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見込客の口を開く、BtoB営業動画活用術

営業組織、セールスチームを束ねる方にとっての悩みは、エースだけに頼らず、組織全体の営業スキルを平準化させ、組織全体の営業力をいかに向上させるか、という点にあります。

そのため様々な営業研修、セールストレーニングを行っているわけですが、とある歯科医療機器の商社さんにうかがった際、その営業部長さんが話されていた動画活用方法が、この問題に対して非常に効果的と感じたので、その方法をまとめておきたいと思います。

スペックや機能だけを一生懸命話してタイムオーバー

どんな事例も、個別具体的な状況に癒着しているため、まずこの商社さんの営業上の課題を整理しておきましょう。

●クライアント(営業先)
・歯科医院

●応対する人
・歯科医院の院長

●営業に与えられている時間
・3~5分
・医師が忙しいため、ほとんど時間をもらえない

●クライアントとの関係性
・既存顧客、ルート営業が多め
・既に同社から商品を購入しているところが多い
・新規営業のケースもあるが、その場合はさらに与えられる時間が短い

●その他
・営業スタッフに営業ツールにiPadを貸与

こうした状況における課題には、以下のようなものがあります。
・新人、中途入社の営業職と売れている営業職とのスキルの乖離が大きい
・新人営業職は製品の機能やスペックだけを話そうとしてしまう
・機能やスペックだけの説明で持ち時間の大半を使い果たしてしまう

“口を開かせる”ために、何をするか?

営業部長の方曰く、短い時間で「営業を次につなげる」ためには、「クライアントの口を開かせなければならない」と言います。

機能やスペックの説明だけで時間を使ってしまい、「そうなんだ、わかりました。また今度来てちょうだい」と言われて帰るのではなく、クライアントから反応や質問を引きだしていく必要がある。

そのためには、製品の機能やスペックはもちろん、ベネフィットなどを手短にまとめる必要があるわけですが、経験が浅く、営業スキルもまだ低い営業スタッフにとっては、それが難しい。ベテランやエースが度々同行することも現実的ではありません。

そこでこの営業部長さんが思いついたのが、製品の機能・スペック・ベネフィットなどを30~60秒にまとめたセールス動画を制作し、営業の現場でクライアントに最初に見せることでした。

そうして短い時間で動画を見せたあとに、クライアントである医師に、
「先生、どうですか?」
と、問いかけることで、クライアントの感想や質問を引きだす。

この動画活用術には、なるほどと膝を打ちました。

読者には、30~60秒でセールス動画を制作することができるのか?と訝しく思われる方がいらっしゃるかも知れませんが、これは可能なのです。

FABE理論を組み込んだ30秒セールス動画の構成

私は企業や業界団体などで、「30分のテレビショッピング番組を、30秒のスマホショッピング動画に」という、動画制作ワークショップを提供しています。

タイトルにある通り、30秒の、スマホショッピング、すなわちセールス動画を制作するという内容で、6つのカットを30秒にまとめるという構成をとっています。

この6つのカットを、セールストークのフレームワークでおなじみ「FABE理論」に落とし込むと下記のようになります。

1.タイトル(これから見てもらう商品動画のオープニングとして使用)
2.Feature(特徴)
3.Advantage(利点)
4.Benefit(利益)
5.Evidence(証拠)
6.インフォメーション(価格など)

これをセールストークでやろうとしたら、当然30秒では時間が足りません。
FABEで取り上げる情報を、動画で“圧縮”して伝えることが重要なポイントとなります。

たとえば、ある歯科医療機器を題材にすると、
Feature(特徴)では、洗浄力が強いことを表現するシーンを動画化します。
Advantage(利点)では、従来製品との比較シーンが効果的でしょう。
Benefit(利益)では、その製品を使用して作業が楽になった歯科助手さんの笑顔を。
Evidence(証拠)では、他社でも導入されていることを表すカットや、既に導入された社数を入れてもいいでしょう。

これを、各カット5秒前後にまとめていけば、30秒のセールス動画が完成するのです。下記は、30秒のスマホショッピング動画制作ワークショップで使用している絵コンテ状態のサンプル動画です。この動画をご覧頂きながら、自社製品に当てはめた場合、どのような製品の特徴や利点を紹介する映像を撮ればよいかイメージしてみてください。

完成したセールス動画は営業スタッフに持たせているタブレットにダウンロード、もしくはクラウドにアップして再生します。

セールストークのスキルを個々の営業スタッフに研修を通じて向上させていくのは時間とお金がかかりますが、セールス動画であれば、優秀なエース営業のトークを動画化するだけで済みます。さらにデータとしてこの動画を残しておくことで、新人営業スタッフも動画を見て、セールスのスクリプトを学ぶこともできるでしょう。

肝心なのは、動画を見せた後のシナリオ設計

最後に、動画を見せたあとのポイントについても言及しましょう。せっかく動画を作成して、見込客・クライアントの口を開かせたとしても、「で、これが何?」という声に対して、営業スタッフがちゃんと対応でいるスクリプト・シナリオ設計ができていなければ元の木阿弥です。この設計と定着については、既存の営業研修会社さんが提供しておられると思いますので、営業組織のセールススキルの平準化や、営業力強化の手段の一つとして、ぜひセットでお考えください。

なお、「30分のテレビショッピング番組を、30秒のスマホショッピング動画に」ワークショップを、会社の状況に応じてセールス動画を制作するワークショップにアレンジすることも可能です。ご興味を持って頂けるようでしたら、下記までお気軽にお問い合わせください。

maeda@hurray3.com

明日、動画を活用せよと言われた時に役立つフレームワーク、切れば血の出る事例、ビジネスアイデアを紹介していきます。zoomを使ったオンライン個別相談にも対応していますので、お気軽にメッセージください。 https://www.1roll.jp/demo/