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本間学 文化交流・人道援助非営利団体 日本館館長


合気道の社会への実践を目指して


1976年、合気道の社会的役割を考え、その実践を行なう団体としてアメリカ、デンバーに発足した非営利団体「日本館」。4千坪を越える敷地は大道場、レストラン、日本庭園、民具展示室などを擁する。日本館が行なう活動は、流派や団体にこだわらない合気道の指導はもちろんのこと、ホームレスへの食事提供、モンゴルやブラジルでの孤児救済、レストラン経営等々と幅広い。まさに「行動する合気道」を地でいく活動ぶりである。来日した日本館創始者・本間学師範にお話を伺った。
(取材 2003年2月27日 合気ニュース社にて)
※所属や肩書きは、季刊『合気ニュース』137号に掲載当時のものです。

合気道道場 2002年稽古始め


“合気道日本館”
―― 合気道の新しいあり方を模索しながら

―― 先生の道場ではボランティア活動など、まさに合気道を社会生活に活かしていらっしゃいますね。

 この前もプラニンさんと縦の社会と横の社会ということでお話ししたんですけど、私の合気道は“合気道日本館”というんですが、独立流派というんじゃなくて従来の縦型の道場組織展開から横の世界に展開するいわば“ニュースタイル合気道”であり、極端に言うなら“LIBERATION”( 解放)とまで位置付けています。つまり、一度、合気道の常識、組織から解放されて、自由な立場から、翁先生(合気道開祖 植芝盛平)は我々に何を残そうとしたのか、そして我々は何を学ぶべきか、そこから再び考えてみようというルネッサンス合気道です。私のように極端でなくとも、そういう考えを持つアメリカ人は今後ますます増えると思うんです。
 何がニュースタイルかと言えば、まず道場収入に生活を頼らない。それから段位に関しては全くのケセラセラ。したがって上部団体も特定の師範も必要としない。私のような道場は無所属ですし、講習会の目的も社会奉仕や人道活動の資金集めと理由が明確ですから、参加者も団体、流派を超えて集まって来る。ご指導願う先生も、活動をご理解いただける方ならどんな合気道でもいいのです。 
 社会奉仕や人道人権活動も、いわば経営者から脱却し、聖職者までとはいかなくともせめて“清”職者程度にもどりたくてやっているんです。どっちが強いかとか、正しいかとかじゃなくて、もっとハイレベルなことに気づき興味をもっていただくには、そういった活動に関連づけたほうがいいんです。そういう面では私も経営者かな(笑)。

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