どうしようもなく好き、ヒグチアイが。
僕にとって今年は人生で一番精神状態が良くない年だ。どうしようもなく自分のせいではあるのだけれど、それを受け入れる器があるはずもなく陰鬱な日々を過ごしている。
そんなあまちゃんで屁理屈屋でロマンチストな僕が敬愛するアーティストがいる。ヒグチアイという女性シンガーだ。
先に断っておくが、僕は創作者本人についてはあまり詳しくなりたいタイプではないのでヒグチアイ本人がどう思っているかなどは詳しくない。
ただただ、ヒグチアイの魅力を僕の口で語らせてほしい。
1.備忘録
初めて聴いた曲は、『備忘録』だ。ファンならわかると思うが、2年弱の浅いファン歴なのだ。AppleMusicで一度聴いて『ふーん』と思い、なぜか素通りできなくてもう一度聴いた。月並みな表現だが、震えた。
この曲は、ヒグチアイの私小説のような内容だ。インタビューでもそれを認めているようだ。ヒグチアイの半生なのに、なぜか僕の心を掴んで離さなかった。僕のことを歌っているのかな、なんて歌詞の節々に感じるような普遍性を持った歌詞だ。
今の精神状態で一番当てはまるのはここだろうか。
『誰かと生きることを生きる意味にしていたんだ 理由つけてあきらめて自分騙してたんだ』
この歌詞を見つめると、モニターが滲んでしまうほどに苦しい。この歌詞が苦しいほど分かってしまう人は恐らくヒグチアイのファンの素質がある。
ヒグチアイの魅力は、その歌詞が耳から心までスッと届く所にあると思う。ただそれはチープで軽い内容ではない。人に見せられないような自分でも見たくないような声を反響させる。ずるいのだ。
2.まぼろしの人
ヒグチアイは負の感情でリンクすることが多い気がする。醜い僕を見つけてくれる。誰にも言えない言葉を、代弁してもらっている。
ヒグチアイの公式LINEではたまーに小説が送られてくる。最新の小説も、別れについてなのだけれど『はー、なんで知ってんのよ』なんてかっこわるく泣いてしまった。
『まぼろしの人』は別離を情けなくも鋭利に歌った曲だ。特にこの歌詞が大好きだ。
『もう一度戻りたい 君のこと 今でも変わらずに愛している それでも本当は 同じだけ 憎んでいる 守っていたのは くだらない優しいウソ』
愛していた人を失った時、あなたはどうおもいますか。殺したいと思いますか?また元鞘に戻りたいと思いますか。僕は、戻りたいけど戻らないことを苦しいくらい感じてしまいます。
その愛は、憎しみになりそれを隠すために優しいウソをついて。友達でいよう、なんて言うんだと思う。きっと。
彼女の魅力の1割も語れていない。どうすれば語りきれるのかはわからないけれど、一番の魅力は飾らない言葉だ。
チープに見えるかもしれない。でもそれはザラッとして、飾ることのできないものだと思う。
だからこそヒグチアイの歌は、届くのだ。
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