おしっこが泡立つトレーニーは・・・

通常、筋トレなどの運動は、間違いなく身体にいいモノでありますが、人並み外れた筋肉を手にしたいトレーニーにおいては、健康とは逆行する部分も多く出てくるものです。実際に、プレからポストまでもサプリメントプランを提示すれば、「こんなに糖質摂って糖尿病になりませんか?」なんて返答はよく頂きますし、ケトジェニックダイエット指導では、「コレステロールって溜まると危ないのでは?」と、筋肥大への欲求に比例して健康面への心配も膨らんでくるものです。

個人的な見解ですが、「糖尿や脂質異常が怖くてボディビルができっかよ!食え!!」なんていうのは、20代前半くらいまでではないでしょうか。私自身も20代の頃には、胃腸炎、脂肪肝、逆流性食道炎、ただのデブ、など経験してきましたが、逆に言うと、これらがきっかけで健康と筋肉の両立をするための方法や指導法が体系化してきた経緯があります。

人生心配事はつきないですが、今回は、たんぱく質と腎臓保護について。

ボディビルダーのような食事と、一般的な食生活と大きく異なるのは、まず第一にたんぱく質摂取量だと思います。「体重×2g」というのは、特に指導者でなくともジムに通う大多数の方が知っており、〇〇g、とノルマを決めて摂取をするものです。でも大体は、ノルマ不足よりも、心配で摂りすぎてしまうことの方が多いですよね。せっかくきついトレーニングした成果が、摂取不足で報われないなんて、残念でしかないですし。気持ち、痛いほどわかります。また、最近では有名なビルダーが「僕は体重×4gは摂らないと筋肉が落ちてしまう」なんて雑誌などで発言することから、かなりの量のたんぱく質を日常的に摂取する人も多いようですね。

そして、大量にたんぱく質を摂ることの心配としてまず連想されるのは、腎臓への負担、ではないでしょうか。

腎臓に何らかの障害がある方においては、たんぱく制限食が処方されることから(これ自体も反対する流れもありますが)、たんぱく質って腎臓に悪いのでは?って発想になるのでしょうが、実際、大量にたんぱく質をとっても腎機能が正常な人であれば、特に腎臓を悪くするというエビデンスはありません。しかし、ここで言う「大量」とは、せいぜい体重×2~3g、といったところでしょう。医学的な研究デザインでは、まず体重×4g以上を日常的に摂取するなんて発想自体がまず起こりません。しかし、数少ないボディビルダーなどを対象とした研究では、やはり血液検査において、腎機能の指標となる数値が高めにでるようです(※1)。

大量たんぱく質は止められないが、腎臓は守りたい、そんな場合はどうすればよいのか。

最初の画像にある通り、血液は糸球体で濾過されます。しかし、この糸球体は、本来はたんぱく質を通さないため、おしっこにはたんぱく質は含まれないはず、なのです。「尿たんぱく」と聞くと、出てはいけないもの、というイメージあるかと思いますが、おしっこにたんぱく質が漏れ出してしまうということは、ろ過装置である糸球体が障害されているということ。超大量にたんぱく質を摂るということは、この糸球体に負担をかけることにもなるわけです。

重曹とかオリーブオイルとかベルベリンとか腎臓保護作用のあるものはたくさんありますが、一つの対処法として考えられるのは、血液が出ていく方の血管を広げてあげること。出口の幅が広がれば、糸球体内圧も低下することになり、負担を軽減することにつながるわけです。そしてこの作用をもつのが、高血圧治療薬であるACE阻害薬です(※2,3)。しかし、処方もされていないのに薬を飲むなんて選択をするのはごく一部の人だけでしょう。また、出口を広げ過ぎることの弊害も無視できません。そんな時にオススメできるのが、トクホのサーデンペプチド。薬局行けばほぼ間違いなく置いていますよね。サーデンペプチドにも、ACE阻害薬と同じ機序で、マイルドに糸球体の出口を広げる作用があります。

血圧や、おしっこの泡立ちが気になるトレーニーは一度お試し下さいませ。

※1 
Metabolic responses to high protein diet in Korean elite bodybuilders with high-intensity resistance exercise.

※2
Comparative effectiveness of renin-angiotensin system blockers and other antihypertensive drugs in patients with diabetes: systematic review and bayesian network meta-analysis.

※3
Angiotensin-Receptor Blockade versus Converting-Enzyme Inhibition in Type 2 Diabetes and Nephropathy.

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