな?

リンカーンカウンティが入ってるな?!?!?!



届くの楽しみです。


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