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VICE

「寡黙な人間には気をつけろ。周りが話す間、彼らは観察し、周りが動く中、彼らは企らんでいる。そして皆が一息ついた瞬間、彼らは狩りを始める」

9・11の直後、国中が混乱し、不安や疑惑に人々が惑わされる状況に、チャンスを見出した男がいた。当時の副大統領、ディック・チェイニーだ。

サダム・フセインとアルカイダとの繋がりについて、証拠が不確定な段階でも敵と定め、「(パキスタンの科学者がアルカイダの核開発を支援する)1%の疑いがあるならば」そこにもロックオンし、拷問も許可し、それら全てを「国民を守るために行った。私を選んだのは国民だ。そして私は私に課された責任を果たした」と宣言する。

アメリカという大国の操り糸をチェイニーが影でどう捌いたか、という政治ゲームが笑いも交えながら展開されていく。

チェイニーのシークレットサービス用のコードネームはAngler(釣り師)だったらしい。作中でもフライフィッシングをしているチェイニーの姿が何度も出てくる。そして、最大の獲物であるブッシュ大統領候補との会談の間も、ルアーがこれでもか!とばかりに出てくる。うまく糸を操り、ルアーを瑞々しいミミズに見せかけて相手がかかった瞬間、影の帝王はチェックメイトを確信する。

トランプ政権への揶揄もいれながら(オレンジ顏のチートス!w)、これは過去の話ではないと突きつけてくる。アメリカだけの話ではない。結局みなさん、政治に対して全然興味ないんだよね?ちゃんと見れば見えるのに、小難しい話はしんどいとキラキラなインスタ映え写真やら猫動画やらで癒されているんだよね?日本にだって、それは当てはまる。戦争も気候変動も環境破壊も、一夜で起きたわけじゃない。一人のせいにできるわけではないけれど、一人の舵きりや一人のルアーが物事を大きく左右した可能性はある。そしてそれは、声が大きい人とは限らないんだ。

クリスチャン・ベール、圧巻。分からなかったよ... マシニストとかのガリガリっぷりから考えるとどんだけ体重増減させてるんだ。おそろしや。

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