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インドネシアのコミケでファンができる話

前回に引き続きインドネシアをPickUpして参ります。ネット書店で本のバイヤーやったり、出版社で漫画とかラノベを海外に売る様な仕事をした後、名古屋で出版系のスタートアップをやっております。DouDouDoujinの水谷と申します。

<記事の目的>
漫画家の方々と仲良くなっておきたい、でも自分で作ってるサービスまだまだ未完成で何もお返し出来るものがない(困った)。となった駆け出し起業家が、たまたまインドネシア市場に出会い、同人漫画家のインドネシア展開なら、今の段階でも役立てそうだなって思い、自分の作品を海外に広めてみたいと考えている、漫画家を見つけるために書いています。

前回は、この記事の前提になる様な、日本人には馴染みの薄いインドネシアのオタク事情を、同人誌を軸に、イベント紹介も含めて説明させて頂きました。


今回、旅日記の様な物を書こうとしていたのですが、前回のイベント出展した際、『沢山のインドネシア人のファンができる』という状況が起こりまして、こっちの話をまとめた方が面白いのでは?と思ったので、急遽内容を変更し、今後の海外展開を行おうとする漫画家、出版業界の方にとって参考になる様な内容で書いていこうと思います。

インドネシアの皆様から頂けた作品の数々(自分で買ったものも一部含まれる)

なお、前提の話ですが、前回のイベントに出展した時は、、、

色々と準備不足すぎて、もう必死でした(泣

イベントが始まる2週間ぐらい前まで、1ヶ月半ほど日本におらず、インドネシアに出展するのに売る物ないという状態でして、海外でも並行して雑誌制作は進めてましたが、本格的な準備は帰国後2週間しかなく、その間に漫画の翻訳の残りや、校正や印刷もするみたいな状態でした。国際空輸するにも、5日程度はかかるので間に合わず、結局雑誌を満載した2つの巨大スーツケース(片方30KG)を両手に持ち、リュックも背負い、ひぃひぃ言いながらインドネシアまで行きました。。。

雑誌を満載した迫真の『Heavy Bag』(30KG)✖️2

という状況だったので、事前の出展告知等は一切行っておりませんでした。

『インドネシアにファンができる』という状態

とはいえ、終わってみると個人的には大成功でした。見る人が見れば、TikTokでの大当てや、広告代理店や出版社が仕込んでる様なバズとは比べるべくもなく、ちょっと話題になった程度で参考にならないかも知れませんが、駆け出しスタートアップにとってはありがたい事なのです。

DouDouDoujinのX(旧:Twitter)アカウントでの、イベント前後比較

DouDouDoujinアカウントのアナリティクス画面より

まず、Xのフォロワーが実施前の800人から2、3日で1600人に増えました。なので、今、DouDouDoujinのアカウントの半分はなんと、インドネシア人のComifuroセグメントのフォロワーです。加えて、イベント時期のインドネシア関連の投稿はインプレッション数の高さに加え、エンゲージメント率も10%超えでかなり高くなりました。おかげで、このアカウントでインドネシア語でアンケートを取ると、日本に興味を持っているインドネシアの方々の、現地の生の声をヒアリングする事ができる様になりました。

https://twitter.com/DouDouDoujin_PR/status/1772160367382438395

次回も出展しますという投稿を先週した所、RTやいいねに加えて、歓迎の温かいコメントを沢山いただける様になりました。

記事から見る『何が新しかったのか?』

今度は要因について書いていきたいと思います。

当たり前ですが、現地のニュースで取り上げてもらえたという事は、その出来事が彼らにとって価値があり新しい事なはずです。そこで他者によって取り上げられた内容から、インドネシアの方々にとって何がニュースに値する出来事だったのかを見ていこうと思います。

紹介ポスト1:『Otaku Anime Indonesia』

インドネシア最大級のFacebookのオタクニュースのポストです。日本のXの様にインドネシアではFacebookを匿名で、プロフィールをアニメアイコン等にして、SNSとして使っているみたいです。要点は四つ。

  1. インドネシアのイベントに、日本の出版社が来てくれた。

  2. 有名な漫画家も来てくれた。

  3. 現地の人たちと何かできないか、コラボレーションを模索している。

  4. 『Comifuro』の雰囲気を喜んで、また来たいと言っていた。

紹介ポスト2:『Valentino Ringo』

次にインドネシアのオタク関連ニュース記者のポストです。要点は三つ。

  1. 今回の『Comifuro』は日本人がクリエイターブースを構えた。

  2. ブースの壁紙にインドネシア人と協力したいと書いてあった。

  3. 座っている彼はフォロワー数30万人の、日本の有名な漫画家。

紹介ポスト3:『titipjepang』

インドネシアの日本商品特化型のオンラインストア内のブログでの日本のオタク業界ニュースです。要点は四つ。

  1. 有名漫画家が、SNSを通じて日本の漫画家に参加を呼びかけてくれた。

  2. 日本の出版社に、自分たちが好意的に受け止められた。

  3. 来場者の多くが、ブースを訪れ、商品を購入している様だった。

  4. オリジナル同人だけでなく、ファンアートも販売している様だ。

まとめると、、、

インドネシアでは『Comifuro』が、自分たちに馴染みのあるオタクイベントとしてが盛り上がってきていたが、日本人に全然気づいてもらえていなかった。今回ついに日本の出版社に見つけてもらえて、有名な漫画家も来てくれた!彼らはインドネシア人を理解しようとしており、好意的に帰国して行った、今後、何かが生まれるかもしれない!

という感じでした。

あかん、まとめが普通すぎる….🧐


偶発的に発見した要因

というわけで、このままだと当初予定していた旅行日記同様、何の発見にもならない記事になりそうだったので、ここから想定外だった話をしたいと思います。おそらく、有名な漫画家を連れて、Comifuroにブースを出せば同様にファンが付くかというと、そうではない気がしており、折角なので今回は想定外の要素と、それに繋がっている(かもしれない)行動も紹介していきたいと思います。

・ブース場所と事前インタビュー

実は最初にイベントを教えてくれた方が、主催者の知り合いで、初めて訪問した際も主催者に紹介頂く機会がありました。その後、改めてイベントについて詳しく知りたいとインタビューのお願いした所、主催者も含めて五人がインタビューに参加してくれました。しかも聞いてみると主要メンバーは全部で十人。運営の半分がインタビューに協力してくれた事になります。何か出来ないか、模索している姿勢を見せた事が、初めての出展なのに良い場所の確保に繋がったのかもしれません。(確認してないので単なる推測です)

Neda Land & DouDouDoujinのブースの場所

・根田さんのコミッション

根田さんも私も、あんまり売れるとは思っておらず、根田さんは日本語の印刷漫画はそこそこに、現地でコミッションを受けておりました。(根田さん持ち込み分は完売)すると、予想以上の引きがありました。皆さん思い思いに、色んなアニメキャラやVtuberの絵を書いてもらっており、自分の好きなキャラを、漫画家に描いてもらえるという体験が大変好評という事がわかりました。完成品をただ買うのでは無く、自分の意見が反映されるというのが新鮮だったのかと考察します。

ネダさんによる有償コミッション受付

・DouDouの人のAMA(ASK ME ANYTHING)

また私もサービスとして初のイベント出展が今回のインドネシアで、売る物として雑誌を作ってみたものの、下手すりゃ(下手しなくても)閑古鳥が鳴くと思ってたので、売上は最初から期待せず、せめて現地の人から情報収集しようと思い「AMA(何でも聞いてください)」を行った事が、功を奏したと思います。加えて、SNSに来たコメントには全部返事を書いていたので、この人は話を聞いてくれる人だと感じてもらえたのが、単なるニュースでの「認知」から、活動の「応援」への変化に繋がったのかもしれません。

まとめ

インドネシアのイベントを助けてくれた人たちと、夜に夕食をご一緒していたのですが、興味深い話がありました。「以前、他の出版社がもっとお金をかけてブースを出してたけど、費用対効果が合わなかったのか、やめちゃったんだよね。今回はあんな規模感だったから、僕たちも話しかけやすかったな〜」という話がありました。(もしかしたら市場として、コンテンツ力で戦う既存の出版モデルでのマネタイズは、まだ早い場所なのかもしれません)

おそらく大企業だったら、有名作品を「アニメ化」どーん、「ゲーム化」どーん、「コミックを書店に」どーんと、「コンテンツ力」で計画的に設計して広めていくというのが正しい戦略なのだと思います。でも我らスタートアップ。そんなお金もコネもありません。

今回の私たちのブースでは、「商品」はもちろん頑張りましたが、イベントを通じた対話や体験に価値を感じ、「応援」の意味も込めたお金を払ってくれていた感じがしました。そういう意味では、現地の方が「関与」できる余地があった事が、彼らの「応援」に繋がったのかもしれません。もしかしたら、この気づきが、まだ既存の出版モデルでは費用対効果が合わない場所で、新たな出版モデルを成り立たせる秘訣になるかもと考えました。

今後のまとめ記事

さて前回、次回はイベント出展の体験記を書くと言っておきながら、思いっきり方針転換してしまいました(汗)書いていくと、今回は最近エンタメ界隈で話題になってる感じがする『ファンダム形成』に帰着しました。次回は、最後の方にボソッと書いた、

もしかしたら市場として、コンテンツ力で戦う既存の出版モデルでのマネタイズは、まだ早い場所なのかもしれません

を深ぼって、ヒャッハーな世紀末インドネシア出版事情について書いていこうと思います。最初聞いた時に世紀末すぎたので、このアカウントで確認も含めて現地の皆さんにアンケートを取ったら、「うん違和感ない」みたいな反応だったので、それを記事にまとめていこうと思います。

掲載作品を募集します

海外展開に興味があって、最初の一歩目を探している漫画家向け。

今年の5月もインドネシアのイベントに出展し、許諾を頂いた漫画を英訳し、雑誌にまとめてPRしてこようとしています。この記事を読んで、インドネシアに興味を持ち、自分の作品も掲載してみたいという方がおりましたら、コチラのStep1の掲載枠の確保にご入力ください。(所要時間1分)

(枠が埋まった場合、上記は締め切りましたという表記に切り替わります)

前回ご一緒頂いた漫画家の方(大変楽しかったらしく、今回もご一緒頂く)から、お金を払ってでも掲載して欲しい方はいるはずという事で、今回は新しい取り組みとして雑誌の中で80P分、募集も募りたいと思います。(掲載枠埋まり次第終了)

4P掲載なら5000円、8P掲載なら1万円で、翻訳、雑誌掲載、現地での販売、現物を郵送させて頂きます。募集が遅くなって申し訳ないのですが、翻訳や印刷の関係もあり、4/15 23:59(月)を期限とさせてください。書き下ろしでなくても、既存のSNS等で公開済みの作品でも問題ございません。

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