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その叱り方でいいですか?

言うことを聞かないこどものゲーム機を怒りに任せて破壊した、
という著名人がいた。

先日、娘の中学校の教員が
「息子がエロ動画を見ていたのが発覚して、妻が息子にハンマーを持たせて端末の画面を自分で割らせた」と言っていたそうだ。
こどもにそういう叱り方をしたことを、得意げに生徒に話す教員の意図が私にはわからなかった。

私は娘に問うた。
エロ動画を見ていることがバレて、そういう対応をされたら息子は将来どうなると思う?と。
もっと厳重に隠れて見ようとするか、
あるいは過剰にエロを忌避するに至るか、、、
悪く出た場合、背徳感の虜になるか、、、(倒錯の世界。)
どちらにしても正しい知識を得ない限り、誰にとっても望ましい結果にならないのでは?
その𠮟り方合ってると思う?
私はどうかしてると思うよ、と。
物を壊して終わりに出来ないよ?

その教員自身も生徒の指導に問題があって、たまたま見かけたのだが私はほんとうにがっかりした。
生徒がミスしたことを他校の生徒がいる前で大声で雑に怒鳴りつけて指摘する。その日は終始一貫その対応だった。
対して、その場にいた他校の顧問はいま生徒が何をすべきか、淡々と分かりやすく細かくスピーディーに各個人に向けて指示を飛ばしていた。
そして、他校の生徒は結果を出していた。
反対に我が子たちは意気消沈して、いいパフォーマンスを出せなかった。
この光景は実に対照的で、我が子たちの不遇が浮き彫りになって見えて私は悲惨だと感じた。

感情的に怒鳴るという行為は、こどもがもっとそこら中に溢れていた時代にはたしかに見せしめとして有効な叱り方だったと思う。
人数が多ければ言うことを聞けないこどもも必然的に多くなる。
事実、やんちゃな子はたくさんいたし、親も近所の大人も教員も総出でうるさく取り締まらないとやっていけなかったことだろう。大人は逆らうと怖いんだと思わせる必要があった。
いまは違う。
なにもかもが便利になった分、教育も個人向けに的確なコマンドを出さないと結果につながらないし、何より生徒の信頼を得られない。
こどもたちはさまざまなコンテンツから先に学びを得ているので、教員がどの程度の人間なのか、そちらのほうを厳しく見ている気がしている。

キレ散らかす大人は程度が低いから放っておこうという具合に。
もはや親と教員がすべてではなく、自分の尊敬する大人を早くからネット上に見つけていて、実生活で出会う大人と冷静に見比べている。
目の前の大人が言うことを聞くに値するかどうかを、けっこうシビアに見ているのだ。

私の感覚だが、こどもが少なくなって、母親のリソースが家庭の外へ流れた結果どちらかというと、学校で教育を賄えているはずだと都合よく考えている親が増えているように感じる。
実際には、教員はこどもに対応した数しか配備されないから少子化の現在、学校教育では逆に不十分であり、労働時間短縮の影響もあって教員がこどもを見ている時間はとても短いし、さまざまな場面で接する機会も減っている。
より細かい指導が求められているのに、教育者側がアップデートされていないし、だいたい時間的に無理があるし、そこに気づいて家庭でケアする保護者も少ないし、また保護者自身が仕事と家事の両立で精一杯だったりする。

こどもを見ている大人がいない。

いまは学校と親が責任を擦り付け合うのをやめて、あらためてこどもを育てるってどういうことなのか、いまの時点でどこまで育っているのかをよく見て考えないとならない。
こどもたちはほんとうはとても賢いのに、大人の怠慢のせいでどんどん愚かになっていってしまう。こどもは宝なんじゃなかったっけ。

これは、私が我が子や周りのこどもを見ていて感じていることである。
データとかではなく、実際に目の前に見えていることで危機感を持っていること。
私がちゃんとできているかというと、そうではない。

山の中に住んでいるので、広い世界のことはわからないが、職場でも、学校でも、家庭でも、「おしえる」「叱る」ことについて私たち大人はもっと注意深くなる必要がある、と思っている。
私たちが見てきて育ってきた社会はもうない。
世界はとっくに変わっているのだ。


覗いてくれたあなた、ありがとう。

不定期更新します。
質問にはお答えしかねます。

また私の12ハウスに遊びにきてくださいね。







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