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Wondershake創業9年目

8月11日で、会社を創業して丸9年を迎えました。
22歳で会社を作って9年経過したのかと思うと感慨深いと同時に、まだ何も大きな成果を残していないことに強い焦燥感を感じる日々。
せっかくの節目なので現在考えていることと直近のアップデートをしたいと思います。

創業からの数年間

ご存知の方もいるかもしれないですが、Wondershake社は我々が学生卒業してすぐアメリカで創業した会社です。今も当時の創業メンバーの伊藤と藤井と会社を経営しています。

創業時は社名の元となった「Wondershake」という位置情報SNSアプリを展開していました。
自分が今いる場所の近くにいて、かつ共通の趣味・関心や知人を持った相手をマッチングしてくれる今でいうzenlyやtinderに近いアプリでした。男女間のマッチングではなく友達探しがメインでしたが。
「FacebookやTwitterのソーシャルグラフの次となるインタレストグラフサービスをグローバルで作るんだ!」と本気で想い、アメリカでいきなり挑戦をしました。若くして相当難易度が高いことをしようとしてましたが、今振り返るとあの根拠なき自信とチャレンジ精神は尊かったなとも思います。

去年のブログに書いたので割愛しますが、アメリカでの挑戦は1年ちょっとで行き詰まります。そこからは自社サービスを何度がPivotさせつつ、受託でアプリを大量に作る期間を経て、市場機会を見つけて2014年からメディア事業のLOCARIをスタート・成長させてきました。
今回はそのLOCARIを作った背景と、その後の成長・直近の状況を書いていきます。

メディアEC構想

LOCARIをリリースした2014年時点から「メディアEC構想」というコンセプトを掲げています。

FB,IG,TWなどの個人が情報発信するソーシャルメディアが浸透し、スマホ所有率の増加に伴いあらゆるコンテンツ消費の中心がウェブとアプリにシフトしていき、コンテンツ需要は今後も爆発的に伸びること。かつカテゴリー毎(ファッション/料理/ゲーム等々)に情報メディアが分散化していくだろうという仮説。2013-2014年当時は皆急成長していたnaverまとめの領域をウォッチしていたし、ここまでは当時の多くのキュレーションメディアと呼ばれていた事業者が考えていたことだと思います。

我々は上記の仮説と共に、メディアとECというこれまでバラバラに存在していたサービスが一つに融合されていくイメージを持っていました。メディア内のコンテンツを起点に新たなブランドや商品と出会い、そのメディア内で購買が生まれる新たなプラットフォームが出現するだろうなと。

検索を介したAmazonに代表される目的ドリブンな購買体験はウェブ上で定着しつつありました。メディアECはそれとは異なり、ユーザーが信頼できるメディアや人を介して、偶然見つけた商品を「ながら」で購入する。そんな雑誌を読んで自分がワクワクする商品に出会ったり、リアルな実店舗での「ウィンドウショッピング」的なセレンディピティ体験をスマホベース、かつ女性ターゲットで作ろうと創業メンバーで話していました。

まずは多くの女性ユーザーが毎日訪れたいと思う熱量の高いメディアを作る。次に、新たなモノやコトの購買機会を提供し、行く行くはユーザーが求める自社開発の商品もその場で流通する「女性の生活圏」を作るぞ!という趣旨の事業計画を当時作っていました。

Wondershake社が2011年から一貫してやりたかったことは、「日常に新たなヒト・モノ・コトとの出会い」を創出し、人々に「驚き」を提供すること、です。創業時の人と人を繋げるSNSサービスとは形は変わりましたが、まさに同じ価値をメディアEC構想で実現しようと考えていました。情報を届けるだけではなく、人が行動したいと思い、そのアクションから日々の生活が豊かになるようなサービスを作りたいと考えていました。
(※その想いがあり、社名はずっと変えずにやってきています)

大尊敬する投資家との出会い

実はメディアEC自体は10年前くらいからある考えです。ただメディアがそもそもグロースせず規模が出なかったり、ユーザーがいてもなかなか購入にユーザーを転換できないサービスが多く、正直成功者がいないマーケットでした。(コマースからスタートした北欧暮らしの道具店さんなどは珍しい事例かもしれません。)
イメージは出来るが実現は難しい、という領域です。ただ当時の我々の読みとしては、上記事例はPCやガラケーメインの時代だった前提があり、スマホアプリ独特の没入感があれば体験として成立する/出来るのではないか?ということでした(これはメルカリやフリルの成長を当時見ていて直感的に思っていました)。そしてメディア領域に参入するなら2014年のあのタイミングしかないとも思っていました。

当時の受託ビジネスをストップしてメディア作りに集中するために資金調達を回りましたが、20-30社連続で断られました。多くの投資家に断れる中、そこに最初に投資をしくれたのがニッセイキャピタルの永井研行さんでした。当時誰もが投資に踏ん切りがつかない中で、永井さんは唯一初回の打ち合わせで可能性にBETしてくれ、投資を決めてくれました。当時を振り返って永井さんは「時代的に事業モデルも面白いと思ったけど、チームに投資したんだよね」とよく言ってくれます。あの時の投資がなければそもそもLOCARIが存在しなかったなと。
そして、その後色んなupdownがありながらも6年間ずっと応援し続けてくれていますし、そこからたくさんの新たな投資家さんにサポートをして貰っています。永井さんはあまり業界の表に出てきませんが、本当に当社の恩人中の恩人です。

メディアの成長と次ステージへ

そうしてLOCARIを2014年にスタートして、試行錯誤しつつもメディアを一定規模まで伸ばしてきました。
今では850万DLを超える国内最大規模の女性向けメディアに成長。その過程で多くのコンテンツを生み出し、新規事業にトライし、たくさんの広告主様とご一緒させて頂きました。

ただ、メディアを運営して6年経ちますが、改めて「メディア単体」として戦うことは非常にシビアな世界・時代だと感じています。
特にこの2〜3年間でデジタルメディア領域はガラリと風景が変わりました。メディア規模を圧倒的に持つプレイヤーとそれ以外が明確に線引きされ、多くの企業の膨大な広告予算は運用型広告としてGAFAなどの巨大プラットフォームに飲み込まれ、それ以外のメディアは残りの広告予算を奪い合う市場感になっている。

当時からメディアビジネスだけを手がける想定ではなかったものの、メディア環境の変化も相まって我々は当時考えていたメディアEC構想、そしてコマース軸での挑戦をこの数年で急ピッチで仕込んできました。まずは2018年末にLOCARI内の購買・決済体験を実現する「LOCARI STORE」のリリース、そして昨年からはLOCARIのメディアデータを活用したスキンケア領域のD2C事業に大きく投資をしてきました。

メディア事業のさらなる成長と共に、特に後者のD2C領域を今後の主戦場と捉えています。当時のメディアEC構想から進化した形で挑戦しようと思っています。

我々が目指すD2Cの世界観

現在、D2Cスキンケアブランドを「10ブランド」同時並行で作っています。
10ブランドを同時に作る話をするとよく「頭おかしいんじゃないか?」と何度か言われましたが、これには理由があります。今回はヒット商品づくりと同じくらいにヒットの「再現性」に重きを置いています。それを社内の頼れる新規事業チームが着々と仕込んでいます。(当社の創業メンバーで役員の伊藤がそのD2Cチームをぐんぐん引っ張ってます)

6月末にリリースした加藤ミリヤさんと共同で作ったブランド「a.geniq」はリリースして数分で初回ロットが完売。リピート率の初速数値も良く、好調なスタートを切っています。そして7月末にまた2ブランド目をリリース。8月以降も新ブランドが毎月続々リリース予定です。

今回のD2C事業で当社が目指していることは、商品企画開発プロセスに「再現性」を持たせること。
これまでセンスドリブンで作られてきたブランド作りの領域を、メディアで得たリアルなユーザーの悩みや行動データをもとにマーケットインで商品企画し、そこから各OEM企業と並走してモノづくりを行っていく独自スタイルです。打率の高い商品開発(=外さない商品開発)を編み出すことを一番大事にしています。

センスで商品を当てること自体はめちゃくちゃ尊いですが、企業としての持続的な成長を考えると、伸びる商品開発プロセスを科学することが不可欠だと考えています。顧客から支持される商品を複数生み出し、その開発フロー自体にも再現性を持たせる。その両方を実現するために今回10ブランド(=打席)の開発を行うことを決めました。

短期的なマーケティングハックをすることも出来ますが、結局商品の中身自体が良くなければリピートはされない。その商品力をメディアデータを元に入念に担保し、各商品を顧客から愛される強固なブランドに育てていこうと考えています。当初考えていたメディアEC構想からはやや形を変えましたが、メディアがなければ実現できないブランド作りだと自負しています。


これからについて

今年はLOCARI発のD2Cスキンケアブランドを多く世の中に生み出し、ヒットブランドを作る1年にしたいと思います。
当時描いていたメディアEC構想を形にしつつ、ブランド作りで得たノウハウは外部企業様にも提供していきたいと思っていますし、それがLOCARIとしての競争優位性にもなると感じています。

起業して丸9年、10期目。早かったようで本当に短い。
事業から組織までハードシングスばかりでしたし、周りを見渡すと凄い人達がたくさん。
同世代の起業家、シリアルの方達がどんどん新たな会社を伸ばしてるし、当社の投資家でもあるhey佐藤さん&光本さんは先日PEから70億調達してガンガン攻めてるし、赤坂さん&西川さんもWIND AND SEAや新たな事業で急成長を遂げてるし、小泉さんは鹿島アントラーズ買収してメルカリをグループ黒字化されてるしで、日々刺激を受けまくりつつ、自分達の今の居場所に焦りを感じまくりですが、以前家入さんも書いていた通り、それぞれの起業家が自分の持ち場で顧客と向き合いながら熱狂し、世の中に価値提供をするしか未来はないなと強く思います。

ただ、足元のチャレンジには手応えを感じています。異業種からの参入ですが、この2年間の挑戦で徐々に光が見えてきました。
まだリリースなどは出していないですが、今回のD2C領域のチャレンジに際して同領域で先を走る頼もしい新たな投資家の方々にジョインいただきました。 (こちらはまた後日) 

一緒にこれまで走ってきてる創業メンバー、そして信頼できる会社の仲間達&ずっと応援してくれる株主の方々と共に再度会社を大きくグロースさせていきます!引き続きWondershake社をどうぞよろしくお願いします!

最後に、読んでいただきありがとうございます。
メディアや広告領域、またはD2C/商品企画開発周りなどで関心がある方は是非是非twitterなどでご連絡頂けると嬉しいです!

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