初心者による初心者のための鉄拳攻略


前書き

世に溢れている鉄拳の”初心者向け”の解説は多くが「格ゲー自体初めて」レベルを想定していて、多少格ゲー経験がありフレームや三すくみは難なく理解できるプレイヤー層にはあまり役に立たないことが多い。

筆者は2D格ゲーの経験は豊富なものの鉄拳シリーズは8でほぼ初めて入門したのだが、自分のレベルに適した攻略情報を得ることが非常に難しいと感じた。YouTubeで初心者向けの攻略動画を探すとだいたい最初にゲームシステムや三すくみの解説が見つかるが、これは簡単すぎる。しかし次のステップで覚えるべきことを探してもなかなかこれといった情報が見つからず、急にレベルが上がって横移動(個別のキャラ対)の話になることがしばしばで、これは難しすぎる。中間のレベルの情報が不足しているのだ。

その状態で対戦に行っても「いざ実戦となると何をすればいいのかわからない」となってしまう。かつての自分もそうだった。拳段〜羅段くらいのプレイヤーは三すくみや有利をとって二択といった基礎知識はあくまで知識としては理解しつつも、試合中はほとんどの時間をわけもわからずヤマ勘で技を当てたり食らったりして運ゲーを繰り返しているのではないだろうか。このレベルのプレイヤーには知識と実践を結びつけるための具体的な方針が必要だ。

この記事では拳段〜羅段くらいのプレイヤーが龍段以上の段位を目指すために覚えるべきことを、実際に複数キャラを龍段に上げている筆者の経験に基づいてまとめている。

筆者の戦績(実績の証明として)

前提とする知識と技術

  • 簡単なコマンド入力やコンボは問題なくできる

  • 中段は立ちガード、下段はしゃがみガードでのみガードできることを知っている

  • 上段と投げはしゃがみでスカせる、下段はジャンステでスカせるというステータスを理解している

  • 攻め置きスカ確の三すくみは知っている

  • 「4F有利から13Fの技で10Fの暴れを潰せる」といったフレームの計算ができる

  • 自分のキャラの主力となる中段技・下段技を理解している

拳段~羅段なら問題ない項目が多いのではないだろうか。最低限このくらいは理解していることを前提として話を進める。
上手い人からすればこれだけわかっていれば十分そうに見えるかもしれないが、実際には知識があるだけではまるで勝てない。実態はこうである:

  • コンボ始動技が当たらない。どうすれば当たるのかわからないので、思いつきでボタンを押して当然うまくいかず負ける。

  • 三すくみは知っているものの、相手の狙いがよくわからず気分で置き技をしたりスカ待ちをしたりして、読み合いに手応えを得られないまま終わる。

  • 下段をガードすれば反撃できると知っていても、そもそも下段がいつ来るかわからなくてしゃがめない

  • そもそも立ち回りしてる時間なんて試合の1割もなく、9割は相手の連携にわけもわからずハメられてるだけで終わる

こういったハードルにぶつかっている人にとってのお悩み解決となる方法論があまりにも語られていなさすぎる。
上記はいずれも実際に筆者が体験した悩みであり、それをどう自分で解決したかを以下にセオリーとしてまとめる。

最初に覚えるべきセオリーは下段

最初に覚えるべきことは「近づいて下段を撃つ」ということだ。

どぐらさんも全く同じことを言っていた

コンボよりも三すくみよりも、まず下段を当てるということが最優先だ。とにかく下段を擦りまくろう。

なぜそうすべきか。そもそも理論的には、上段と中段は立ちガードで防ぐことができ、投げは(慣れれば)見てから抜けることができるのだから、相手にダメージを与える方法は下段しかない。となれば下段が当たる限り他の一切の行動は回り道でしかないからだ。

ましてや初心者には下段が通りまくるし、たまたまガードされてもろくな反撃を受けない。極端なことを言うと9割下段で1割中段くらいでも拳段くらいの相手にはまず間違いなく勝ち越せる。ダメージ効率を考えれば確反やコンボを決めるより遥かに有効ななずだ。

次に実際の対戦動画をアップするが、これを見てもらえればオーバーな表現ではないことがわかってもらえると思う。

この動画はフェンを使い始めて数試合目のランクマだが、コンボも確反も投げ抜けもほぼ何もできていないのに「下段多め(→警戒させて中段)」だけで勝てていることがわかる。

何度も下段を擦ればどんなに鈍い相手でもしゃがむようになるので、そうなったら初めて中段を撃てばよい。そして立つようになったらまた下段モードに戻る。
馬鹿馬鹿しいほど単純な戦略だが、最終的な崩しは下段しかないという鉄拳の根本的なセオリーに根ざしている。

下段の次のセオリー

下段を撃つだけで勝てる相手には下段を撃つだけでよいとして、それだけでは勝てない相手にはどうすべきだろうか。
ここでまずなぜ下段が通らなくなるかを考えよう。その理由は主に3つ考えられる。

  • 相手が下段を予測してしゃがむようになっている

  • 下段を当てようとして近づくところを置き技に殴られている、またはライトゥーなどのジャンステで暴れられる

  • こちらが下段を当てるよりも早く相手が前に出て攻めてくる

解決策はシンプルだ。

  • 中段多めに切り替える

  • 置き技にスカ確をとる、またはガードして確定反撃を入れる。(タイミングをずらして下段を撃つでもよい)

  • 相手が攻めてくるところを置き技で潰す

気づいただろうか?ここで初めて三すくみの概念が登場したことに。
三すくみの攻防は下段をめぐる駆け引きがあって初めて成立するのである。相手も自分も下段を使っていないうちから三すくみを実践しようとしても当然手応えを得られるはずがない。こちらの下段に対する相手の対応を見た上で三すくみを実践するという順序を守れば、読み合いの理解度は格段に向上する

さらに言えば、下段は対処できなければそれだけで負けるほどダメージ効率に優れているのだから、そのカウンターとなる置き技にはそれ相応のリターンが求められる。つまり置き技は基本的にコンボ始動技を使うべきという理屈がここで生まれる。コンボ始動技をいつ使えばよいかわからないという問題の答えがこれだ。

知識がないなりの防御方法

攻めは下段を軸にするとして、当然毎回うまくいくわけではない。守勢に回ったときにどうするかを考える必要がある。
守りにおいて大事だと考えていることが一つある。それはボタンを押して解決しようとしないということだ。

相手の連携がよくわからないのに暴れやパワクラを擦ったり、起き上がりに毎回起き蹴りや跳ね蹴りを擦ったりして、案の定潰されて負ける。たまに勝てることもあるが、試合が終われば何も覚えていない。もしこのようなプレイをしているとしたら、上手くなることは絶望的だ。
かといってトレモで相手の連携を調べようにも、鉄拳はキャラも技も多すぎる。そこで相手キャラによらず使える防御方法として次のやり方を推奨したい。

まず、とにかくガンガードしてみる。それも変に下段を読もうとせずに、立ちガードに徹する。そして相手の攻撃をガードしたらバクステを擦る。もし下段が来てそれを食らったら、やはりバクステで距離をとるか、そのときだけ暴れたりパワクラを撃ったりしてみる。既に知っている技が来たり、確信を持てたときだけ反撃を行う

この方法には次のような利点がある:

  • 痛い上中段を食らわずにすむ

  • 下段を食らっても安い上に、直後の読み合いで切り返せる可能性が高い

  • 複雑な連携に対しても「下段がどこで来るのか」だけ記憶すればよくなる

  • 試合が終わった後にリプレイでフレームとしゃがめるポイントを確認できる

こうすれば一方的に負ける試合を減らしつつ、相手キャラの知識を少しずつ覚えながら上達していくことができる。余裕があればトレモで相手の下段を食らったときの有利不利だけ調べておくのもよいだろう。
ただしこの方法は投げ抜けがそれなりにできることを前提としている。残念ながら投げ抜けだけは早い段階からコツコツ練習しておくしかない。

体力半分を切ったらヒートバーストを使う

勝つための方法の中で最も簡単で最もコスパがよいのが、「"絶対に”ヒートシステムを使う」ということだ。これはもはや説明不要だろう。

筆者は「体力が半分を切ったら他のどんな行動よりも優先してヒートバーストを使う」というルールを作って対戦していた。このおかげで勝てた試合は数え切れない。なんなら体力6~7割でもいい。経験上、5割を切ると相手のコンボ+起き攻め・壁攻めで即死してヒートゲージを使うチャンスがなくラウンドが終わることが多い。

毎ラウンドヒートゲージを使い切るように戦っていれば如実に勝率が上がることは間違いない。

壁攻めを覚える

このゲームは壁に行ったら終わる。そう言ってもいいほどに壁攻めは強力だ。格上の相手であっても勝てるチャンスが生まれる。

ステージ中央と壁際はまったく別のゲームだ。中央ではまったく使わないような技でも、壁やられを誘発できるなら積極的に使うようになる。というか、壁際では壁やられ誘発技以外使わなくていいと言ってもいいかもしれない。

もし壁関連の知識に自信がなければすぐにトレモで調べておくべきだ。覚えるべき基本事項は以下の通り。簡単だ。

  • 自分のキャラの壁やられ誘発技を把握する

  • 壁コンボを1~2個覚える(トルネードありなしの2つを覚えるとよい)

  • 中央のコンボから運んだり逆に短くして壁コンボで〆る練習をする

壁攻めがうまく決まれば一瞬で相手の体力を消し去ることができる。個人的にはこれが鉄拳で一番気持ちいい瞬間だと思う。

投げを使う

投げを使おう。どうせ抜けられない。

抜けられないことに甘えて投げに頼ってばかりだと後で苦労する…というのは正論かもしれないが、それでも投げは使っていい。なぜなら投げは暴れ、パワクラ、ヒートバースト、横移動といった多数の行動に勝つことができる優秀な選択肢だからだ。

横移動は使わなくていい

上級者はすぐ横移動の話を始めるので勘違いしそうになるが、初心者は横移動は使わなくてよい。おそらく神段に行くくらいまでは横移動の知識は不要なのではないかと思う。

横移動で相手の技を避けるというのは完全に個別のキャラ対策の領域だ。個別のキャラ対策というのは最後の最後に詰める攻略であって初心者のうちから取り組むのは早すぎる。

ためらわず強キャラを使う

身も蓋もない話だが、もし伸び悩んでいるなら強キャラに乗り換えるのも一つの手だ。例えばドラグノフ、フェン、アズセナなど。

強キャラは優秀な下段を持っているので、前述の「下段を擦って勝つ」というセオリーが自然と身につきやすい。筆者もデビル仁を使ったときに初めて下段の強さに気づいた。下段に限った話ではないが、まずはとにかく勝てるキャラを使って勝ち方を覚えるというのが上達のコツだ。

まとめ

  • まず下段を仕掛ける

  • 下段が通りづらいなら相手の対応を見て読み合う

  • 守りはガンガードとバクステ

  • 体力半分でヒートバーストを使う

  • 壁攻めを覚える

  • 投げを使う

  • 横移動は忘れる

  • 強キャラを使う


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